身近なものを塗装するDIYの中でも、アンティーク風に仕上げることができる塗料を使ったDIY流行っています。新品のピカピカした感はなく、少しキズがついていたり色がかすれていたりする「柔らかく味のある」感じが人気のようです。
今回、塗料でのアンティーク仕上げについて、実際にやってみた結果をレポートしながらアンティーク仕上げができる塗料や、塗り方をご紹介いたします。やってみたことがあるという方も、今からやってみようと思っている方も、本記事をご参考に、アンティーク塗料を活用してご自宅の家具をリメイクしてみてはいかがでしょうか?
1.アンティーク仕上げができる塗料とは
前段でも少し触れましたが、アンティーク仕上げができる塗料とは簡単にいうと「わざと」キズをつけたり色をくすませたりして、通常のペンキでの仕上りと違って「古びた味のある感じ」にすることのできる塗料です。これらを使った塗装はエイジング塗装などとも言われます。
通常塗料は色を付けることが目的ですが、アンティーク塗料は、塗装することでキズ風の柄をつけたり、錆風の仕上りにすることができたりと、色をつけるだけでなくアンティーク風の加工にすることができます。
新品のピカピカな感じも良いですが、アンティーク調の、味があり自分だけのもののようなオリジナリティ感はアンティーク塗料だからこそ出せるものです。
早速2章ではアンティーク塗料を実際に使用して仕上りの違いを比較してみたいと思います。
2.アンティーク仕上げができる塗料を比較してみた!
「アンティーク仕上げ」と一言で言っても現在は多くの種類があり、どれを選んだら自分の理想のものになってくれるのかわからず、またどのような仕上げ方があるのかわからない方もいるでしょう。そのような方に参考になる様に、主なアンティーク塗料を種類別に特徴・仕上りと一緒にご紹介いたします。
今回は100円ショップに売っている木製の写真立てに、5種類のアンティーク仕上げの塗料を塗って比較してみました。
2-1.木目を活かしながらさりげなくアンティーク風に「アンティークワックス」 難易度★☆☆
使用材料:アンティークワックス(ターナー色彩株式会社)
色:ウォルナット
木目に沿って刷り込むだけで、木目を活かしながら色付けができ、味のある仕上りに。自然素材を使用しており、安全性が高いのも特徴のひとつ。
初心者でも簡単にできるのでどれがいいか迷った方はアンティークワックスから挑戦してみるのもおすすめです。
<塗装方法>
柔らかい布に取って刷り込むように塗っていきます。
<仕上り>
2-2.くすんだ味のあるアンティーク仕上げに「アンティークリキッド」 難易度★☆☆
使用材料:アンティークリキッド(Old Village)
色:ダークブラウン
通常の塗料の上から重ねることで、くすんだイメージに仕上げることができる。新品もたちまち古びた色に変えることができるため、手軽にチャレンジできます。
※油性塗料で臭いがきついことがありますので、室内で行う際は換気をしてください。
※通常塗料は同Old Village社のバターミルクペイントを推奨しております。
<塗装方法>
通常塗料(今回は同Old Village社のバターミルクペイントのブルー【5-9 Dressing Table Blue】を使用)を塗装し、あまり時間をおかずに柔らかい布等でアンティークリキッドを刷り込みます。このとき強くこすると下に塗装したペンキが剥がれてしまうので、優しく刷り込むのがポイントです。
<仕上り>
2-3.鉄さびを再現できる「錆エイジングペイント」 難易度★★☆
使用材料:錆エイジングペイントセット(株式会社タカラ塗料)
色:ベース色→ブラウン(Brown Rust)、エイジング用→イエロー系ブラウン(Yellow Rust)
塗装でいう「エイジング」とは新しいものをわざと古ぼけたように塗装する技術のこと。まるで錆が本当に発生したかのような見た目を再現できます。
缶やゴミ箱など、錆加工するだけでインテリア小物としてオシャレな感じに早変わりします。
<塗装方法>
ベース色のブラウンを全体に塗装し、乾燥させます。乾燥後、エイジング用のイエローを柔らかい布やスポンジ等に取り、ポンポンとわざとまだらになるように乗せていきます(案外テキトーでOK!)。
錆びさせたい度合いによって、エイジング用の色をのせる量を多めに、反対にナチュラルに仕上げたい場合は少なめにのせるといい感じに仕上ります(ここでは多めにのせてみました)。
<仕上り>
2-4.鉄・金属のような質感に「アイアンペイント」 難易度★★☆
塗るだけで鉄や金属のような質感が表現できます。見た目だけでなく触った感じの質感もデコボコしており本格的なイメージに。カラー展開は6色あり、定番の黒・茶もありますが、よりアンティーク風に仕上げるならブロンズやシルバーもおすすめです。
