リフォーム工事には、大工さんなどの職人や、工務店、担当の営業マンなど、たくさんの専門業者が関わっています。
家をまるで新築のようによみがえらせてくれた業者さんへお礼をしたいと思っても、新築工事なら棟上げ式など行事でその機会はありますが、リフォーム工事ではなかなかそうもいきません。
対して、リフォームの規模によって工事の日数も様々。たった2~3日で終わった工事に対して、お礼をするべきなのか迷うこともあると思います。
今回は、そんな基準があいまいなリフォーム工事のお礼について、お渡しするかの判断基準、品選びのポイント、タイミングまで分かりやすく解説していきます。

1. リフォームのお礼は大きく分けて2つ

リフォームのお礼といえば、【工事完了後のお礼】と【工事現場へのお礼(差し入れ)】の2つがあります。
まずは、それぞれどのような意味合いがあるのか見ていきましょう。

1-1. 工事完了後のお礼

01-新築

リフォームが完成すると、本当に気持ちが良くて嬉しいものですよね。
また、リフォーム工事は、古い住宅を取り扱うという性質上、工事に取り掛かってみて初めて問題が発覚することもしばしばあります。
工事完了後のお礼は、リフォームで住み心地の良い住まいを実現してくれたことに対する感謝の気持ちはもちろん、予期せぬ工事に対応してくれた労い(ねぎらい)の気持ちを伝えることができます。
工事完了後のお礼については、2章で詳しく解説します。

1-2. 工事現場の職人さん・現場監督へのお礼(差し入れ)

02-差し入れ

部分的なリフォームなど、家主が在宅のまま可能な工事では、職人さんとは頻繁に顔を合わせることになります。
また、大規模なリフォームの場合では、リフォーム期間中は仮住まいに住むことになりますが、時々現場を見にいくこともあるでしょう。
リフォーム工事は重労働ですので、汗水流して働いている職人さんに、日々の作業へを頑張って欲しいという意味合いや、差し入れついでに工事の様子を教えてもらうために、差し入れをする方も多いようです。
そんな工事中のお礼(差し入れ)については、3章で詳しく解説します。

2. 工事完了後のお礼

1章で説明したとおり、完工への感謝と労いの意味を込めてお渡しする工事完了後のお礼。
ここでは、お礼が必要か、喜ばれるお礼、渡すタイミングを見ていきます。

2-1. お礼は必ずしも必要ではない

工事中にトラブルが多かったり、たった1~2日で済む工事だったり、こんなときでも、慣例だから、やっぱりお礼を用意しないと・・・では困ってしまいますよね。
ここは安心してください。
工事完了後に、お礼をする決まりは一切ありません。
工事費用はきっちりお支払いするのですから、基本的には「ありがとうございます」のお礼の言葉だけで十分!
もちろん、お礼をしなかったからといって、施工会社との関係が悪くなり、アフターフォローがずさんになるなんてこともありえません。
あくまで、お礼をするかどうかは家主が決めることなのです。

2-2. 特別に感謝したいことがあればお礼しましょう

では、どういった基準でお礼するかを決めればよいのでしょうか。
家主が、お礼をしたい!と思う業者であることが大前提ですが、その背景として、工事の際に下記のようなことがあれば、お礼をお渡しする場合が多いようです。

【こんなときには ぜひお礼をしましょう!】

・期待を超える大満足の工事となった

当然ながら、大変満足のいくリフォームになれば、お礼をしたい気持ちになってしまいますね。
言葉だけでは足りない、ぜひとも品物などでの“形”でお礼をしたいほど、大きな感謝の気持ちがあれは、ぜひともお礼をしましょう。

