「自分で外壁塗装したいけど、塗り方が分からない」「そもそも何を使えばいいの」そんなお悩みを解決します!外壁塗装は正しく行わなければ塗装の効果を発揮することが出来ません。
ここでは外壁塗装の正しい塗り方、使用する道具、外壁塗装のDIYの注意点をお伝えしますので、是非参考にして下さい。

1.正しい外壁塗装の塗り方

1-1.正しい塗り方

建物の劣化の一番の要因は、塗膜の防水機能が低下することにあります。
塗膜の防水性が切れてしまうと、外壁材に直接雨水や紫外線が当たり、外壁材や住まいの構造体の劣化・雨漏りにつながってしまうからです。

そのまま放置しておくと外壁塗装だけでは済まされず、「建て替えないと、住める状態ではありません」なんて状態にまで発展してしまう恐れもあります。
ですから、「定期的なメンテナンス=定期的な塗替え」が必要となってくるのです。

・手順

手順としては、以下の流れとなります。

足場組立

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足場を組立て、洗浄水の飛散を防止するシートを掛けて養生する。
洗浄

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塗料と建材の密着を強くする為、外壁に付着した埃や汚れを落とす。
下地補修

下地補修

外壁のひび割れや劣化したシーリング(コーキング)等の補修を行う。
養生

養生

窓ガラスや植木・地面の床等、塗料が付いてしまうと不都合な場所をビニールやテープで覆う。
塗装(下塗り)

下塗り

下塗りは、仕上がりの色となる上塗り材と外壁を密着させる接着剤のような役割を果たす。
塗装(中塗り・上塗り)

上塗り

実際の仕上がりの色の塗料を塗る。塗料の性能を発揮させる為、基準塗布量と乾燥時間を厳守して、塗り重ねる。
足場解体

足場解体

足場を解体する。

※足場は専門家に組み立ててもらうことが必要です(平均価格15~20万円)。

・塗り方

塗り方には大きく2つの方法があります。

「ローラー工法」と「吹き付け工法」という方法です。

~ローラー工法~

原液に近い状態で手塗りしますので、環境問題や騒音対策といった面で問題が出にくいです。
手間がかかる分、分厚い膜厚をつけることができるので、吹き付け工法より耐久性が高くなります。

ウールローラーが一般的には使われていますが、傷みのひどい場合やとにかく強い塗膜にする場合は、砂骨ローラー(マスティックローラー)という最も膜厚を作れるローラーを使います。
気になる方は業者にどんなローラーを使うのか質問してみるのもいいでしょう。

メリット:耐久性が高い。環境に優しい。塗料が周りに飛び散る可能性が少ない。

デメリット:手塗りローラー工法は膜厚が厚い為、乾く時間が多くかかる。吹き付け塗装のように豊富な仕上げ模様がない。

~吹き付け工法~

スプレーガン、コンプレッサーといった機械をセットして、大きな音を出しながら外壁に塗料を吹き付けます。

手塗りに比べて一気に塗れるので楽に早く塗れます。
手塗りだと、どうしても塗った感じが出てしまいますが、吹き付け工法だと均一に塗料をのせることができるのでとてもキレイに仕上がります。

一方で、スプレーのように小さな穴から噴射するので、塗料を水やシンナーで希釈して使用します。手塗りした場合に比べて塗布量が少なくなりがちになってしまうので、塗料の本来の性能が発揮できるよう丁寧に施工することがポイントとなります。

また、塗料が拡散してしまうので、近隣の建物や車、洗濯物等に塗料がつかないように養生して、周りに迷惑がかからないような配慮が必要となってきます。

メリット:施工が楽。仕上がりがキレイ。

デメリット:ローラー工法に比べて耐久性が落ちる。塗料が飛び散るので養生が大変。騒音や環境問題が気になる。

・塗る際の基準

塗装する際には正しい塗布量、塗り重ね乾燥時間(インターバル)を守ることが大切です。
塗料を塗る際には各メーカーより指定されている塗布量を守らなければなりません。

基準塗布量を守った塗膜を確保しないと、その塗料がもつ本来の性能は発揮されません。

また、下塗り、中塗り、上塗りと工程を重ねていく上で大切なのが塗り重ね乾燥時間(インターバル)です。基本的に下塗り、中塗り、上塗りの乾燥時間に最低1日はかかります。