使用材料:アイアンペイント(ターナー色彩株式会社)
色:アンティークゴールド
<塗装方法>
塗料を刷毛に取り、一度目は通常の塗料と同じ要領で塗っていき、乾燥させます。
一度塗りでも多少金属感は出ますし、ナチュラルな感じに仕上りますが、質感ともにより金属感を出すなら二度塗りをおすすめします。
二度目は刷毛でポンポンと置くイメージで塗っていきます。
<仕上り>
今回の使用色はアンティークゴールドでしたが、より金属感を出すならアンティークブロンズという色もおすすめです。
2-5.クラック(ひび割れ)模様ができる「オールクラックアップ」 難易度★★★
通常塗料→オールクラックアップ→通常塗料の順に重ねることで表面にアンティーク風のひび割れ模様が現れます。
※通常塗料は同社のバターミルクペイントを推奨。他の塗料を使った場合、きれいにクラックが入らない場合があります。
使用材料:オールクラックアップ(Old Village)
色:透明(少し濁って見えるが、塗ると透明になる)
<塗装方法>
一定方向に下地の色となるバターミルクペイントのイエローを塗り、よく乾燥させます。
下地の色を塗った方向と90度ずらした方向にオールクラックアップを塗っていきます。下地の色と同方向に塗ってしまうと、ひび割れが出てこなくなるので刷毛を動かす方向に要注意。こちらもよく乾燥させます。
下地の色を塗った方向と同方向にメインの色(赤)を塗ります。塗ったそばから、だんだんとひび割れが現れてきます。
※少し塗り足りないなと思った部分があっても、すぐに重ね付けしてしまうとひび割れも塗り潰してしまうため、二度塗りは乾燥させてから行いましょう(今回少し失敗してしまいました)。
<仕上り>
今回ムラになってしまった部分に時間をあけずに重ね付けしてしまったため、少しひび割れを塗り潰してしまいました。
2-6.アンティーク塗料仕上り比較のまとめ
今回アンティーク仕上げ塗料の中でも人気の高い5つを塗り比べてみましたがいかがでしたしょうか?
【アンティークワックス仕上げ】
【アンティークリキッド仕上げ】
【錆エイジングペイント仕上げ】
【アイアンペイント仕上げ】
【オールクラックアップ仕上げ】
一言でアンティーク塗料と言っても塗料によってそれぞれ仕上りが全然違うので、仕上りの様子、また難易度も含めてDIYの参考にしていただければと思います!
3.アンティーク仕上げ塗料を使用する際の注意点
ここではアンティーク仕上げ塗料ならではの使用時の注意点をお伝えします。
①乾燥時間が必要か、すぐに重ねて塗るのか確認する
通常塗料では基本的に下塗りの上に上塗りを塗る際や、上塗りを重ねる際は乾燥時間をとりますが、アンティーク仕上げ塗料はそうとは限りません。
例えば2-1でご紹介した「アンティークリキッド」は下地となる色を塗ったあとすぐに重ねて仕上げました。反対に2-5でご紹介した「オールクラックアップ(ひび割れ塗料)」はしっかり乾燥させてからそれぞれの塗料を重ねました。
乾燥時間を誤ると綺麗に仕上がらないことが多いため、事前に説明書やメーカーのホームページで確認しておきましょう。
②塗る方向(刷毛の動かし方)に注意する
塗料によってはベース色と仕上げ色で塗る方向を変えることで、模様が出てくるような商品もあります。2-5でご紹介した「オールクラックアップ(ひび割れ塗料)」が該当しますが、1色目の方向と90度変えた方向に刷毛を動かすことで、ひび割れが現れる仕組みでした。①と同じく事前に説明書等で確認しておきましょう。
③木材以外のものが対象の場合はプライマーが必須
2章では木枠のフレームを対象として塗り比べを行いましたが、金属製品やプラスチック製品が対象となる場合もあるでしょう。その場合は、製品と塗料を密着させる役割をもつプライマー(下塗り塗料)を使用することをおすすめします。金属製品やプラスチック製品にそのまま塗料をのせていくと乾燥後に簡単に剥がれてしまうことが多々あります。プライマーを塗ることで、対象製品と塗料が強固に密着してくれるのです。
【プライマー例】
・マルチプライマー(ターナー色彩株式会社)
・アイアンペイント マルチプライマー(ターナー色彩株式会社)
まとめ
一言で「アンティーク塗料」と言っても様々な種類があり、仕上げも違いがあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
この中から皆様が使用してみたい塗料は見つかったでしょうか?
アンティーク仕上げの塗料で自分だけのオリジナル作品を作ってみたり、今ご自宅にある製品をまるで別物のようにリメイクしてみたりするのも楽しいですね。
本記事が少しでもアンティーク塗料を使用してみたい皆様のお役立てとなれば幸いです。