当たり前のように私たちは蛇口をひねってお湯を出していますが、これはすべて「給湯器」があるからこそ。その給湯器が動かなくなったり、壊れてしまったりすると……、当然ですがお湯は出ません。
お湯が出ないと、洗い物は冷たい水でしなければならないし、何よりお風呂が沸かせません。これはその状況になってみるとかなりのストレス。万が一、給湯器が壊れてしまってもすぐに対処できるようになっておきたいものです。
そこで、すでに給湯器が壊れてしまった方、そろそろ給湯器が古くなってきたので交換を検討中の方のために、交換にかかる費用など、給湯器交換に関して知っておきたい知識をまとめてみました。
目次
1. 給湯器を交換する前に 〜本体の費用相場〜
給湯器を交換するには、当然ながら新しい給湯器を用意する必要があります。
しかし、多くの家庭では給湯器は入居時に備え付きになっているのではないでしょうか。
自分で購入するとなると「どんな種類があるの?」「いくらくらいするの?」などの疑問が出てくるのでは?
ここで、改めて給湯器の種類と購入費用について知っておきましょう。
1−1. 給湯器の種類と購入費用
給湯器には、給湯方式によって大きく2つの種類があります。
瞬間式
画像出展:http://rinnai.jp/products/waterheater/gas/
水栓を開けると同時にバーナーに着火・燃焼し、水を熱して瞬間的にお湯を沸かします。一般的にガス給湯器というとこのタイプを指します。本体そのものがコンパクトで設置場所をとらないメリットがあります。
貯湯式
画像出展:http://www.noritz.co.jp/product/kyutoki/oil/semi_auto05/lineup4-2.html
タンク(ユニット)にお湯を貯めておく給湯方式です。最近広まりつつあるエコキュートなどもこの方式に含まれます。瞬間式とは逆に、貯湯タンクの設置スペース確保が必要という難点があります。
また、給湯器には、機能によって次の種類と特徴があります。
種類 | 特徴 |
---|---|
暖房風呂給湯器 | 給湯だけでなく温水床暖房や浴室暖房乾燥機なども取り付けることができる |
風呂給湯器 | 1台で風呂を沸かしながら、キッチンや洗面への給湯ができる |
給湯器 | 1台でキッチンや洗面への給湯ができる。 |
給湯器本体価格(メーカー希望小売価格)は、だいたい次のような価格帯になっています。
風呂給湯器タイプ(20号・2〜4人用)
タイプ | 価格 |
---|---|
給湯器本体・リモコン有り・追焚き無し | 20万円前後 |
給湯器本体・リモコン有り・追焚き有り・自動機能有り | 30万円代 |
給湯器本体・リモコン有り・追焚き有り・全自動機能有り | 30万円代後半〜40万円前後 |
暖房風呂給湯器タイプ(20号・2〜4人用)
タイプ | 価格 |
---|---|
給湯器本体・リモコン有り・追焚き無し | 30万円代 |
給湯器本体・リモコン有り・追焚き有り・自動機能有り | 40万円代前半 |
給湯器本体・リモコン有り・追焚き有り・全自動機能有り | 40万円代後半 |
これはメーカー希望小売価格を参照していますので、実際の購入金額はこれよりも、もう少し安くなるでしょう。割引率は、販売店やネット購入など、購入先・購入方法によって様々です。
では、どこで購入するとお得なのでしょうか。次にそれを見ていきたいと思います。
1−2. 給湯器はどこで購入するといいのか
地場のガス工事会社
「給湯器 交換 ○○○(地元の地名)」などでネット検索すると、いくつかガス工事会社がヒットすると思います。このようなところでは、給湯器本体と交換工事をセットにして販売してくれます。
給湯器本体は、会社によって異なりますが、メーカー希望小売価格の70〜79%オフというところが多いようです。これに交換工事費用が加わります。(交換工事費用については後述します。)
ネット通販
楽天市場やAmazon、その他給湯器を取り扱っているネットショップなどで購入できます。給湯器本体のみを販売している場合や、交換工事もセットになっている場合もあります。
給湯器本体は、メーカー希望小売価格より80%前後オフが相場のようですが、ショップによっては送料が別途必要な場合などがあるので、総合的な費用で判断する必要があります。
地元に縁のある工事会社がある人は、工事と一緒に給湯器購入を相談するといいでしょう。地元に工事会社の心当たりがない、または、広く候補を探したい人はネット検索を利用するのも手です。
人気の給湯器メーカー
【リンナイ】国内ではノーリツと並んで主流の2大メーカーのひとつ。
http://rinnai.jp/products/waterheater/gas/
【ノーリツ】リンナイと並ぶ国内主流メーカー。ユーザー評価が高くて安心。
http://www.noritz.co.jp/product/kyutoki/gus.html
【パーパス】エコジョーズ式給湯器を他社に先駆けて開発するなど、技術力に定評があるメーカー。
http://www.purpose.co.jp/home/product/waterheater/gs/
