外壁がサイディングの家にお住まいの方は目地部分が気になる方も多いのではないでしょうか?
サイディングの目地部分にはコーキングが施工されており、新築から数年経っている場合、コーキングが固化し、ひび割れ・断裂している箇所もあるかもしれません。
そのまま何もせず放置しておくと固化・断裂した箇所から水が構造躯体まで浸入し柱や断熱材を腐らせてしまう可能性も!
「それならコーキングを補修してしまおう、それぐらいなら自分でも出来そうだな」と思われがちですが、実は、コーキング補修は業者に依頼しなければならないほど難しい作業なのです。
コーキングを剥がし、キレイに打ち替える作業が必要になりますが、ここではキレイで完璧なコーキングの剥がし方からコーキングの打ち替えをわかりやすくお伝えします。
ぜひ、参考にして下さい。
1.劣化したコーキングの剥がし方
サイディングの目地には必ずコーキングが充填されており、部材と部材をつなぎ、尚且つ目地から水を浸入させない重要な役割があります。
そのコーキングを打ち替える際、キレイに剥がさなければ施工不良のもとになってしまいます。
そして、そのコーキングを剥がすことは意外に難しいのです。多くの方がご存知の通り、サイディング同士の継ぎ目を目地と言い、目地の奥の部分は目地底と言います。
基本的にコーキングは2面接着と呼ばれる工法が正しく、目地底に接着していない状態でなければなりません。
※サイディングの目地は目地底にコーキングが付着してしまう3面接着だと、コーキングが切れやすくなってしまいます。
ここでは、完璧なコーキングの剥がし方をお伝えします。この内容に自信がない方は業者に依頼をしましょう。
1-1.コーキングの剥がし方の手順(カッター編)
①カッターで切れ目を入れる
まず始めに、劣化したコーキングの溝に沿って、両サイドにカッターで切れ目を入れます。
②コーキングを剥がす
切れ目を入れた後、コーキングが剥がれた部分をペンチなどで引っ張り、目地から剥がします。
③キレイに削ぎ落とす
剥がした後、サイディングボード小口(端部)に剥がし残ったコーキングをカッターやスクレーパーを使って完全に削ぎ落とします。
劣化したコーキングが残っていると、新しいコーキングを断裂させる原因となるので、丁寧に取り除かなければなりません。
④削りカスやほこりを取り除く
丁寧に取り除いた後、目地に付着している削りカスやほこりをキレイに掃除します。
【必要な道具】
大型カッター
コーキングの両サイドに切れ込みを入れるときに使用します。
ラジオペンチ
切れ込みを入れたコーキングを摘み出し、剥がすときに使用します。
スクレーパー
コーキングを剥がした後、残ってしまっているサイディングボード小口(端部)のコーキングをキレイに削ぎ落とすときに使用します。
軍手
コーキングを剥がすためには結構な力が必要です。カッターで怪我をしないように、軍手を使用します。
【剥がした後の施工】
①養生
サイディングの側面に新しいコーキングが付着しないように、継目の周りにマスキングテープを貼ります。
②プライマーを塗布
コーキングの密着を高めるために、プライマー(下塗り材)を塗布します。
③新しいコーキングを充填
上の方から下へ、空洞がないように充填していきます。
④コーキングを均一にならす
ヘラを使って、充填したコーキングを均一にならします。
⑤養生テープの除去
充填したコーキングが乾燥しないうちに、養生テープを剥がして完了です。
DIYは業者に依頼するより費用を安く抑えられるというメリットもありますが、リスクもたくさん潜んでいるので注意が必要です。
【DIYのデメリット】
- 間違ったコーキング材を選んでしまい、すぐ劣化して剥がれてしまった
- 仕上がりが汚くなってしまい、やり直すことになった
- 慣れない作業に手間取り、予定以上に時間がかかってしまった
- 足場を組まず2階部分のコーキングを行なった際、誤って落下してしまった
- 養生を上手くおこなえず、仕上がりが汚くなってしまった
- コーキング材やプライマーの専門知識が乏しく、何を選べばよいかわからない
1-2.コーキングの剥がし方(機械編)
先程はカッターを使用した剥がし方を紹介しましたが、外壁のコーキングは「スピンカッター」と呼ばれるドリルを使用するとより簡単に剥がせます。カッターよりもあまり力を使わずに剥がせるため、安全面でも優れています。
出典:https://www.3m.com/
【使用方法】
①スピンカッターをコーキングに押し付ける
カッターを使った切れ込みの代わりに、コーキングと母材の境目にスピンカッターを押し付けます。
出典:https://www.3m.com/
②スピンカッターを回転させる
スピンカッターをゆっくりと回転させながら、境目にもぐりこませます。
出典:https://www.3m.com/
③スピンカッターを移動させる(右回転)
スピンカッターの回転を上げ、右サイドのコーキングの上を走らせるように移動させます。
出典:https://www.3m.com/
④スピンカッターを移動させる(左回転)
反対側(この場合左サイド)も同様にスピンカッターを動かして剥がします。
出典:https://www.3m.com/
⑤残ったコーキングをキレイに除去
あとはカッター編と同じく、カッターやスクレーパーを使用してコーキングをキレイに除去していきます。
1-3.剥がしたコーキングの廃棄方法
剥がしたコーキングは基本的に建築廃材の一部として、廃プラスチック類として扱われます。安定型最終処分場への埋立てが可能ですが、廃プラスチックとして処分する場合は、15cm以下に切断し、廃棄することが必要です。
2.コーキングを剥がしたままでは絶対にダメ!