一般的には温度が低い方が乾きにくく、湿度が高い方が乾きやすくなります。

インターバルは、塗料によって異なってきます。「夏場20℃以上で~時間、冬場10℃で~時間」などと塗料ごとに決まっているので、インターバルが不十分だと塗料の耐久性・性能が落ち、塗膜が剥がれてしまう原因となるのです。

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1-2.正しく塗らなかった場合に起こるトラブル

①塗装面での仕上がり(光沢)差

症状正面もしくは斜めから見ると、光沢が異なる箇所がある。
原因仕上げ時のローラーの方向が違う。塗着量(塗装する対象物に付着する塗料の量)が違う。
対策目地から目地の見切り箇所は同じ方向にローラーを動かして仕上げる。また、塗布量を揃えるために、同じ中毛ローラーでも、毛足の長さが同じものを使用すること。

②塗膜の白濁

症状塗膜が白濁(白い点々がつく)する。
原因塗膜が十分に乾燥する前に水分(雨や結露等)の影響を受けると、その水分を吸収し、塗料の状態に戻ってしまい(再乳化)その箇所が白濁となる。特に冬季に生じやすい現象である。
対策十分に雨養生をすること。晴天時に一時的に白濁が消えるが、雨天時に再発することがある。その3ヶ月~最長1年程度はこの現象が続く場合がある。

③塗膜剥離

症状塗膜がところどころ剥離している。
原因使用する上塗り材専用の下塗り材を使用しなかった場合や下塗り材の塗布量不足、下地処理不足によって密着不良を起こした。
対策剥離が起こっている箇所を中心に塗膜を完全除去。吸い込みが止まるまでたっぷり下塗りを塗布してから上塗りを塗布すること。

④塗膜の膨れ

症状塗膜が水膨れのように膨れている。
原因外壁内部に水が浸入し、それが蒸発する際に(気体になると体積もおおきくなるので)内部で膨らみを作ってしまう現象。使用する上塗り材専用の下塗り材を使用しなかった場合や下塗り材の塗布量不足によって発生する。
対策塗料の塗り重ね時間(インターバル)をしっかりとる。膨れを撤去し、シーラーという下塗り材を塗り、膨れを樹脂モルタルで補修し壁の模様を付けてから、塗装をすること。

2.外壁塗装に用いる道具の特徴・使い方

2-1.刷毛

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塗装の道具には様々なものがありますが、まずはじめに思い浮かべるのは刷毛ではないでしょうか。刷毛には沢山の種類があり、塗る塗料や場所によって使い分けます。良く使う刷毛の形状は、柄が途中で折れ曲がっている筋交い刷毛と柄がまっすぐになっている平刷毛があります。筋交い刷毛は細かい場所などが大変塗りやすい使用頻度の高い刷毛です。平刷毛は広い面積を塗るのに適しています。

2-2.ローラー

外壁上塗

広い面を早く塗り進めることが出来るのが、ローラーです。塗る際は、塗膜面にムラが出来ないようにMの字に塗って塗料を配っておき、塗料を上下に塗り広げていきます。このような塗り方をするのは、縦に塗り進めてしまうと塗る度に塗膜が薄くなっていき、均一に仕上がらないことが多い為です。また、勢い良く塗ってしまうと塗料が飛び跳ねてしまうので、ゆっくりと動かして塗りましょう。

良く使用されるローラーとしてウールローラー、マスチックローラー(砂骨ローラー、多孔質ローラー、パターンローラーとも呼ばれる)があります。
ウールローラーは、壁面が粗い場合は長毛ローラー、平らで滑らかな場合は短毛ローラーを使用するのが一般的となっています。中毛ローラーはあらゆる壁面に使える万能型のローラーです。