・様々な要望・わがままに応えてもらった

リフォームに対する要望が数多くあったものの、施工店の熱心な提案のおかげで無事に形になった、など、工事費用以上のはたらきをしてもらったのなら、感謝の言葉を添えて、お礼をお渡ししてもよいですね。
また、リフォームの規模が大きければ「解体してみて水漏れが発覚した」「間取り変更で、打ち合わせにない構造の補強が必要になった」などのトラブルがつきものです。
追加工事や難題を快く引き受けてもらった場合も、お礼をお渡しする立派な理由になります。

・工事期間が長く、期間中職人さんと良い関係が築けた

一戸建てのリノベーションなど数ヶ月以上に渡る工事では、何度も顔合わせし職人さんと親しくなることもあるでしょう。
小さな追加要望に応えてもらったり、現場で工事内容について丁寧に説明してくれたりなど、とても良い関係を築けたのなら、感謝の気持ちと「今後とも良いお付き合いをしたい」という気持ちを込め、ぜひお礼をお渡ししましょう。

2-3. リフォームお礼にオススメの品5選!

お礼の品と言っても、いろいろと種類があります。
ここでは、よく選ばれるお礼や、喜ばれるお礼などを紹介します。

【リフォーム完了後のオススメのお礼】

お礼の種類メリット注意点
菓子折りお饅頭・せんべい・焼き菓子など。最もスタンダードなお礼の品です。
いくら以上という決まりはありませんから、2,000円ほどから購入できるギフト用の菓子折りでも十分。
職人さんが事務所に帰ってから分けられるように個別梱包のものがオススメです。
ビール・酒類ビールもお礼の品としてよく贈られます。プラスチックケース入りの瓶ビールは返却の手間がありますから、ダンボール箱入りの缶ビールがオススメ。勤務中・運転中のアルコールは厳禁ですから、常温でお渡します。
また、「発泡酒」はビールとは別物で、一般にビールの安物と取られることがありますから、製品表示に「発泡酒」と記載のあるものは避けましょう。日本酒・焼酎などのお酒は、形式的にビールよりお礼にふさわしいのですが、好みがはっきり分かれますから、好みの銘柄が分かればお渡ししましょう。
タオル・手ぬぐい体力仕事の職人さんにとってはとても実用的な品です。
頭に巻いて額から汗が落ちるのを防いだり、ホコリよけに使ったりなど、職人さんにとってタオルはいくらあっても困りません。
現場で使用することを考えると、1枚300円前後の無地のタオルが良いでしょう。
現金・ビール共通券いわゆる心付けです。
金額は、数日程度の作業では1,000円、数週間の作業では5,000円・10,000円、数ヶ月に渡る大工事では30,000円程度が相場です。
1,000円程度の少額であれば職人一人ひとりにお渡ししても良いですが、5,000円以上の額では、職長に、職人全員分としてまとめて渡すのが一般的です。
一方、現金での心付けは気が引ける、断られるのではないかと心配な方は、ビール共通券を同額程度包むのがオススメです。
現金・金券の受け取りを丁重にお断りしているリフォーム会社の場合、菓子折りなどの消えものを選びましょう。
手紙他のお礼の品とは趣が異なりますが、手紙(お礼状)は、何かと忙しくゆっくり話す機会が無い職人さんにお礼を伝えるのに最適です。
完工時にはお品をお渡しして、しばらく住んでから、感想などを手紙でお伝えするのも良いですね。

2-4. 敬遠されやすいお礼

下記のようなお礼は敬遠されやすい傾向にありますので、候補に入れている場合はよく検討してください。

・生もの

ケーキ

食べ物の中でも青果・鮮魚・ケーキなどの生ものは非常にデリケートです。
鮮度が落ちて体調を崩されてはいけませんし、早く消費しなければいけないので、受け取った方の帰りの行動が制限されてしまいます。
また、チョコレートも少し温度が上がると溶けてしまいますので暑い時期は推奨できません。
食べ物は、あくまで傷みにくく、扱いやすいものを選択しましょう。