コーキングは剥がしたままではいけません。しっかりと新しいコーキングを充填することが必要です。
2-1.コーキングの必要性
コーキングがサイディング同士の継目のすき間を埋めるものです。シーリングとも呼ばれますが、サイディング以外にも、サッシ廻りやALCの外壁など複数のボードを張ってつくられている外壁に見られます。
建物は、目には見えませんが建物自身の歪みやボードの温度変化による伸縮によって日々微かに動いています。継目となるコーキングはそのボードの動きに追随し、揺れを緩和させる役割を持つため、柔軟性が必要なのです。
また、経年劣化により、コーキングの柔軟性がなくなり固化してしまうと、断裂やひび割れを起こし、隙間から建物内部に雨水などが浸入することになり雨漏りの原因にもなってしまいます。
コーキングは、建物の構造上必要不可欠であり、メンテナンスの観点から見ても非常に重要なのです。
2-2.コーキングを剥がしたままにする危険性(家の寿命が縮まる)
コーキングを剥がしたままにしておくと、その部分からたちまち雨水が浸入してきます。すると、外壁内部が劣化しはじめ、最終的には雨漏りや、断熱材や柱の腐食を引き起こし、取り返しのつかない状態になってしまいます。
家の寿命が縮まる致命的な劣化が起こる前に、コーキングを剥がした後は当日のうちにしっかりと新しいコーキングを充填しましょう。
3.コーキング施工は塗装と同じタイミングが良い
コーキング施工と屋根・外壁の塗装を同じタイミングでされることをオススメします。では、その理由を説明していきます。
3-1.同じタイミングがいい理由
コーキング施工と屋根・外壁塗装を同じタイミングでするのはなぜ良いのか。
それは、屋根・外壁塗装の周期も約10年と、コーキングの補修周期と重なってくること、どちらも足場を設置しないといけないことにあります。
同じタイミングで施工することで1回分の足場代で済ませられるので、経済的です。
また、屋根・外壁塗装に使用する塗料の耐久性に合わせてコーキング材を選んでおくと、次回の塗替えも無駄なく出来ます。
ただ、総合的に見るとお得ですが、コーキング補修は約40万円かかるのに対して、屋根・外壁塗装の場合は100~150万円ほど必要になります。
外壁・屋根塗装に特に大きな劣化症状が見られない場合は、コーキングのみの補修のみでもいいかもしれません。
注意すべきは、固化・断裂など補修が必要なくらい劣化しているのに、その劣化を放置したままにすることです。
まずは自分の家をチェックすることが必要です。
3-2.業者に依頼をしたほうが得策
コーキングをキレイに剥がせたとして、新しく充填することも意外に難しい作業となってきます。
サイディングの家はサイディング同士の目地部分だけでなく、玄関や窓といった開口部まわり等、いたるところに目地があります。
一軒あたり数十メートル以上のコーキング剥がし、充填作業が必要となるので、体力も神経も使います。
劣化した古いコーキングの撤去、プライマーの塗布、2面接着の厳守、乾燥時間(インターバル)の厳守等、専門知識が必要な作業でもあります。
もし、そのような知識がないまま施工してしまうと不良施工となり、数年のうちに不具合を引き起こしてしまう原因となります。
不具合によっては目地から雨水が浸入し、家自体の劣化を進行させてしまう原因となってしまいます。
実は、コーキングの補修工事には国家資格まで存在するほど難しい作業なのです。
無理せず業者に依頼をして、正しい施工をしてもらいましょう。
3-3.業者の選び方
先程お伝えしたように、コーキング補修工事には国家資格まで存在します。「一級技能検定合格証書防水施工(シーリング防水工事作業)」というものが実務経験が7年以上の国家資格です。二級もありますが、二級も実務経験が2年以上必要な十分に難しい資格です。
業者を選ぶ際にはこのような国家資格を持っているかどうかで判断することもひとつの手段です。
ただ、資格を持っているからといって必ず安心というわけではありませんので、評判など注意が必要です。
また、コーキングが劣化しているのに打ち替えではなく※増し打ち工法で費用を押え、見積りを安く提示してくる業者もいます。
コーキングの補修をおこなう際は、必ず相見積もりをとり、工法の確認も怠らないようにしましょう。
※増し打ち工法・・・耐久性、伸び性能に劣る。
まとめ
コーキングの剥がし方、新しいコーキングの充填は簡単そうに見えますが、素人には難しいものです。業者に依頼をして、しっかりと正しい施工をしてもらうことが家を長持ちさせることにつながります。まずはしっかりと自分で知識をつけてから業者を選んでいきましょう。