雨漏り コーキング

「雨漏りは、自分でもコーキング材を使って止められるらしい」

この記事を見られている方のなかには、そんな情報をキャッチして、その真偽を探っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。気になるのは、“ほんとうに、自分でもコーキング材で雨漏りを止めることができるのか”でしょう。

できるか・できないか、と言われれば、雨漏りはコーキング材を使って止めることができます。そしてコーキング補修は自身でもできなくはありません。

ただし、一つ言い添えておきたいのは、自身でコーキング材を使って雨漏りを止めるというのは、非常に難易度の高い作業であるということです。なにより難しいのは、雨漏りの浸入箇所を特定することでしょう。そもそも、どこが原因で雨漏りが発生しているかがわからないために、補修のしようもないケースが少なくありません。そのため、雨漏りを止めようと思ったときには、やはり業者に相談し、きちんとした補修をするのが賢明な選択と言えるでしょう。

それでも、「ひとまず、自身で雨漏り補修にチャレンジしてみたい」という方のために、この記事では、“雨漏りをコーキング材で止める方法”を3ステップでわかりやすく解説してまいります。また、最後には雨漏りを確実に止める方法についてまとめた記事のリンクも貼っておりますので、ぜひ、参考にしてください。

※「コーキング材」は、「シーリング材」と言うこともあります。どちらも同じ材料を指しています。

1.コーキング材を使って雨漏りを止める方法

雨漏りを止めるために、自身でコーキング材を使って補修する方法を具体的にご紹介します。

1-1.▼ステップ①|雨水の浸入箇所を特定する

雨漏りは下記のような劣化箇所から浸入している可能性大。下記のような劣化症状がないか、チェックしていきましょう。

劣化症状

コーキング割れコーキングの割れ

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コーキングの剥がれ

構造クラック
ひび割れ(0.3mm以上)

127 割れたサイディング欠けている箇所がある※

※右上のような「欠けている箇所がある」という場合、自身で対応できるレベルではありません。プロに補修を依頼しましょう。

(注意!)自身でコーキング補修できるのは外壁だけ!屋根はプロに任せるべし

「雨水の浸入箇所が屋根かもしれない」という場合は、無理せず、業者に依頼しましょう。自身で屋根の上にあがるのは、絶対にやめてください。うっかり足を踏み外して、大事故につながってしまう可能性もあります。

厚生労働省の労働災害統計によると、平成27年の建設業における墜落・転落による死傷災害は5,377件、うち死亡災害は128件にものぼります。きちんとした訓練を受け、万全の準備を整えて作業にあたるプロでさえ、これだけの事故が起こっていることを考えれば、素人にはどれほど危険なことかは言わずもがなでしょう。

屋根の上にあがるだけでも危険な中、コーキング材を使って補修するとなると、さらに危ない状況になるはずです。屋根からの雨漏りは、迷わず業者に依頼しましょう。

1-2.▼ステップ②|補修に必要な材料や道具等を準備する

下記の材料や道具等は、ホームセンターやインターネット等で購入可能です。

[コーキング材を使っての雨漏り補修に必要な道具一覧]

種類特徴価格相場
コーキング材1本でおよそ3m分の目地に打つことができます。500~2,000円/1本
コーキングガン容器に入ったコーキング材を押し出すための器具です。200~10,000円
マスキングテープ汚れを付けたくない箇所に施工前にマスキングテープを貼ることで汚れやコーキング材が付着するのを防ぐことができます。
1巻き18mのものが多いです。
300~500円/個
ヘラコーキングを打ったあとに、仕上げを滑らかにするために使用します。500円/1本

[参考|コーキング材3選]

 コーキング材

POSシール(セメダイン)

ボンド シリコンシーラント(コニシ)

 ウレタンシール S700NB(セメダイン)

1-3.▼ステップ③|劣化箇所を補修する

いよいよ、コーキング補修に入ります。ステップ①の「コーキングの割れ」「コーキングの剥がれ」と、「ひび割れ」の2つにわけてコーキング補修方法をご紹介します。

●「コーキングの割れ」「コーキングの剥がれ」をコーキング材で補修する方法

コーキングの割れ・剥がれといった劣化症状のある場合は、コーキングの“増し打ち”という方法で補修を行ないます。

コーキングの増し打ちとは、既存のコーキング材の上から、新しいコーキング材を充填する工法です。

コーキング材の増し打ち
【準備物】■コーキング材 ■コーキング(コーキング)材専用プライマー
■コーキングガン ■マスキングテープ ■ヘラ ■刷毛
 ▼壁にコーキング材がつかないよう、目地まわりにマスキングテープを貼り、既存のコーキング材の上から、刷毛でコーキング専用プライマーを塗布します。
▼コーキング材を充填します。
▼充填したコーキング材をヘラで押さえ、成形。最後にマスキングテープを剥がして完成です。