・食事会

新築では、関係業者を自宅に招いて新築祝いの食事会を開くこともありますが、リフォームでは一般的ではありません。
また、職人さんは人見知りの方が多い傾向にありますから、喜ばれるどころか気を遣わせてしまうかもしれません。
リフォーム業者が親しい友人でもない限りは、お礼の食事会はしない方が無難でしょう。

2-5. お礼を渡すタイミングは最終日の工事終了のあいさつの時

完工時、職人さんが全員で家主に挨拶に伺うことは希です。
普段の工事と同様、最終日にも工事完了時に現場の責任者が挨拶に来るはずので、そのタイミングで、全員分のお礼をまとめてお渡ししましょう。

2-6. 元請けの施工店や営業担当へお礼する場合

現場にいた職人さん以外の、元請けの施工店・営業担当などにお礼を渡したい場合はどのようにしたら良いのでしょうか。
工事担当の会社が、提案から工事まで一貫して行っているのであれば、現場の責任者から「皆さんに」とお渡ししてもらえば良いですが、
もし工事会社が下請けの場合は、家主さんが事務所に伺いお礼をお渡しすることになります。
担当営業に直接お渡ししたいときは事前に連絡を入れ、在社かどうかを確認しておきましょう。

3. 工事現場の職人さん・現場監督へのお礼(差し入れ)

麦茶

次に、工事中のお礼、いわゆる差し入れについてみていきましょう。
リフォーム現場の職人さんへの差し入れは、過去に小規模でもリフォーム工事をしていれば、経験のある方も多いかもしれませんね。
こちらも、気になるお礼の必要性、オススメの品、タイミングを順に解説していきます。

3-1. 差し入れが必要かの判断基準

完工後のお礼と同じく、差し入れをしなければならないという決まりはありませんが、差し入れする・しないの目安は工事の時間で判断しましょう。

■工事が長時間に及ぶ場合には差し入れすることが多い

工事が1日中(午前10時~午後5時までなど)行われる場合は、労いを込めて、簡単な差し入れする方が多いようです。
また、リフォーム現場をちょっと覗きたいというときにも「差し入れを持ってきたので・・・」という理由をつければお願いしやすいですね。
家主さんの監視の有無で、仕事ぶりが変わってしまうようではプロと呼べませんが、家主さんの目があるほど、自然と仕事がより丁寧になる職人さんも多いものです。
負担にならない程度で差し入れを持って、ぜひ現場を見に行きましょう。

■数時間程度の工事なら基本的に差し入れは不要

逆に、網戸の取り替え、配管の更新など、1時間もかからない内容であれば、差し入れはなくても全く差し支えありません。
こういった軽作業の担当者は1日に何件も回る場合が多いので、差し入れで引き止めてしまうと、かえって仕事に支障が出る場合もあります。
事前に打ち合わせがある場合のお茶出しなどを除いては、わざわざお出ししなくても良いでしょう。