【パロマ】全米No.1シェアを誇る世界最大級の給湯器メーカー。
http://www.paloma.co.jp/product/
2. 給湯器交換にかかる工事費用
給湯器を交換する際に、給湯器本体ともうひとつ大きく費用がかかるものがあります。
それは工事費用です。滅多にしない工事だけに、いくらくらい工事費用がかかるものなのか、いまいち感覚が掴みづらいかもしれません。ここでは、その工事費用について解説していきます。
2−1. 交換工事費用の相場
標準工事(給湯器を同タイプ⇨同タイプに交換、配管や風呂釜の位置変更なし)の場合は、給湯器メーカーに頼んでも、給湯器販売店や施工業者に頼んでも、費用はだいたい3〜5万円が相場です。
給湯器の号数によって工事費用が変わることはありません。
ですが、給湯箇所の増設や、設置方法が異なる給湯器に変更する場合(据置タイプ→壁掛タイプ、壁掛タイプ→据置タイプ)、その他部品の交換等が必要な場合などは、別途その分の費用がかかります。
追加費用がかかる場合の工事例
→浴槽の2つ穴のうち、上部の穴を金具で塞ぎ、下部の穴には循環アダブターを取り付けます。状況に応じて、壁に穴開け加工を行います。
→交換前の給湯器が据置架台に設置されている場合は、据置架台も交換する必要があります。
→作業人員を増員する必要があったり、作業時間が通常よりかかる場合があります。
追加の工事費用は、家ごとの状況や工事会社によって異なりますが、1万〜2万円程度が相場です。
交換工事をする際には必ず見積もりを取りって、工事内容と費用を確認しましょう。
2−2. 交換工事の内訳と費用
交換工事費用は、主に次のような内訳になっています。内訳の費用はそれぞれ目安ですが、見積もりを取ったときなどに参考にしてください。
内訳 | 費用の目安 |
---|---|
取り付け工事費 | 15,000円 |
給水結び替え費 | 8,000円 |
給湯結び替え費 | 8,000円 |
リモコン結び替え費 | 12,000円 |
ガス結び替え費 | 12,000円 |
このほか、細かいところで廃材処理費や点火点検費、出張費が計上される場合もあります。
3. 交換を依頼するときの注意点
給湯器本体は型番商品なので、突き詰めて言えばどこで購入しても違うのは金額くらいです。
ですが、工事はどこも同じとはいきません。工事費用は妥当な金額か、きちんと信頼出来る工事を行ってくれるか、ここでは業者に依頼するときの注意点を解説していきます。
3−1. 見積もりを依頼するときの注意点
見積もりは複数の業者から取る、いわゆる相見積もりを必ず取りましょう。
その際、比較するポイントとして2−2でご紹介した工事費用の内訳を参考にしてください。
また、給湯器本体と交換工事がセットになっている場合は、給湯器本体の定価と割引率も確認しましょう。
2−2でも触れましたが、業者によっては出張費や廃材処理費、点火点検費を取るところもあります。それらが見積書に明記されているか、なければ出張費などはとらないのか、細かいことですがきちんと各業者に確認するようにしましょう。
3−2. 業者を選ぶときの注意点
業者を選ぶ際、私たち消費者はついつい金額の安いところを選んでしまいがちです。
安いに越したことはありませんが、残念ながら過度に安い業者などに頼んでのちのトラブルになるケースも多くあります。
他社の見積もり金額と比較して過度に安すぎないか
これは、相見積もりを取る理由のひとつでもあります。他社に比べて過度に安い業者があった場合は、なぜそんなに安くできるのか、理由を必ず担当者に説明を求めましょう。
保証やアフターフォローはあるか
どの工事、商品にも共通していることですが、保証があるかどうかは重要な業者選びのポイントです。
万が一のときに備えて、保証やアフターフォローがある業者を選ぶと安心です。故障などの際にすぐに駆けつけてくれるという点で、地元の業者を選ぶのもいいでしょう。
必要な資格を持っているか
給湯器の交換作業をするには資格が必要です。しかし、無資格で工事する業者も多いのが現状です。
必要な資格の例(全て必要という訳ではない)
ガス栓から給湯器に接続する時に必要な資格
・ガス可とう管工事監督者(都市ガスに限る)
ガス器具を設置する時に必要な資格
・液化石油ガス設備士(プロパンガスに限る)
・都市ガス会社へ登録している簡易内管施工士(都市ガスに限る)
・給水装置工事主任技術者(工事人は無資格でもよいが指定工事店管理であること)
屋内にガス給湯器を設置する時に必要な資格
・ガス消費機器設置工事監督者(屋内設置の場合必要)※液化石油ガス設備士は不要
電気コンセントを設置する時に必要な資格
・第二種電気工事士もしくは同等以上の資格
・ガス機器設置スペシャリスト(工事保険制度がある資格)
業者を選定する際にはこれらの資格を有している業者か確認しましょう。
4. まとめ
給湯器は、私たちが毎日使うお湯のためになくてはならない機器です。
給湯器本体は決して安いものではありません。それだけに金額が気になるのは当然のことですが、安さだけで本体や業者を選ぶのではなく、自分たちの生活ならどんな機能が必要か、安心して工事を任せられる業者か、安さ以外のポイントもよく検討して選びましょう。