増し打ちは、あくまで応急処置です。すでに劣化の進行したコーキング材の上から増し打ちをしても、またすぐに劣化症状が発生してしまうこともすくなくないため、プロであれば、既存のコーキングを撤去して、新しいコーキング材を充填する「打ち替え」という工法を選択するでしょう。しかしながら、打ち替えは非常に難易度が高いため、素人が「打ち替え」をするのは、まず無理です。そこで、あくまでも応急処置として増し打ちを実施し、できるだけ早めに、プロに打ち替えによる補修を依頼しましょう。

プロが教えるコーキングのやり方全解説!


●「ひび割れ」をコーキング材で補修する方法

ひび割れ補修
【準備物】■プライマー ■コーキング材
▼コーキング材の密着性を高めるため、溝にプライマーを塗布。その後、溝にコーキング材を充填します。

参考出典:プロタイムズ大分中央店 施工事例URL:http://www.protimes-oitachuo.jp/seko/6236.html

▼ひび割れは、コーキング材以外をつかって補修する方法もあります。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

サイディング外壁のひび割れを見つけた時の補修方法

モルタル外壁のひび割れ・剥がれの補修方法

2.注意!自身でのコーキング補修はあくまで応急処置と考える

2-1.コーキング材を使っても、素人が完全に雨漏りを止めることはできない

導入部でもお伝えしましたが、コーキング材を使っての自身での雨漏り補修は、あくまでも応急処置であることは頭に入れておく必要があります。なぜ、これほどまでに「応急処置」であることを声高にお伝えするかというと、素人が雨漏りを完全に止めることは、まずできないからです。

そもそも、雨漏りには「こうすれば、絶対に雨漏りが止まる!」という確立された方法はありません。雨漏りを止めるには、知識や経験をもとに、“雨水が浸入している箇所”や“雨漏りの原因”を特定し、雨漏りを止める方法を探っていく必要があります。雨漏りを止めるのはプロでも難しく、いったんは止まったように見えても、しばらくして雨漏りが再発するケースも少なくありません。そのため、知識も経験もない素人が雨漏りを完全に止めるのは、まず無理と思っていただいて、間違いありません。

「業者を手配等する時間がない」「急にまとまった費用を用意するのが難しい」といった理由で、ひとまず自分でなんとかできないかという場合には、コーキング材を使っての雨漏り補修にチャレンジするのも一つの手でしょう。ですが、その後そのままにせず、できるだけ早い段階で、業者に補修を依頼するようにしましょう。業者への依頼について詳しくは、「2-3.(補足)応急処置をした後そのままにせず、早い段階で業者に“雨漏り調査”を依頼すべし」をご覧ください。

2-2.コーキング補修以外の雨漏り応急処置

コーキング材を使っての補修以外にも、雨漏りを止める方法があります。どちらも、コーキング補修よりも、かなり簡易的な方法であるため効果は長くもちませんが、急場をしのぐのには非常に有効です。

[応急処置①]ブルーシートで覆う

なんとも古典的なやり方に思われるかもしれませんが、効果は抜群です。雨水がどこから浸入しているかわからなくても、壁一面を覆ってしまえばよいので、一時的ではありますが、雨水が建物内部に浸入するのを防ぐことができます。

ブルーシートが風で煽られると、雨水が入り込んでしまうので、壁にそってきちんと留めるのがポイントです。

※外壁から雨漏りしている場合にのみ有効です。


■準備物/ブルーシート

[応急処置②防水テープで雨の浸入口を防ぐ

“どこから雨水が浸入しているか”がわかっている場合には、防水テープを使っての応急処置がオススメ。

やり方は、簡単。雨水が浸入している箇所に防水テープを貼るだけです。濡れている所に貼ってもすぐに剥がれてしまいますので、雨の日を避けて貼りましょう。


■準備物/防水テープ

▼雨漏りの応急処置について詳しくは、下記の記事も参考にしてください。

これで安心!自分でできる雨漏りの応急処置

2-3.応急処置をした後そのままにせず、早い段階で業者に“雨漏り調査”を依頼すべし

応急処置によって雨漏りが止まっても、そのまま放置するのは絶対にやめましょう。できるだけ早い段階で業者に依頼してください。

「応急処置によって雨漏りは止まっているのだから、しばらくは大丈夫ではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、先述の通り、素人が雨漏りを完全に止めるのは、まず無理です。浸入する雨水の量が減るなどして止まっているように見えるだけで、どこかで雨漏りが発生しているケースもあります。

