外壁塗装 種類

外壁塗装にはどのような種類があるのか、それぞれ価格帯はどのくらいなのか、一般的にオススメはどれなのか…特に外壁塗装を初めてされる方は、そのようなことを探ってはいませんか。
また業者にオススメの塗装方法を言われたけれども、それが正しいのか、他にも種類があるのではないか…と思われた方もいるかもしれません。

皆さんが思っている通り、外壁塗装には多くの種類があります。よって迷うのは当たり前なのです。
しかし難しく考える必要はありません。抑えるポイントが分かれば、希望の外壁塗装の種類を見つけることができます。

この記事ではそんな、自分の家に合った外壁塗装の種類の見つけ方、外壁塗装する前に押さえるポイントを解説致します。

1.外壁塗装の種類は使用塗料で決まる

結論から申し上げますと、外壁塗装の種類は、外壁塗装をする際に使用する「塗料の種類」によって決まります。塗装工事の流れはどれも基本的には同じで、足場設置→洗浄→塗装、という形で進みますが(場合によっては順序が入れ替わることもある)、その中で唯一変わってくるのが塗装のときに使用する塗料の種類なのです。

近年の塗料は、色をつける用途に加えて、様々な機能を備えているものが多くあります。例えば雨漏りが気になるなら防水機能のついた塗料、暑さが気になるなら太陽光を反射してくれる遮熱機能のついた塗料、という形で、塗料の性能=外壁塗装の効果とになるのです。
※塗料の効果を発揮するには職人の施工技術・工事品質も影響します。

塗料の種類を表にしてみると下記のようになります。

【塗料の種類】

塗料樹脂名特徴耐候年数・平米単価
アクリル・ウレタン値段が安く、耐候性も低い3~5年

1,000~2,000円

シリコン価格と機能のバランスが良い7~10年

2,000~3,500円

フッ素コストも高いが、その分耐候性が高い12~15年

3,000~5,000円

ピュアアクリル防水性に優れており、耐候性も高い15年

3,500~5,000円

光触媒太陽の光と雨水で汚れを洗い流してくれる
耐候性は高く、コストも高め
15年

4,000~5,000円

無機耐候性に優れる15年~20年

3,500~5,000円

しかし、このように多くの種類・機能の中から、希望の使用塗料をどのように見つけていけばいいのか、いまいちわからないかと思います。

2章からはそんな外壁塗装の種類、必要な塗料を選ぶの時にに参考になる考え方、「目的ごとに塗料を選ぶ方法」「外壁の種類ごとに塗料を選ぶ方法」「色(イメージ)ごとに塗料を選ぶ方法」の3つの観点からご紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。

2.外壁塗装方法の見つけ方①目的ごとに塗料を選ぶ

最もわかりやすい切り口として挙げられるのは、外壁塗装をする上で何を目的にするか?を考えることです。ただ塗り替えた方がいいと思うから塗り替える、のではなく、自分の家の外壁をどのような状態にしたいかを考えてみましょう。塗装をすることにより、大きく分けて「外壁をより長持ちさせる為に保護機能をつける」・「外壁をより綺麗に保つ美観機能をつける」という2パターンに分かれます。ここで注意すべきは「長持ちする」=「綺麗に保つ」ではないということです。どちらの機能も併せ持った塗料もありますが、必ずどちらかの機能に傾きます。どちらにより重点を置くかを考えてみましょう。

2-1.外壁を長持ちさせる「保護機能」に重点を置く場合

外壁を長持ちさせることに重点を置きたい、家を長持ちさせ、孫の代まで引き継ぎたいというような方は、まず「耐候性(塗料の持ち)」の高い塗料を選びましょう。塗料は樹脂の違いによって、耐候性が変わってきます。一般的な塗料樹脂別に耐候性の低い順に表にしてみました。また、耐候性が高ければ高いほど塗料単価(初期費用)は高くなりますが、その分、次に塗り替える時期を遅くできるのでランニングコストは安くなります。
1回の塗装工事で、足場代・職人の人工代(人件費)・他費用がかかってくることを考えると、結果的に長持ちする耐候性の高い塗料を選んでおいた方がお得だということはおわかりかと思います。

