スレート屋根

「スレート屋根には、本当に塗装が必要なのか?」
「費用をかけてまで、塗装すべきなのか?」
「我が家のスレート屋根は、塗装すべきタイミングなのか?」
といった疑問をお持ちの方は少なくないでしょう。

スレート屋根は、定期的に塗装をする必要があります。仮に塗装メンテナンスをせず放置した場合、雨漏りが発生するリスクが高まることは間違いありません。このあたりのメカニズムについては本章で解説いたします。

この記事では、
・スレート屋根に塗装メンテナンスが必要な理由
・塗装メンテナンス時期の見極め方
・スレート屋根の塗装にかかる費用
などについて、わかりやすく解説してまいります。ぜひ、参考にしてください。

※スレート屋根は、「カラーベスト」「コロニアル」という名称で呼ばれることもあります。

1.スレート屋根には塗装メンテナンスが必要

導入部でもお伝えした通り、スレートの屋根には塗装メンテナンスが必要です。ここでは、なぜスレート屋根には塗装メンテナンスが必要なのか、その理由を詳しく解説してまいります。

スレート屋根はセメントと繊維をプレス成型後、“塗料で着色”した屋根材です。セメントと繊維に防水性はなく、スレート屋根は、塗装でセメントと繊維をコーティングすることで防水性を発揮しています。
しかしながら、塗装は時間の経過とともに劣化していくため、スレート屋根の防水性は永続的なものではありません。そのため、塗装メンテナンスをしなければ、塗装の劣化とともに防水性は失われ、いずれは雨水の浸入を許すようになります。そして、雨水は屋根内にどんどん入り込み、最終的には雨漏りを発生させることになるのです。

スレート屋根の防水性が失われても、その下に防水シートや野地板などがあるため、すぐさま雨漏りが発生するというわけではありませんが、屋根内に水が浸入すると、屋根材や釘などの腐食にもつながるため、スレート屋根の防水性が失われはじめたら早めの塗装メンテナンスを検討することを強くオススメいたします。

以下2章では、具体的にいつ塗装メンテナンスするのがベストなタイミングなのか、塗装メンテナンス時期の見極め方について解説してまいります。

[参考]スレート屋根かどうかをチェック!

スレート屋根

そもそも、お住まいの屋根はスレートに間違いないでしょうか。
「スレートと思い込んでいたが、実は違った」ということもありますので、まずはお住まいの屋根が本当にスレートかどうかをチェックしてみてください。

お住まいの屋根がスレートかどうかは、建築確認申請書など、お住まいを購入した時の資料にて確認できます。もしくは、塗装業者に診てもらうという方法もあります(下記2-3参照)。

ちなみに、スレート屋根について簡単に解説しておくと…
スレート屋根は、セメントと繊維が主原料で、プレス成型後、塗料で着色した屋根材。日本瓦に比べて軽量で施工がしやすいため、現在、日本で広く普及しています。

 

2.塗装メンテナンス時期の見極め方

スレート屋根に塗装メンテナンスが必要だとすると、気になるのは「いつ塗装をすればいいか」でしょう。今すぐに塗装すべきなのか、しばらくは様子見でも問題ないのか、塗装メンテナンス時期の見極め方を下記3つご紹介いたします。

2-1.方法① スレート屋根表面の耐久年数で見極める

スレート屋根表面の耐久年数は、塗装メンテナンスの時期を見極める一つの指標となります。

スレート屋根表面の耐久年数:約10年

 

スレート屋根表面が防水性を発揮できなくなるのは、約10年が目安です。そのため、スレート屋根を施工してから10年以上経っている場合は、スレート屋根を塗装メンテナンスすべき時期かもしれません。
ただし、約10年というのは、あくまで目安として捉えてください。スレート屋根の製品によって、お住まいの環境によって、実際の耐久年数は変わります。

「より正確にメンテナンス時期を見極めたい」という方は、下記2-2&2-3を参考にしてみてください。

2-2.方法② スレート屋根の劣化症状で見極める

外壁

劣化症状を確認して、スレート屋根の塗装メンテナンス時期を見極めるという方法もあります。
下記のような劣化症状が1つでも見られる場合、塗装メンテナンスを検討すべき時期です。

【塗装が必要な劣化の症状】

色あせ
カビ・藻の発生
塗膜の剥がれ
割れ
釘の浮き釘や留め金具が抜けている箇所がある

スレート屋根の劣化症状は、地上やベランダなどから見える範囲で確認しましょう。屋根を見下ろせる高い建物や場所がある場合は、そこから双眼鏡等をつかって確認するのも一つの手です。

