雨

この記事をご覧の方は「雨漏りの修理に火災保険を使える」という情報をどこかで得られたことと思います。雨漏り修理は、火災保険を適用することができますが、適用されるには条件があるので注意が必要です。また、これを悪用する業者もいるので、火災保険を利用する際は気をつけなければなりません。この記事では、火災保険についての適用条件、ポイントを紹介します。正しい知識を身に着け、火災保険をうまく活用しましょう。

1.火災保険で雨漏り修理はできる!適用される条件とは?

雨漏り修理は、火災保険を使うことができますが、適用条件があります。ひとつずつ紹介していきます。

1-1.自然災害の影響による雨漏りは適用される

火災保険が適用されるケースとして、まずは雨漏りの原因が「自然災害によるものか」が重要となってきます。経年劣化や人的な被害による雨漏りの場合は、火災保険が適用されません。

◎適用されるケース|「風災」「雪災」「雹(ひょう)災」

詳細具体例
風災台風、竜巻、防風、強風、旋風等の強い風による被害・瓦のずれ
・雨樋や屋根の変形、破損
・飛来物による破損 等
雪災大雪、雪崩等による被害・屋根に積もった雪の重みによる被害
・積雪の落下による破損
・雪解け水による被害 等
雹災雹による被害・雹による屋根の破損 等

これらの自然災害による雨漏りの場合は、火災保険が適用される可能性があります。
しかし、雨や雪の吹き込みによって雨漏りが発生しても、適用されない場合があります。「吹き込みによって」となると、そもそも経年劣化による外壁や屋根にひび割れ等があった場合、「風災」によるものではなく「経年劣化」による雨漏りとして判断されてしまう可能性もあります。
審査結果が出るまで、自然災害として絶対認定される、とは言い切れないので注意が必要です。

※雨漏りは「水災」ではない
雨漏りは漏水の被害であり、水災と勘違いしてしまうかもしれませんが、水災とは洪水・高潮・土砂崩れ等の自然災害を指します。

補足

まずは、加入している火災保険の保険証券を確認しましょう。ない場合は、保険会社へ問い合わせしましょう。保険の種類は、大きくわけて住宅火災保険と住宅総合保険の2種類です。

災害被害ごとの適用条件早見表(加入されている保険と異なる場合があります)

火災落雷破裂・爆発風災・雪災・雹災水害水漏れ暴行・破損物体飛来・落下・衝突盗難
住宅火災保険
住宅総合保険

※「水漏れ」とは、給排水施設に生じた事故または他の戸室で生じた事故による水漏れを指します。雨漏りのことではありません。

火災保険と火災共済の違い

火災保険とは別に火災共済があります。共済額(補償額)や補償の範囲等が異なるため、間違えないよう注意しましょう。

火災保険火災共済
運営保険会社非営利団体
補償の範囲火災・風災・雪災・雹災・水災・落雷・落下・飛来・衝突・破裂・爆発・盗取・損傷・汚損 等火災・風水害 等
支払い限度額大きい少ない

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1-2.被害を受けてから「3年以内」に申請が必要

保険法により、雨漏りが発生してから3年以内に申請しないと、時効をむかえてしまいます。また、上記に記載した通り、自然災害で被害を受けたとしても、時間が経つと「経年劣化」として扱われる可能性も大きくなってきます。3年以内といえど、できる限り早く申請しましょう。

保険法 第95条
保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第63条又は第92条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、3年間行わないときは、時効によって消滅する。

1-3.保険の種類によっては少ない修理費用だと保険料が受け取れない

雨漏りの修理に火災保険を適用する場合、保険の種類によって保険料の受け取り可否金額が変わります。

●免責方式の場合

免責方式とは、予め自己負担額(免責金額)を決めておくタイプのものです。

例:自己負担額5万円に設定していた場合

受け取れる場合:損害額40万円 ー 自己負担額5万円 = 受取保険料35万円
受け取れない場合:損害額1万円 ー 自己負担額5万円 = 受取保険料0円

上記のように、自己負担額として設定していた金額よりも損害額が小さい場合、保険料は発生せず、自身で負担することになります。

●損害額20万円以上型の場合

損害額20万円以上型の場合、損害額が20万円以上の場合のみ、保険料を上限まで受け取ることができます。

受け取れる場合:損害額40万円 = 受取保険料40万円(※上限が40万円以上の場合)
受け取れない場合:損害額19万円 = 受取保険料0円

保険会社によって、保険のタイプは異なります。火災保険を申請する場合は、まずは加入している保険がどちらのタイプなのか、確認しましょう。

2.火災保険が適用されるまでの手順

具体的な申請の流れと適用されるまでのポイントをご紹介します。

また、これから紹介する一連の作業はご自身でおこなうことができますが、見積書や報告書の作成等専門性が高く難しい作業となる為、修理業者へ依頼することとなります。「火災保険の申請のため」と事前に伝えれば、スムーズに対応をおこなってくれますが、業者選びには十分注意が必要です。次章で詳しく説明します。