また、耐候性の高さを重視しつつ、外壁を保護する機能として「防水機能」のついた塗料を選ぶことをおすすめします。「防水機能」のついた塗料の特徴として、塗膜が伸び縮みする弾力性をもち、壁がひび割れた際にその壁に塗膜(塗料を壁に塗った際に膜)が追随して、外壁に雨水が入るのを防いでくれます。これにより外壁の下地がひび割れ、そこから雨が浸入してしまうことから始まる雨漏りを防ぐことができるのです。よって雨の浸入から壁を守ってくれる、ひび割れに強い弾力性をもった防水塗料を選ぶことで外壁を保護できます。

以上の2点「耐候性」と「防水性」に重点を置くことで外壁を長く保つ「保護機能」をつけることができます。

【防水系塗料の例:EC-5000PCM(アステックペイント)】

2-2.外壁を綺麗に保つ「美観機能」に重点を置く場合

家を建てた当初に比べ色が褪せてきた、新築時の艶がなくなってきた、雨筋汚れが気になる・・・という方は外観の「美観」を重視した塗装を考えてみましょう。

現在多くの塗料メーカーが「低汚染塗料」と呼ばれるものを出しています。どういうものかというと、汚れを雨で洗い流してくれる親水性という機能をもっており、ずっと汚れの付かない、塗り替え当初の色を保つことに特化しているのです。また1-1の表にも記載しましたが、これにプラス太陽光の光を使って、より汚れを付きにくくする(落ちやすくする)「光触媒塗料」というものもおすすめです。

また反対に、まだまだ外壁は綺麗だが、この状態を長持ちさせたいという方にお勧めなのが「クリヤー塗料」です。その名の通り、色はついておらず、透明の塗料でコーティングができるイメージです。この作業により、外壁を現状の状態でより長く保つことができます。
意匠性の高いサイディングと呼ばれる外壁のお家の方は、劣化が進むと外壁のひび割れが目立つようになるので、クリヤー塗装ではなく塗りつぶしの塗装しかできなくなってしまいます。

【低汚染塗料例:超低汚染リファイン(アステックペイント)、水性セラタイト(エスケー化研)】
【光触媒塗料例:ハイドロテクトカラーコート(TOTO)】
【クリヤー塗料例:無機ハイブリッドクリヤー(アステックペイント)、SKシリコンクリヤーW(エスケー化研)】

3.外壁塗装方法の見つけ方②外壁の種類ごとに塗料を選ぶ

2章で外壁に付けたい機能は選んだが、それが果たして自分の家の外壁に合ったものなのか…と気になる方もいるのではないでしょうか。
また2章で結局保護と美観、どちらに重点を置けばいいか決まらなかった方は、ご自宅の外壁に相性の良い塗料を選ぶという考え方もあります。

ここでは外壁の種類と機能の相性をご紹介します。

外壁名称特徴・問題点・塗料の選び方
窯業系サイディングa_igc14-494現在の住宅市場で最も多い外壁の素材。セメントを主な原料として作られており、耐火性に優れ、色や柄のパターンが多い。施工時より5~7年程で表面とコーキング(つなぎ目)部分の防水機能がなくなる。

コーキング部分を保護するための機能のついた防水塗料がオススメ。また蓄熱性も高いので付属として遮熱性もついていれば尚良し。

またデザイン性の高いもの(意匠系サイディング)には低汚染機能をつけ美観性を重視するのもあり。

リシン・スタッコ(モルタル下地)モルタル①(リシン)砂、セメント、水を練り混ぜてつくった素材(モルタル)に、樹脂に細骨材を分散させたリシンと呼ばれるものや、ゴツゴツとした凹凸模様の表情をもつスタッコと呼ばれるデザイン性を出したもの。

防水性能が低く、ひび割れが起こりやすいので雨水が浸入することによる雨漏りが起きやすい。

窯業系サイディングと同じくひび割れから雨水が浸入することによる雨漏りを防ぐ防水塗料がオススメ。
家が幹線道路沿いにあり、現状ひび割れというよりもリシンの凸凹の間に溜まった汚れが気になる方は、美観を重視した低汚染塗料を使用するのもあり。

