カラーのプロに聞く住宅塗装の色選び

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住宅の塗装を考えているけど、どんな色にすれば良いのかわからない。白だと汚れが目立ちそうだし、かといって、すぐに飽きてしまう色も嫌だし・・・と色選びでお悩みではありませんか?

住宅の色の選ぶ時には、色彩効果や周囲の環境とのバランスなど、建物ならではの注意すべき点があります。このような点を考えずに色を選んでしまうと、想像していた仕上がりと違った、ご近所で我が家だけ浮いてしまった・・・というような失敗をする可能性もあります。

今回はそのような失敗をしない為に、建物の内装や外観などの色彩戦略に関するコンサルテーションを行っている、プロのカラーコンサルタントの先生に住宅塗装の色選びについて聞いてみました。

お話を伺った方

kuroda

株式会社ケイズ・カラープランニング
代表取締役 黒田 尚美 先生

色彩計画コンサルタント
商工会議所カラーコーディネーター検定1級
文部科学省認定色彩能力検定1級
日本色彩学会会員 ほか
建物の内装、外観、商品企画、店舗・企業の販売促進イベントなどの色彩戦略に関するコンサルテーションを行う。

1.外壁の色はイメージで考える

外壁塗装には建物を守り、耐久力を高める機能的な側面以外にも、外観をリニューアルして美観性を高めるという側面があります。その際に重要になるのが色選びです。ひと口に色選びといっても、外壁の塗装と洋服の選択とでは違います。では、住宅の外壁の色を選ぶ時にはどんなことを意識すれば良いのでしょうか?カラー提案の専門家である黒田先生にお話を伺いました。

教えてくん
外壁の色選びで「この色は選ばない方が良い」というような色はあるのでしょうか?

黒田先生
私は基本的に使ってはいけない色というのはないと思っています。

好きな色を塗って、そこに住む方の満足が得られることが重要ですね。

教えてくん
どんな色でもいい、というのは意外です。

黒田先生
色選びにタブーはないのです。

ただ、外壁の色と洋服の色は同じように扱うと大変なことになりかねませんね。外壁は家の持ち主の物でありながら、街の景観の一部でもあります。街並みを崩さず、こうしたいという思いを実現させることが重要だと思います。

教えてくん
でも、周囲の環境まで考えるとなると、色の知識の無い一般の人とっては外壁の色選びはとても難しいのではないでしょうか?

黒田先生
たしかに、色そのものを考えると難しいかも知れないですね。

そこで私がお伝えしておきたいことは、「イメージを考える」ということです。

たとえば「重厚な感じにしたい」や「さわやかな感じにしたい」「優しい感じにしたい」など、自分が理想とするイメージを言葉にしてみるのです。

それぞれの色には、それぞれ違った印象が付随します。色から印象を考えるのではなく、その印象から色を考えるという方法です。

色のイメージ

教えてくん
自分がどういうイメージにしたいかで色を決めるということでしょうか?

黒田先生
そうですね。どういうイメージにしたいか、という言葉には基本的に二つの要素があります。

ひとつは自分の思いです。自分の好みの問題に当たります。もう一つは周囲への配慮です。

外壁というのは外から見える部分になります。ですから、自分の思いと同時に「人からどう見られたいか」も考えるとより良いと思います。

この両者を踏まえた上でイメージを考えると、理想的な結果が得られると思いますよ。イメージさえ決まれば具体的に提案していけますから。

教えてくん
なるほど、自分の思いと周囲への配慮ですね。

2.建物のスタイルや街並み・環境から離れすぎない色を選ぶ

色からイメージを考えるのではなく、イメージから色を考える、というお話をしていただきました。その中で「周囲の環境への配慮」というお話がありましたが、さらに詳しく色選びの際に配慮すべきことについてお話を伺いました。

