電卓

「外壁塗装の費用は、いくらかかるのか」
が気になっている方は、少なくないでしょう。

外壁塗装の費用相場をズバリお伝えしてしまうと、
80万円~と言われています。

ただし、上記は、あくまで相場価格。外壁塗装の費用は、外壁の大きさや塗装に使用する塗料の種類、外壁の劣化の進行具合など、様々な要因によって変動します。

また、近年の原材料高騰の影響で大手塗料メーカーが一斉に塗料の価格を5~20%程度値上げをしていることもあり、今後は外壁塗装の費用も値上げが進む可能性があります。

この記事では、
・外壁塗装の費用相場
・外壁塗装の費用内訳・単価
・外壁塗装の見積り事例(プロのコメント付)
・外壁塗装の支払いについて
・外壁塗装の費用に関するトラブル事例
など、外壁塗装の費用について調べている人が押さえておきたい情報を全解説します。ぜひ、参考にしてください。

1.外壁塗装にかかる費用相場

1-1.外壁塗装の費用相場はいくら?

■外壁塗装の費用相場
80万円~
※屋根塗装含まず

あくまでも目安の数字としてご確認ください。外壁塗装の費用は、使用する塗料の種類や塗装面積、劣化の進行具合など、さまざまな要因によって変動します。

1-2.外壁塗装費の内訳から正確に費用相場を掴む

外壁塗装の価格の内訳

外壁塗装の費用内訳は、主に「塗料代」「工事単価(人件費)」「足場代」「利益」です。

そこで、外壁塗装の費用相場をより正確に掴むためには、「塗料代」「工事単価(人件費)」「足場代」のそれぞれの相場価格をもとに考えるのがオススメです。

ちなみに、内訳の比率は「塗料代」約20%、「工事単価(人件費)」約30%、「足場代」約20%です。

※内訳は業者によって多少異なります。

■塗料代の相場

塗料

外壁塗装の塗料代は、選ぶ塗料によって大きく変動します。

[塗料別の相場目安|外壁]

塗料耐久年数費用 ※1缶あたり
アクリル約3~5年5,000~15,000円
ウレタン約5~7年5,000~20,000円
シリコン約7~10年15,000~40,000円
ピュアアクリル約15年~50,000~70,000円
フッ素約15年~40,000~100,000円
(変性)無機約15年~50,000~120,000円

[塗料別の相場目安|屋根]

塗料耐久年数費用 ※1缶あたり
ウレタン約3~5年5,000~20,000円
シリコン約5~7年15,000~40,000円
フッ素約7~10年40,000~100,000円
無機約10~15年50,000~120,000円

※上記はあくまで目安です。各塗料製品によって価格は異なります。

塗料を選ぶときには、費用単価だけでなく、耐久年数もいっしょに考えましょう。耐久年数とは、「塗料がどれぐらい長く持つか」を表しています。

基本的には耐久年数が高いほど価格も高く、耐久年数が低いほど価格も低くなります。つまり、耐久年数の高い塗料を選べば、一時的には費用がかかるものの、長いスパンで考えれば塗り替えまでの期間が長くなるため、結果的にはお得になることもあるということです。

塗料メーカーの塗料の値上げラッシュ

昨今の世界情勢の影響により、塗料の原材料価格が高騰しています。
また、原油価格の上昇により運送コストも上昇し、塗料メーカー各社は塗料の値上げを発表しました。
塗料値上げ率は製品によって5~20%程度で、業者に払う費用でいうと2~5万円程度の値上げになると考えられます。
この塗料代高騰の流れは2023年も続くと思われます。

工事単価(人件費)の相場

職人

外壁塗装の工事代(人件費)とは、塗装職人の工事に対して発生する費用のことです。

基本的には、「飛散防止ネット」「高圧洗浄」「養生」「施工費」はどんな塗装工事の場合もかかる費用です。付帯塗装工事については、塗装する箇所によって異なります。

[工事単価(人件費)の相場価格]