2-1.保険会社、保険代理店へ連絡

まずは、保険会社または保険代理店に、被害の内容(雨漏りの原因等)を説明します。その際に、詳しい状況を説明できるほうが良いので、予め修理業者に相談し、見積や報告書を作成してもらっておくとスムーズですが、業者選びについては次章で詳しく説明します。

2-2.保険会社からの案内・書類の記入、申請

保険会社から書類が届きます。申請時に提出する主な書類は、下記3点です。

①保険金請求書
②事故状況報告書・損害箇所の写真
③修理費見積書

報告書には、下記内容を記述しておくと良いでしょう。

・契約者氏名、保険証書番号
・損害発生の日時
・損害発生の状況
・事故の原因
・損害のあった家の住所
・損害箇所を示した家の見取り図 等

2-3.保険会社による現場調査

申請を受けた保険会社が、損害鑑定人を派遣し、現場調査を実施します。具体的には、第三者機関のプロの鑑定人が、保険申請内容をもとに現場調査をおこない、損害状況の調査や自然災害による被害の有無、被害額を算定した報告書を作成し、依頼された保険会社に報告書を提出します。

2-4.現場調査結果の連絡を受ける

現場調査の結果を受けて、保険会社が審査をおこない、申請内容が認められれば、加入者へ保険金が支払われます。連絡を受けたら、修理業者へ雨漏りの補修工事を依頼しましょう。

2-5.雨漏りの補修工事をおこなう

雨漏りの補修工事は、かならず申請が下りた後におこないましょう。雨漏りの火災保険申請は、必ずしも申請が下りるとは限りません。経年劣化によるものと見なされた場合、申請は下りずに保険金は支払われませんので、必ず申請が下りた後に修理業者と補修工事の契約をおこなうようにしてください。

 

以上が一連の流れです。手順について、下記図も参考にしてください。(赤字が保険加入者ご自身でおこなう作業)

保険の流れ

 

3.悪徳な修理業者に要注意!信頼できる業者の選び方

火災保険を使用して雨漏りの補修をおこなう際、必ず修理業者をご自身で探す必要があります。
修理業者から「火災保険を使って雨漏りの補修工事ができます」と言われてから火災保険の申請を検討している方もいるかもしれませんが、2章で説明した通り、火災保険を使用して雨漏り修理をおこなう際に、まずは修理業者へ見積依頼をおこないます。
その時、火災保険の保険金申請を口実に工事契約を迫ったり、保険金をだまし取ろうとする悪徳業者が少なからず存在するということに十分注意してください。

3-1.悪徳な修理業者の甘い話には要注意

「自己負担ゼロで修理ができます」「申請は絶対に通ります」などという修理業者には注意が必要です。契約している保険内容は、各家それぞれ異なりますし、1章で述べたとおり、火災保険が絶対に適用されるという保証はありません。

また、このような修理業者に見積りや報告書の作成の依頼をすると、工事の契約を迫ってくる可能性もあります。実際に工事を依頼した際に「申請手数料」等といって保険金の2~3割程度の額を請求してきたり、工事を断ったらキャンセル料を請求してくる業者もいます。

3-2.保険が適用されるまでは工事の契約をしない

このように、火災保険を餌に工事を勧める悪徳な修理業者によるトラブルを回避するために、必ず火災保険が適用されるまでは工事の契約はしないようにしましょう。契約してしまった場合、申請が通らなかった際に自己負担で工事をしないといけなくなる可能性があります。まずは、火災保険申請のための現場調査と見積り作成を依頼し、火災保険の申請が通ったら工事をする旨を伝え、工事の契約は申請が下りた後におこないましょう。

また、保険の申請は必ず自分でおこないましょう。加入者本人でなければ申請はできません。「代理で申請します。」などと言ってくる修理業者とは、契約してはいけません。

3-3.優良業者の探し方

では、良い業者はどのようにして探したら良いでしょうか。

まずは、火災保険を適用した工事の実績がある修理業者へお願いすることです。実績がある業者は、火災保険の申請の流れ等を把握しているため、スムーズに進めることができるでしょう。
実績の有無は、ホームページをチェックしてみてください、ホームページに記載のない場合は問い合わせ時に確認しましょう。

また、雨漏りの原因特定はとても難しいといわれています。雨漏りの調査が適当で原因を正しく特定できなかったり、修理が雑な業者に依頼した場合、雨漏りが直らずに何度も追加費用を支払うことにもなります。雨漏り修理の実績が豊富にあり、散水調査等、現場調査を入念におこなってくれる業者を選びましょう。

▼雨漏りの原因について知りたい方はこちら

まとめ

いかがでしょうか。
火災保険を使って雨漏りの修理をおこないたい場合は

①加入している火災保険を確認する
②雨漏りの原因が自然災害によるものか調査する
③悪徳な修理業者に注意し、信頼できる修理業者へ依頼する

この3点に注意してください。
火災保険の知識を正しく身につけ、有効活用しましょう。

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