教えてくん
自分の理想とするイメージを熟慮するということは理解できたのですが、自分の求めているものと現実には時としてギャップがあると思います。

黒田先生
確かにあります。

そのギャップを生む要素をひとつ挙げるならば、建物自体とイメージの差がありますね。建物がどっしりと重厚感があるのに、色味にポップなかわいらしいイメージを求めると失敗してしまいます。

他にも門構えや塀、庭の植栽によって使える色が変わってきます。

敷地外の要素としては、建物のある場所、近隣とのバランスも大きな要素になるでしょう。

別荘地にある建物と住宅地にある建物、商業地に隣接した建物では、それに似合う色が異なってきます。

さらに大きなところでいうと気候も影響するのですよ。

教えてくん
温かい、寒い、湿潤、乾燥などの気候ですか?

黒田先生
はい。たとえばカリフォルニアのような湿度の低い太陽光の強いところでしたらパステルカラーのような色味もマッチするでしょうが、日本のように湿度が高いグレイッシュな場所では浮いてしまうことがあります。

けれども絶対にダメということではなくて、うまくまとめることもできる場合があるのです。そこは地域に根ざした塗装のプロの腕の見せ所だと思います。

建物の色のイメージ

教えてくん
色の流行についておうかがいしたいと思います。
服飾業界では毎年、流行色の発信をしていますね。これは外壁塗装でも当てはまるものなのでしょうか。

黒田先生
服飾に向けた流行色の発表はなされていますが、今は20年、30年前ほどの影響力はなくなってきているのではないでしょうか。個性の時代になってきていると感じています。

「流行色という路線があるのね。だけど私はこれでいくわ」というような、それぞれが意見を持ち、それを主張する世の中になっていると思います。

教えてくん
個人の嗜好が多様化して、意見をもって主張する傾向にあるのですね。

3.「配色」と「色のバランス」のコツ

イメージから色を考えるということ、そして、色選びの際に配慮すべきことについてお話をしていただきました。さらに具体的な色選びのコツとして「配色」「色のバランス」について詳しくお話を伺いました。

教えてくん
配色についておうかがいします。より自分のイメージに近づけるために、複数の色を希望する方もいらっしゃると思います。その際に気をつけることはありますか?

黒田先生
ベースカラー(基本)・アソートカラー(調和)・アクセントカラー(変化)という考え方があります。これは男性のスーツ姿にたとえると分かりやすいかも知れないですね。スーツがベース、ワイシャツがアソート、ネクタイがアクセントというイメージです。

全体の7割の印象がベースカラーで決まります。そこに変化をつけるのがサブカラーといわれるアソートカラーです。さらに印象を強化するのがアクセントカラーという位置づけです。

教えてくん
ベースカラーが7割も占めるのですね。スーツの例えはわかりやすいですね。

黒田先生
イメージした言葉をベースカラーに落とし込み、それを補助するためにアクセントカラーを用いて、さらに個性をプラスするためにアクセントカラーを用いる感じですね。

たとえばイメージする言葉が「高級感があって親しみやすい」という言葉だとします。両者は対極にある言葉です。これを一色で両立させることはできないんですよね。

この場合ならば、どちらがより強い思いかを決めてもらい、 「高級感」を感じられる色をベースに「親しみやすい」色をアクセントとして入れる、という方法もあります。

ベースを際立たせるための配色やベースをぼかす配色など、目的に応じてさまざまな取り合わせがあります。

配色構成とは

色と色を組み合わせる場合には、面積比を考えることで配色のバランスが良くなります。
  1. 表現したいイメージの中心となるベースカラーを決めます。
  2. アソートカラー、アクセントカラーで配色のイメージを発展させましょう。

ベースカラー

最も大きな面積を占め、配色の中心。背景色となる色で全体のイメージを大きく左右します。

アソートカラー

ベースカラーとアクセントカラーの間をとりもち、安定させる役割。ベースカラーの次に面積が大きく主役に近いイメージの色です。

アクセントカラー

変化をつける色。小面積で使用しましょう。個性的な印象を付加したり、全体を引き締める効果があります。比較的はっきりした色でも構いません。

配色

 