工事項目相場価格(円)
飛散防止ネット100~200円/㎡
高圧洗浄100~300円/㎡
養生250~400円/㎡
施工費1,000円~2,000円 /㎡
付帯塗装工事軒天800~1,200円/㎡
雨樋800~1,200円/m
破風板 650~1200円/㎡
雨戸2,000~5,000円/枚
シーリング打ち替え900~1,500円/m
シーリング増し打ち500~1,000円/m
諸経費現場管理費1式 30,000~50,000円
廃材処理費等1式 10,000~30,000円

足場代

外壁塗装の足場代とは、足場を組むのにかかる費用を指します。

足場の費用相場は下記の計算式で、自身でも算出することができます。

[計算式で割り出す、足場代の費用相場]

①足場は、住まいから少し離れた場所に設置するため、まずはどのぐらいの大きさの足場をかけるかを調べるために、足場をかける面積(足場架面積)を算出します。※家の外周に足す8mは、外壁(家)から足場までの距離に相当します。

足場架面積=[家の外周+8m]×高さ

 

②足場代(㎡単価)と飛散防止ネット(㎡単価)、さらに①で算出した足場架面積から、足場代を算出します。

足場費用=足場架面積×(足場費用/㎡+飛散防止ネット/㎡)

足場代(㎡単価)600~800円/㎡
飛散防止ネット(㎡単価)100~200円/㎡

[参考]「足場代無料」には要注意!

ときどき「足場代を無料にします」という業者がいますが、そんなアプローチをしてくる場合は要注意。足場代には、足場の材料を運ぶ運搬費と、足場を組む施工費が含まれています。足場を組むには、足場の組立て等作業主任者(国家資格)を配置する必要があるため、専門の業者に依頼する施工業者も少なくありません。つまり、それだけの工程・人件費がかかるはずの作業を無料にできるはずがないのです。足場代を無料にすると言いながら、その分、資材代や人件費が高くなっているかもしれません。

外壁塗装の足場費用はいくらが妥当?プロがぶっちゃけ解説

2.外壁塗装の見積り事例で費用相場を掴む

外壁塗装の見積例から費用相場を掴むのも一つの手でしょう。以下、参考に3つの見積書をご紹介いたします。

※yahoo知恵袋から引用

【事例1/外壁塗装】

築16年
外壁/サイディング ※屋根は和瓦のため塗り替えなし

項目数量 単価金額(円)
足場、メッシュシート込み一式90,000
水洗い一式30,000
養生一式55,000
軒天、破風、鉄部塗装一式70,000
下塗り、パーフェクトサーフ98㎡1,00098,000
中、上塗り、2液Fウレタン98㎡2,400235,200
軒天取り替え大工工事1ヶ所・一式0
目地コーキング打ち替え、打ち増し一式90,000
ゴミ処理、雑費一式20,000
小計(税抜)688,200
消費税55,056
値引き43,256
合計(税込)700,000

コメント

「一式」表記が目立ちます。これでは、何をどこまで対応してもらえるのか不明瞭です。たとえば「コーキングの打ち替え、打ち増し」が一式表記となっていますが、打ち替えと打ち増しでは全く工程が異なるため、もちろん費用も違います。打ち替えなのか、打ち増しなのかを明らかにした上で、m単位で見積りを出してもらう必要があります。その他の項目に関しても、一式部分は全て明確にしておきましょう。

【事例2/外壁・屋根塗装】

築10年 木造住宅

項目数量 単価金額(円)
足場架け掃い275㎡1,000275,000
足場養生ネット275㎡13035,750
下地処理 高圧洗浄258㎡13033,540
シール打ち替え331m1,100364,100
屋根部タスペーサー設置325個6721,775
塗装工事
外部下部レンガ調サイディング
クリーンSDトップ
100㎡2,100210,000
外部上部サイディング
クリーンマイルドシリコン
70㎡2,100147,000
屋根クールタイトSi65㎡2,100136,500
軒天・破風クリーンマイルドウレタン42m2,10088,200
雨樋・水切り・シャッターボックス1式100,000100,000
バルコニー防水トップコート1式67,00067,000
養生費1式40,00040,000
発生材処分費1式53,00053,000
諸経費1式157,000157,000
合計1,728,865