金属サイディング19 金属サイディング表面はスチール板などで、裏には断熱材を入れたサイディングのこと。

断熱性・耐凍害性に優れているが、傷がつくとサビが発生しやすい。

サビを防ぐ防サビ性のついた塗料がオススメ。金属は熱の影響を受けやすいので、弾力性のある防水系塗料は、塗膜の熱膨れが発生してしまう可能性が高いため不可。

ALC(軽量気泡コンクリート)
ALC外壁
セメント、生石灰、石膏、アルミニウム粉末などを凝固させ180℃という高温、10気圧もの高圧の蒸気をかけて10数時間養生したもの。

耐火性・耐震性に優れているが、小さな気泡が多くあり吸水性が高い。一度水が入ってしまうとひび割れや欠けといった劣化に繋がるため、防水系塗料で守るのがオススメ。

【補足情報:水性塗料と油性塗料の違い】
塗料には大きく分けて「水性塗料」「油性塗料(溶剤塗料)」があります。どちらがいいのかと思われるかと思いますが、水性塗料も油性塗料(溶剤系塗料)も一長一短あり、一概にどちらが良いかは判断できません。

世の中の流れとしては、健康や環境への影響を考慮して、原因物質の一つとされるVOC排出量の少ない水性塗料を積極的に採用する傾向にあります。とはいえ、油性塗料(溶剤系塗料)は絶対採用するべきでないかというと、そうとも限りません。油性塗料(溶剤系塗料)は浸透性や密着性に優れ、塗膜の緻密度も高く、水性塗料よりも乾燥時間が少ない為、施工不良を起こしにくいなどのメリットもあります。

知識のひとつとして知っておくと、業者とのお話も進めやすくなります。

4.外壁塗装方法の見つけ方③イメージ(色)をもとに塗料を選ぶ

特に美観に重点を置く際にやっぱり気になるのはデザインですよね。もちろんそこから考えることから始めるのも方法のひとつです。
ここでは、実際に建物の外装、内装のカラーコンサルタントである株式会社ケイズカラープランニング代表黒田尚美先生がオススメする家のコーディネートパターンの中から、現在住宅市場で人気なパターンを3つ、また色選びする際の注意点も併せてお伝えします。

4-1.ベージュ、白系でナチュラルな印象に

ナチュラル

高級感のある檜皮色(ひわだいろ・8077)のような重厚な色も練色(ねりいろ・8096)を使用することで自然な暖かさを与え、ナチュラルに仕上げることができます。香色(こういろ・8097)も上品さと共に穏やかなイメージに仕上がります。

4-2.ダークな黒、グレー系でシックな落ち着いた印象に

黒

消炭色(けしずみいろ・8079)は重厚さを与える色。薄丁字(うすちょうじ・8084)でやわらかさを与えながら、アクセントカラーに栗色(くりいろ・8076)の伝統的で優雅な色を少しだけ加え、個性を出しています。

4-3.赤茶、オレンジで明るい印象に

赤

少し濃い目の赤色(8069)に、やわらかなオレンジ色(9008)を組み合わせることで開放的な明るさを出し、親しみやすいイメージに仕上がります。

4-4.色選びする際の注意点

外壁の色を決める際、好きな色で、自分のイメージに合う色で、という安易な考えで早々に決めてしまうと、後悔してしまうこともあります。以下の注意点を踏まえた上で、焦らずじっくりと色決めしていきましょう。

・個人の好みだけで決定しない

外壁は毎日着替えられる洋服と違って、一度の金額もかさむので、一度塗り替えると最低でも5年はその色です。よって流行りや一時的な気分に左右されずに考えましょう。また周辺の環境から浮きすぎていないか、自分だけでなく一緒に住んでいる家族も納得した色か、いろんな要素を検討しましょう。

・建物の形・素材・スタイルを無視した色を選ばない

建物の形によって似合わない色、というのももちろんあります。例えば和瓦屋根で、和風なつくりのお家の外壁に派手な赤・ピンク色は合わないなどです。また庭や玄関のつくりも見て、どのようなイメージの家にするかを決めてから、色選びに進んだほうが良いでしょう。

・本当の色は塗るまでわからない

面積効果、という言葉をご存知でしょうか?よく塗料メーカーや施工店が見せてくる色見本だとひとつひとつが小さく、似た色同士の違いがわからなくなったりしますよね。面積の大小により色の見え方が変わることを面積効果といいます。大きな面積になると、明るい色はより明るく、鮮やかな色はより鮮やかに、暗い色はもっと暗く感じます。