押さえておきたいのは、少しでも雨漏りが発生していると、住まいはどんどん蝕まれていく、ということです。住まいの内部に入り込んだ雨水は、次第に住まいの躯体を腐食させ、住まいの寿命を縮めていきます。さらに、場合によっては、喘息やアトピー、アレルギー性気管支炎アスペルギルス症(ABPA)などを引き起こす原因となるカビや菌を発生させてしまうこともあるのです。

雨漏りは「完全に止める」のが鉄則です。そして、そのためには業者に頼るのが一番確かで、間違いありません。

業者に補修を依頼する場合も、業者に補修を依頼するかどうか迷っている場合も、まずは業者の雨漏り調査を受けるのがオススメ。雨漏り調査によって、雨漏りが発生しているか否か、またコーキング材等で補修をした場合は“きちんと雨漏りが止まっているか”がわかるため、その後の雨漏り補修計画が立てやすくなるはずです。調査だけなら無料で対応してくれる業者も。まずは問い合わせてみましょう。

[主な雨漏り調査の方法]

調査方法内容費用相場
目視調査読んで字のごとく、”目で視(見)て”調査する方法です。一目で確認できる箇所だけでなく、屋根の上や天井裏などの普段見えない箇所まで丁寧にチェックしていきます。無料~3万円程度
散水調査雨水が浸入していると思われる箇所に水をかけて、雨漏りを再現し、雨漏り箇所を特定する方法です。 3万円~18万円程度
赤外線サーモグラフィ―調査
高感度赤外線カメラで住まいを撮影し、温度で雨漏り箇所を調査する方法です。水の浸入箇所や滞留箇所は温度が下がるため、雨漏り箇所を突き止めることができます。15万円~35万円程度
発光液調査雨水の浸入の疑いがある箇所に検査液を流し込みます。雨漏り箇所が複数ある場合には、色の違う検査液を使用することで、雨水の浸入箇所と、漏水箇所がひと目でわかります。10万円~25万円程度

※費用相場はあくまでも目安です。詳細な費用は、各業者にお問い合わせください。

どの調査方法を選択するのが良いかは、雨漏りの状況等によっても異なります。雨漏り調査にかける予算等を踏まえて、業者と相談しましょう。

本サイト『外壁塗装ジャーナル』を運営するプロタイムズでも、無料調査を実施しています。詳しくは、こちらをご覧ください。

外壁・屋根の無料診断

 

▼雨漏り調査や、業者の選び方について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

雨漏りの調査方法から業者の選び方までをすべて解説

3.[参考]引き渡しから10年以内の新築住宅の場合、無償補修が可能

押さえておくべきは、新築の雨漏りは、住宅瑕疵担保責任保険*の対象となるということです。

そのため、新築で雨漏りが発生した場合は、安易にコーキング材で補修するのではなく、まずは家を建てた施工業者に相談しましょう。

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)において、新築の住宅瑕疵担保責任保険*の期間は10年と定められています。そのため、新築住宅で、かつ引き渡しから10年以内であれば、家を建てた施工業者に雨漏り補修にかかる費用を請求することができます。

*住宅瑕疵担保責任保険とは
新築住宅に瑕疵(欠点・欠陥)が見つかった場合に、その補修費用をまかなう保険のこと。

<保険の仕組み>

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※画像出典:国土交通省


<保険の対象となる部分>

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画像出典:国土交通省

※住宅瑕疵担保責任保険について詳しくは、国土交通省のホームページをご覧ください。

まとめ

雨漏りを止める手立てとして、コーキング補修が有効であることは間違いありません。ただし、素人がコーキング補修で雨漏りを止めるのは難しいということは押さえておきましょう。もしも自身でコーキング補修をして雨漏りがいったんは止まったとしても、早めに業者に相談し、きちんと補修してもらいましょう。

▼雨漏りを確実に止める方法について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

雨漏りを確実に止める!プロ直伝、雨漏り解決法!