コメント
塗料名(塗料メーカーの記載もあると尚良いです)・塗装面積は明記されていますが、使用する塗料の量は不明瞭です。この見積書では、たとえば塗料4缶使用すべきところを3缶に間引くこともできてしまうのです。使用する塗料の量は、必ず缶数表記で明記してもらうようにしてください。
また「諸経費」という項目がありますが、これだけでは何に関する価格なのかわかりません。何にいくらかかっているのか、詳細に確認しておいた方が良いでしょう。

【事例3】

住宅内容:不明

項目数量単位 単価金額(円)
仮設足場 掛け外し236.9700165,830
下地調整 コーキング処理・素地処理費(材工共)30,000
高圧洗浄287.220066,000
養生費55,500
下塗り リカバリーウォールTi(ローラ工法)251.52000503,000
中塗り シリコンコートS(ローラ工法)251.52600653,900
上塗り シリコンコートS(ローラ工法)251.52600653,900
その他の塗装工事破風板 軒天 雨桶 霧除 窓枠廻り250,000
小計2,378,130
値引き778,130
合計1,600,000

コメント

「値引き」というと、お得な印象を受けますが、そもそも塗装工事では正当に見積もった額から大幅に値引くことはできません(※参照 4-1 大幅値引き)。この見積書でも約80万円もの値引きが見受けられますが、果たして、それだけの額をどこから差し引いたのでしょうか。明記されていない塗料量も怪しいですし、その他の塗装工事として一括りになっている部分の金額にも不信感が募ります。

 

3.外壁塗装の費用相場と一緒に押さえておきたい支払いのこと

3-1.支払いのタイミング

下記2つの支払い方法が一般的です。

■工事完了後の一括払い
■契約時か着工時に一部を、完工時に残金を支払う

支払いのタイミングに関しては、業者によって異なります。契約前に必ず確認するようにしましょう。

気をつけておきたいのが、工事前に全額支払いを指定された場合。「金額を支払った後、連絡がつかなくなった」といったトラブルに発展する恐れがあります。実際に、国民生活センターにも同様のトラブルが多数寄せられています。

3-2.リフォームローンでの支払いも可能

外壁塗装はしたいけれど、一度にまとまったお金を用意するのが難しいという方には、リフォームローンを使って支払うという選択肢もあります。
金融機関によって条件も様々です。業者によっては、自社で取り扱いのある場合もありますので、相談してみると良いでしょう。

外壁塗装でローンを使いたい時に知っておくべき知識

3-3.クーリングオフ

訪問販売や電話勧誘販売などの不意打ち的な取引で契約した場合、契約終結日を含め8日以内であれば契約の取り消し・解除ができます。
クーリングオフができるのか判断がつかない時や、クーリングオフの方法についてわからないことがある場合には、国民生活センター等にご相談ください。

15分でわかる!外壁塗装をクーリングオフをする方法

 

4.外壁塗装の費用に関するトラブル例

4-1.大幅値引き

「今すぐ契約してくれたら半額にします」などと言われると、うっかり心を動かされそうになりますが、最初の見積額よりも大幅な値引き額を提示してくる業者には注意が必要です。外壁塗装には、塗料代や工事代(人件費)、足場代など、一定以上の費用がかかるため、そう簡単に大幅値引きができるはずがないのです

大幅値引きをしたように見せかけて、実は、最初に提示した見積額をありえないほど高額に設定しているだけかもしれません。あるいば、本来1週間かかる工程を2~3日で終わらせていたり、使用する塗料の量を規定よりも減らしていたりと、一般消費者にはわからないよう巧妙に工事品質を下げて割り引いている可能性もあります。