3-2. オススメの差し入れと、品選びのポイント

差し入れすると決まったら、品選びです!
ここでは、よく選ばれる差し入れや、喜ばれる差し入れを、メリット・注意点とともにご紹介します。

差し入れの種類メリット注意点
飲み物缶コーヒーテッパンの差し入れです。
ブラックと微糖を半々くらいで差し入れると好きな方を選んでもらえます。
甘すぎるものは不人気の傾向にありますので、甘さは微糖までにしておきましょう。
お茶お茶が嫌いという人は少ないので、飲めない職人さんが出ないのがオススメポイント。
休憩時間にお持ちするなら、冷茶グラス・湯呑でも良いですが、350~500ml程度のペットボトルなら一人ひとりが好きなときに飲むことができるためさらにオススメです。
冷茶グラス・湯呑で出すお茶を出す場合は、ホコリなどが入りやすいので、お昼休み・休憩時間ちょうどにお出しするなどの工夫をしましょう。
スポーツドリンク猛暑で汗をかく日には、特に喜ばれます。
ペットボトルなら一人ひとりが好きなときに飲むことができるのでオススメです。
冷たい状態で出すものなので、寒い時期は熱いお茶・ホットコーヒーなど温かい飲み物を出したほうが良いでしょう。
栄養ドリンク連日の工事のときなど、お疲れの職人さんにはピッタリの差し入れです。食事とはあまり味が合いませんから、お昼時に出すときは、「あとで飲んでもらう」ようにお声がけしましょう。
食べ物お饅頭・せんべい糖分・塩分が喜ばれることが多いです。いわゆるお茶菓子にもなりますから、一緒に飲み物を出すならお茶が良いでしょう。表面に白い粉(打ち粉)がついていると手が汚れますから、粉がついていないタイプを選びましょう。
洋菓子若い職人さんでは、和菓子より洋菓子が喜ばれることもあるようです。
若い職人さんが多い現場でオススメです。
チョコレートは、高温で溶けてしまうので暑い時期は避けましょう
かき氷・アイス暑い日には特に喜ばれます。溶けやすいので、休憩時間ちょうどに出すなど、タイミングをよく図りましょう。
スープ・汁物豚汁・コーンスープなど。寒い日には特に喜ばれます。冷めやすいため、すぐに食べてもらわないといけません。可能であれば、魔法瓶などに入れると好きな時に食べてもらえます。
肉まんこちらも寒い日にオススメ。
お昼時に持っていきましょう。
熱いうちに食べてもらえるように、昼食・休憩時間ちょうどに用意しましょう。
惣菜・漬物お昼時に持っていきましょう。
特に年配の職人さんがいる現場では喜ばれます。
猛暑の日は傷みやすいので注意しましょう。
心配であれば、保冷剤と一緒に持っていくと良いでしょう。
その他おしぼり食べ物と一緒にお持ちすると、さっぱりと気持ちよく、喜ばれます。暑い日はよく冷えたおしぼり、寒い日は温かいおしぼりをお持ちすると喜ばれます。

【品選びのポイント】

品選びのポイントは、何より現場で働いている職人さんの仕事に支障が出ないように考慮すること。
お茶とお茶菓子くらいの、短時間でささっと食べて満足してもらえることが大切です。
品選びで迷ったら、現場でせっせと作業する職人さんになりきってみて、手や現場が汚れにくいか、気温を考慮した温度か、気を遣わせない差し入れかなどを考えて、喜んでもらえる品を選びましょう。

■ 傷みやすいものは避けましょう

猛暑日のカットフルーツや手作りご飯、ケーキなどの生ものは早々に痛んでしまうことがあります。
健康を害されては元も子もありませんから、痛みにくいものを選ぶようにしましょう。

3-3. 差し入れは無理のない頻度で、休憩時間がベスト

差し入れを毎日持っていく必要はありません。あくまで無理のない範囲で、現場が近場であれば手がすいていれば、現場が遠ければ、週に1~2度ほどで問題ありません。
また、差し入れの時間帯は、仕事の手を止めさせてはいけませんから、休憩時間を狙いましょう。休憩時間は【午前10時・昼12時・午後15時】頃にとる場合が多いため、このうち1回を選ぶと良いでしょう。
もし決まった時間の差し入れが難しい場合は、傷みにくく、温度によって味が変わらないお茶やお菓子を選んでお持ちすれば問題ありません。

4. まとめ

感謝

お礼はあくまでも気持ちが大切です。
お礼をするべきか迷っているなら、お礼をするのが一般的か、しなくても差し支えないかで悩むより、お礼をしたいかどうかで考えることが重要です。
自分の仕事に誇りを持っている職人さんであれば、工事に対するお礼や感動と、次の工事の依頼が何よりも嬉しいもの。
感謝を言葉で表現した上で、業者さんへの労いや、気持ちよく仕事をしてもらいたい気持ちを込めて、この記事を読んで最適なお礼の品を用意してくださいね。