マスチックローラーは、大きく分けて荒目と細目の2種類があります。荒目はさざなみ型模様の塗装面になります。細目ではゆず肌模様などと呼ばれる模様になります。他にも標準目や中目、極細目といった複数のマスチックローラーを使い分ける場合があります。

その他ローラーには、吸水性に優れたスポンジローラー、壁面に凹凸をつけることができるパターン用ローラー、パターンをつけた後にヘッドカットするヘッドカットローラー、ゴムローラーの表面に色々な切削加工をして使用する特殊形状ローラー等があります。

2-3.スプレーガン

 

スプレーガンはエアスプレーとエアレススプレーの2種類があります。

エアスプレーは空気を圧縮して噴出する時に塗料も一緒に噴出するスプレーガンです。多くの塗料を噴出して飛び散ってしまうので、無駄が多くなってしまう塗装方法でもあります。スプレーガンの上部に塗料を入れる容器がついているものが重力方式、下部についているものが吸い上げ方式、別のタンクに入れるのを圧送方式といい、それぞれ使用する機械や特徴が異なります。

エアレススプレーは空気ではなく塗料そのものを圧縮して噴出するスプレーガンです。空気を使わない分、塗料にそのまま圧力がかかるので一度に多くの塗料を噴出出来ます。また、飛び散りも少ないので、エアスプレーに比べて無駄が少ない道具とも言えます。

3.外壁塗装のDIY

外壁塗装の保存マニュアル総集編(種類・費用相場・色・時期・DIY)

初めて塗装を行う場合、小さなところから始め、刷毛やローラーの扱い方に慣れた段階で大掛かりな塗装に挑戦してみると大きな失敗を防ぐことができます。

3-1.DIYの注意点

①塗料は上の方から塗る

基本的には塗料は上の方から塗っていきます。塗装を行う前に塗る順番を考えておきましょう。

②均一に塗る

塗料を均一に塗るように心掛けましょう。下塗り、中塗り、上塗りと3回の工程を行い、均一に厚い塗膜をつくることで耐久性の高い丈夫な塗膜になります。薄くなってしまった場合は、塗装が完全に乾燥してからもう一度塗り重ねると厚く丈夫な塗膜になります。

③一気に塗らない

何面がある柱などを塗装する場合、一度に全ての面を塗らずに何面かだけを塗り、完全に乾燥してから他の面を塗るとキレイに仕上げることができます。

④塗り残しは塗装が完全に乾燥してから修正する

塗り残しがあった場合、塗料が完全に乾燥してから小さな刷毛で修正するとキレイに仕上げることができます。塗装が乾く前に触れてしまうと塗膜を引っ張てしまい、美観が損なわれる恐れがあるので注意が必要です。

3-2.必要なもの

DIYでは以下のものを用意しましょう。

・マスカー、マスキングテープなど

・養生に用いるビニール

・ナイロンタワシ、ハンドパッド、ワイヤーブラシなど

 

・サンドペーパー(布または紙)

 

・刷毛(幅2~5cmで大きさの異なるものを2、3本)

・ローラー

・下げ缶

・下塗り塗料(シーラー、フィラー、さび止め塗料など。溶剤系または水性の適する方を選ぶ)

・仕上げ塗料(好きな塗料を選ぶ)

・シンナー(溶剤系の塗料を使う場合は希釈用に必要)

まとめ

皆さんの家がさらに素敵な家に生まれ変わる為に、塗装は塗り重ね時間(インターバル)を守ること、塗布量を守り頑丈な膜厚をつくることが大事です。

また、DIYで塗装する際には換気に気をつけ、塗料の扱いに注意するといった安全管理もしっかり行いましょう。業者に塗装をお願いする場合にも同じことが言えます。適切なインターバル、塗布量かをしっかりチェックしましょう。

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