心ない業者に騙されないためには、大幅な値引き額を提示された時に「なぜ安くなるのか」という視点をもつことが重要です。

4-2.追加費用

見積りの際にはお得な額を提示しておき、その後、オプション工事を追加することで、請求額を吊り上げる悪質な業者も存在します。「一緒に補修しておきますね」などと、あたかも無償でやってくれるような口ぶりで工事を行ない、実際にはきっちり請求されてしまうケースも。

追加での工事が発生した際には、見積額の範囲で対応できるものなのかを確認しましょう。見積り外の場合には、改めて見積りを依頼することで、想定外の請求を防ぐことができます。

5.外壁塗装の見積書をチェックする際に、見るべき4つのポイント

実際に見積書を手にしたら、下記項目をチェックしてみましょう。一つでも不明点がある場合には、業者に説明を求める必要があります。

見積り内訳

 

チェックポイント①|塗料メーカー名&商品名が明記されていますか?
たとえば同じシリコン塗料でも、メーカーによって価格が異なります。またシリコン樹脂の含有量や化学結合の強さなども、各メーカーによって違いがあるため、品質にも差があります。そのため「シリコン塗料」という記載だけでは不十分。どのメーカーの何という商品を使用するのかまで明記されている見積書の方が間違いありません。

チェックポイント②|塗装面積が「㎡」表記になっていますか?
塗装面積(どれぐらいの範囲塗装をするか)は、塗布量(使用する塗料の量)を算出するために必要な数値です。つまり塗装面積が㎡単位で記載されていることは、きちんと塗布量が算出してある証でもあるのです。

 チェックポイント③|使用する塗料の缶数が明記されていますか?
塗料の缶数は、つまり「どれぐらいの塗料を使用するか」ということを意味しています。使用する塗料の量は、各塗料メーカーによって決められており、規定量より多くても・少なくても施工不良につながる可能性があります。

●塗料缶数の算出方法

仕様書

 

チェックポイント④|一式表記になっていませんか?

見積り

一見すると全てが含まれているような印象を受ける「一式」表記ですが、詳細な情報が明記されていないことほど恐いことはありません。よくあるのが「塗装してもらえると思っていた箇所が含まれていなかった」というトラブル。外壁や屋根はもちろん、雨樋や雨戸などの付帯部部分と呼ばれる箇所についても、見積りに含まれているのかどうか、細かくチェックしましょう。

 

[参考]見積書の算出工程でわかる業者の良し悪し

塗装業者がどのように見積額を算出するかで、業者の良し悪しがわかることがあります。外壁塗装の場合、見積書をつくるためには、実際に外壁をチェックする以外に方法はありません。雨漏りはしていないか、ひび割れはないか、色あせしていないかetc、細かく診断することではじめて、どのような外壁塗装を施すべきかのカルテが出来上がり、見積額を算出することができるのです。

業者

そもそも家に診断にも訪れなかったという業者は論外です。実際に診断に訪れた場合にも、専門知識のない営業が対応していたり、数分で簡単に終わらせてしまうような業者には要注意。正確な診断結果を下すためには、見える範囲だけではなく、屋根裏や屋根の上にのぼって確認する必要があるため、どんなに急いでも1時間前後はかかります。

まとめ

外壁塗装の費用相場を掴むには、さまざまな観点で多角的にチェックしていくのがオススメです。ぜひご紹介した情報をもとに、より正確な費用相場を割り出してみてください。

費用相場を正しく掴んでおくことは、外壁塗装の計画を立てるうえで参考になるだけでなく、心ない業者に業者に騙されることなく、適正価格で塗装工事をするうえでも非常に重要です。

その上で、「自分の家は塗装工事が必要なんだろうか」「今すぐやろうとは考えていなかったけど、今後のために幾らくらいかかるか事前に知っておきたい」という方は塗装店に問い合わせてみてください。