教えてくん
やはり理想の状態をイメージすることが大事なのですね。

黒田先生
そこに尽きますね。いい配色、悪い配色というのは基本的にはありません。

あるとするならば、その表現の意図に合っているかどうかという点だと思います。

教えてくん
配色というのは、表現したい意図に近づけていく作業なのですね。

黒田先生
その通りです。配色のとき役立つ言葉を一つお教えしておきますね。

配色には大きく分けて「まとまる」と「際立つ」の二つがあります。これはどちらが優れている、劣っているということではありません。自分の出したいイメージに合わせることが重要なのです。

ただ、注意しなくてはならない点もあります。いずれも「やり過ぎ」はいけないということです。

「まとまりすぎ」はぼんやりとなりますし、「際立ちすぎ」はガタガタうるさくなってしまいます。統一と変化のバランス。まとまった中にも変化をつけ、変化の中にも統一性を見つけることが大事です。

 

4.外壁塗装をの色を相談する時のポイント

教えてくん
外壁塗装をしようと考えていらっしゃる方々に、業者との相談の際のポイントを教えていただけないでしょうか?

黒田先生
建物や周囲の環境を理解することですね。

美容院に自分と違うタイプのモデルさんの写真を持っていって「こんな風にして欲しい」とお願いしても、イメージ通りにならないことがあります。

これは自分とその女優さんとのイメージが遠いことに原因があることが多いですね。

同様に、ご自身の素敵な家があっても、形や路線が違う他の家を参考にしてしまうと失敗しやすいと思います。

やはり自分の家を見つめなおすことに帰結しますね。自分の家のいいところを知り、それを生かすことが大切だと思いますよ。

教えてくん
建物そのものの理解もそうですし、周囲の環境への理解も必要なのですね。

黒田先生
まったく同じならば、そのまま持ってきて正解でしょうが、そうはいかないですから。

家々がギュッと詰まっている立地もありますし、広くとられているところもあります。これだけでも見える範囲が違いますし、受ける印象も異なります。

加えて建物の壁以外の部分も考える必要があると思います。

教えてくん
建物は外壁だけではなく、多くの部分によって印象が変わるということですか?

黒田先生
はい。外から見えるのは壁だけではありません。屋根もありますし、塀もあります。

ですから、とりあえず古くなったから壁だけ塗り替えようというのはもったいないと思います。

せっかく塗り替えるなら、自分の理想とするイメージに近づけるために屋根や塀など建物全体を1セットで考えた方がより効果的だと思います。

壁は明るくなったが屋根はちょっとイメージと違うから、といったことが出てきたら無駄な出費が増えますから。

小出しにリニューアルするよりも、ちょっとだけ予算をがんばって全部一緒にやった方が結果として安くなりますし、満足感も高まると思いますよ。

教えてくん
確かに一部だけ真新しくなったら、塗装以前よりバランスが崩れてしまうことになりかねませんよね。

黒田先生
はい、全体的にとらえるべきだと思いますね。

大きな目で全体のバランスを捉えたら大きなズレはなくなると思います。全体的に華やかになったとか、優しい感じが生まれたといった具合です。

外壁塗装は、すぐに着せ替えられない服を家に着せるようなものです。

だから、そのときの気分だけで決めてしまってはいけません。一歩置いて客観的に長い目で見て考えましょう。

教えてくん
黒田先生、ありがとうございました。

まとめ

・外壁の色を選ぶ時は、色を考えるのではなく「重厚な感じにしたい」や「さわやかな感じにしたい」といったイメージを考える。

・建物のスタイル・建物のある場所、近隣とのバランス、気候も考慮する事が大切。

・配色はベースカラー(基本)・アソートカラー(調和)・アクセントカラー(変化)を意識する。

・自分の家の形やスタイルをしっかり見つめなおして、自分の家の良いところを活かす。

まずはイメージを考えることが第一歩。配色は専門的な面もあるため、塗装会社にイメージを伝えてから提案をもらうのが良いでしょう。

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