劣化症状を確認するために、屋根の上にのぼるのは絶対にやめてください。うっかり足を踏み外すなどして大事故につながってしまう恐れもあります。
もしかすると「少しぐらい大丈夫」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、高所で立ち回るのは思っている以上に危険がともないます。厚生労働省の労働災害統計によると、平成29年の建設業における墜落・転落による死傷災害は5,163件、うち死亡災害は135件にものぼります。きちんとした訓練を受け、万全の準備をして臨んでいるプロですら、これだけの事故が起こっているのです。素人に高所がどれほど危険かは言わずもがなでしょう。

 

とはいえ、地上やベランダからでは、細かいところまで確認ができない、という方もいらっしゃるでしょう。
自身で確認する限り劣化箇所がありそうな場合や、お住まいの形状や環境的に自身での確認が難しい場合は、プロに診てもらうのがオススメです。詳しくは2-3でご紹介いたします。

2-3.方法③ プロに見極めてもらう

診断

スレート屋根の塗装メンテナンス時期をより正確に見極めるならば、プロに依頼するのが最も確かで、間違いありません。

「塗装をするかどうかを判断するために、まずはプロに現状を診てほしい」という消費者のニーズに応えて、多くの塗装会社が診断(現場調査・現調)と呼ばれるサービスを用意しています。
診断とは、プロが実際に屋根の上にあがって劣化症状を細かく確認し、「塗装メンテナンスの必要性や時期」「塗装工事にかかる費用」「今後の塗装メンテナンス計画」などを提案するという内容のものです。

診断を受けたからといって必ずしも塗装工事をしなければならないということはありません。また、診断だけなら無料で対応してくれる塗装会社も少なくないため、塗装メンテナンスをすべきかどうか迷っている方は、まずは相談してみるのが良いでしょう。

▼塗装業者に依頼する診断について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

「外壁塗装に診断は必要?」に塗装専門家がズバリ答えます!

 

※本サイトを運営している株式会社アステックペイントの住宅塗装のサービスブランド「プロタイムズ」でも、外壁塗装の無料診断を実施しています。

 

 

[補足]劣化症状によっては、カバー工法・葺き替えにて補修することに

スレート屋根の劣化が大きく進行している場合は、塗装メンテナンスでは補修しきれないこともあります。その場合、カバー工法(重ね葺き)や葺き替えという方法で補修をすることになります。

カバー工法
(重ね葺き)

重ね葺き

既存の屋根をそのまま残し、その上に屋根材をかぶせる工法。下地にまで劣化が進行していない場合に有効。

葺き替え

屋根葺き替え

下地にまで劣化が進行している場合は、古い屋根材をすべて撤去し、新しい屋根材に替える葺き替えを行なう。

※2006年以前に製造された屋根には、アスベストが含まれている場合があります。アスベストを含む屋根の葺き替えをすると、廃材処理には高額な費用がかかることもあります。

※抄造法と呼ばれる方法で製造されたスレート屋根は、塗装をしてもすぐに剥離してしまうリスクがあります。そのため、抄造法のスレート屋根は、上記のカバー工法(重ね葺き)もしくは葺き替えによる補修を行ないます。

 

▼アスベストについて詳しくは、こちらの記事を参照ください。

外壁塗装でアスベスト含有の壁をメンテナンスする時の基礎知識

 

3.スレート屋根塗装 |塗料選びのポイント

多くの人が迷う塗料選び。「どうやって塗料を選べばいいのか…?」と迷われる方も少なくないでしょう。

ずばり、スレート屋根塗装の塗料選びをする時に考えるべきポイントは以下の4つです。

[塗料選びをする時に考えるべきポイント]

☑どのぐらいの耐久性(耐久年数)の塗料にするか
☑どんな機能性(遮熱性・断熱性・防汚性など)の塗料にするか
※塗料製品によって備えている機能性は異なります。
☑どんな色の塗料にするか
☑どのくらいの価格の塗料にするか

 

塗料選びに迷ったときは、上記ポイントを軸に考えてみてください。

ちなみに、施主(消費者)がイチから塗料選びをする必要はありません(※もちろん、自身で塗料選びをしたい場合はイチから選ぶことも可能です)。
塗装業者は、施主(消費者)の希望や予算、スレート屋根の状態、住まいの立地・環境等に合う、最適な塗料を数点提案してくれます。施主(消費者)は、提案してもらった数点の塗料の中から選べば良いのです。

上記の塗料選びのポイントは、塗装業者から提案してもらった数点の塗料の中から選ぶ時にも活用いただけます。また、“提案前”に上記ポイントを踏まえて塗装業者に希望の条件等を伝えておくと、より納得の塗料を提案してもらえるはずです。

▼屋根塗装の塗料選びについて詳しくは、下記記事をご覧ください。

プロが教える!屋根用塗料の効果と特徴の全て

 

[参考]スレート屋根塗装にオススメな塗料|アステックペイント

本サイト(外壁塗装ジャーナル)を運営している塗料メーカー「株式会社アステックペイント」のオススメ塗料をご紹介いたします。

超低汚染リファイン500Si-IR

「美観保持機能」に優れた屋根用塗料。

スーパーシャネツサーモSi


特殊無機顔料の使用により高い遮熱性を実現。

 

4.スレート屋根の塗装には、いくらかかる?