実際塗ってみると何か違う・・・ということを避けるためにも、施工店にA4サイズくらいの大きめの色見本を用意してもらうか、可能であれば、どこかに試し塗りをしてみることをおすすめ致します。
艶感を確かめる為にも、試し塗りをしてみると、「思ったよりビカビカに光沢がありすぎる」や「もっと艶感があると思ってた」というようなギャップを防ぐことができます。

また、天気によっても色は変わります。例えば太陽光の光が強く、反射率の高い晴れの日には全体的に色が明るく感じ、夕方は太陽光が赤みを多く含むので色味が変化します。いろんな天気、時間帯でチェックしてみましょう。

より詳しく色選びについて知りたい方、他の色の組合せイメージも見てみたい方は、こちらも御覧ください。
外壁塗装の色選びで成功する為に押さえる6つのステップ

6.劣化が進んでいて塗装ができない場合の対処法【張り替え・重ね張り】

これまで塗装方法の選び方について解説してきましたが、外壁の劣化状態によっては塗装ではメンテナンスできない場合があります。
例えば塗装をする基材が腐食してしまっている場合です。そのまま塗料を塗ってもしっかりと密着せず早く剥がれてしまいますので塗装以前の問題になるのです。

重ね張り

その場合の対処法としては外壁材の張り替え・重ね張りの2点あります。
張り替えとは既存サイディングボードを撤去して新しいものを貼る、重ね張りとは既存サイディングボードの上から新しいボードを貼る対処法です。上から塗料を塗るだけの塗装に比べると工事も大きなものになり、材料代もかかってきますので、自然と費用は高くなります。よって、塗装で早めのメンテナンスが良い、と聞いたことがある方もいるかと思いますが、こういった理由があるのです。

このように外壁の劣化具合によって、塗装よりも良い方法がある場合もあるので、まずはご自宅の外壁の状態を専門業者に見てもらい、費用も踏まえてどのようなメンテナンス方法があるのか考えていきましょう。

張り替え・重ね張りの詳しい説明はこちらをご覧ください
外壁リフォームの種類とかかる費用のまとめ
屋根外壁リフォームの基礎知識と3つの工法を徹底比較!

7.【補足情報】外壁塗装をする際に屋根塗装も同時に行った方がお得

モニエル瓦の屋根塗装

目に見える外壁ばかり気にしてしまい、意外と見落としやすいのが屋根です。結論から申し上げますと、外壁塗装と屋根塗装は同時に行った方が良いです。壁が劣化するのと同様に、屋根ももちろん劣化します。外壁塗装と屋根塗装を同時に行った方が金額的にもお得な場合が多いですし(セットプランを提示している塗装業者は多い)、メンテナンスの時期も今後合わせていくことができ、反対にどちらかずつ順番にしていくとその分足場代(職人が塗装作業をする際に使用する組み立て式の足置き場)が余分にかかってしまいます。

また、少し手間はかかりますが、外壁塗装を依頼する業者ははじめからひとつに絞るのではなく、数社から見積りを取り、話を聞くことをお勧めします。
金額の比較もそうですが、対応の仕方や扱っている塗料も業者によって違うので、大体2~3社で見積りを取り、比較検討してみましょう。

業者選びに関して詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
外壁塗装で成功するための8つの注意点と対処法

見積書の見方に関して詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
塗装工事の単価は?塗装工事の見積りはここを見よう!

※屋根は自分ではすぐに見えない場所で、むやみに登ると危ないので、必ずプロの専門業者に来てもらい、外壁と同時に状態確認をしてもらって現状把握をしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。読者の方にとって、内装に比べてあまり親しみがなく、難しく考えがちな外壁塗装ですが、ポイントをおさえればご希望に添った外壁塗装を行うことができます。

・なぜ外壁塗装をしたいのか
・自宅の外壁はどんな種類なのか
・どんな外壁にしたいのか
・どんな色(イメージ)に仕上げたいのか

上記4つの観点を踏まえて、この記事を参考にしていただき、楽しみながら外壁塗装について考えていただければ幸いです。