スレート屋根の塗装にかかる費用相場をご紹介します。

スレート屋根塗装の費用相場:40~60万円

※塗装面積50~80㎡の場合
※一般的な2階建住宅・足場費用込

 

ちなみにカバー工法(重ね葺き)の費用相場は80万円~、葺き替えの費用相場は100万円~。

※上記はあくまで相場価格です。劣化の進行具合や使用する塗料の種類などによって、価格が上記とは大きく異なることもあります。

▼屋根塗装の費用について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

屋根塗装の費用はいくらが妥当?プロが教える見積書のチェックポイント!

屋根塗装の相場はいくら?【2022年更新版】

 

5.スレート屋根の塗装に失敗しないために!押さえておきたい「縁切り」の知識

5-1.スレート屋根の塗装には、「縁切り」が必須

縁切り

スレート屋根の塗装メンテナンスをするならば、絶対に押さえておきたいのが「縁切り」です。少し専門的な内容になりますが、塗装に失敗しないために重要な情報となりますので、ぜひとも頭に入れておいてください。

そもそも「縁切り」とは、スレートの重なり部分を切ること。縁切りをすることで、雨水が流れる隙間ができ、スレート屋根の内側に雨水が滞留するのを防ぐことができます。仮に縁切りをしなければ、雨水がスレート屋根の内側に溜まり、塗膜の膨れや雨漏りの発生につながってしまいます。
そのため、スレートを塗装では、必ず「縁切り」が必要となります。

しかしながら、塗装会社によってはこの縁切りができていないこともあるので、塗装会社と契約を結ぶ前に、「縁切り」の工程が塗装工事に含まれているかを必ず確認してください。

ちなみに、縁切りの費用相場は下記となります。

縁切りの費用相場:500円/㎡

5-2.タスペーサーを使って縁切りをするという方法もある

一昔前まで、カッターを使っての縁切りが一般的でしたが、近年、タスペーサーと呼ばれる製品が登場し、多くの塗装会社がこのタスペーサーを使って縁切りをしています。

カッターでの縁切りは、施工する職人の腕によって品質にばらつきが生じてしまうこともありますが、タスペーサーであれば、誰が施工しても一定以上の品質が担保できます。また、カッターに比べて、作業時間が短縮できるというのも、タスペーサーの魅力の一つでしょう。

もちろん、腕のある職人が手がける場合、カッターを使っての縁切りでも全く問題ありませんが、不安のある場合は、タスペーサーを使っての縁切りをお願いしてみてもよいでしょう。

▼縁切りについて詳しくは、こちらの記事でもご紹介しております。ぜひ、参考にしてください。

屋根塗装で「縁切り」が絶対に必要な理由

 

6.スレート屋根をDIY塗装するのは、まず無理

スレート屋根を自身で塗装するのはまず無理です。

その理由は、下記の3つです。
・先述の通り(3-2)、高所での作業は大変危険
劣化の進行したスレート屋根は割れやすくなっており、うっかり踏み抜かないように工事を進めるには、知識と経験が求められる。
・スレート屋根の塗装工事は、ただ見た目に美しく塗り上げればいいというものではない。塗装が防水性を発揮できるよう、塗装前の補修、下塗りなどの専門知識が必要な工程も重要となる。

以上の理由から、スレート屋根の塗装工事は、一般の方が簡単にできるようなものではありません。プロに依頼されることを強くオススメいたします。

▼信頼できる塗装会社の見極め方については、こちらの記事を参考にしてください。

【塗装業者の見極め方】8つのステップで信頼できる業者を選ぼう!

信頼できる塗装会社・塗装職人がもっている資格&許可まとめ

 

まとめ

スレート屋根を定期的に塗装メンテナンスすることで、見た目がキレイになるだけでなく、雨漏りの予防にもつながります。

上記ご紹介した、塗装メンテナンス時期の見極め方(2章)、スレート屋根の塗装にかかる費用(4章)も参考に、ぜひ、計画的にスレート屋根の塗装を進めてください。また縁切りの知識(5章)はスレート屋根の塗装において重要なポイントとなりますので、ぜひ頭に入れておくことをオススメいたします。