洋風、アンティーク、レトロ、荘厳…。
日本によくある住宅とは一味も、ふた味も違う、レンガの建物。
もし自宅がレンガの壁の家だったら、家に帰るのが楽しみになりそうで、本当に素敵ですよね。
ただ、日本の住宅と言えば、モルタルやサイディングの外壁が一般的です。
そんな自宅の外壁をレンガにリフォームすることは可能なのでしょうか?
この記事では、レンガの外壁の特徴や、自宅をレンガの外壁にリフォームする方法について解説していきます。
また、外壁の一部分にレンガを用いる方法や、DIYでレンガを施工する方法についても説明します。
自宅の外壁をレンガにしたい!という方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.外装材としてのレンガの特徴を徹底解説!
日本では目にすることが少ないレンガの建物。独特の温かい雰囲気や、珍しさから、レンガの建物は印象的なものですが、そもそもレンガとはどのような外装材で、どのような特徴があるかご存知でしょうか。
この章では、レンガの基本的な知識と、メリット・デメリットについてご説明します。
1-1.レンガとはどんな外装材か
レンガとは、粘土に泥・砂などを加え練った材料を、型に入れて乾燥、もしくは素焼きした建築材料のこと。一つのレンガは直方体の形をしており、モルタルを接着剤替わりにして一個ずつ積み上げていくことで建築物を形作っていきます。レンガの持つ独特の風合いは、土に含まれる成分や、乾燥・焼きムラの違いが作り出す自然感のある色合い・形によるものです。その色形が、ブロックを接合するモルタルによって引き立てられることによって温かみのある雰囲気を実現しています。
■レンガには様々な色味があります
【赤茶系】
レンガといえばこの色。 土の温かみが感じられます。 目地の色によって、様々な表情を楽しむことが可能です。 |
【素焼き系】
ピンク~薄いオレンジ色。 茶系より柔和な雰囲気に仕上がります。 |
【グレー系】
淡くやさしい印象に。 涼しげ、モダンな雰囲気を出すにはうってつけです。 |
【白】
清涼感があります。 熱を吸収しにくいという特徴も。 |
■レンガは形や目地の色・施工方法によっても印象が大きく変わります
【深目地で仕上げる】 レンガを積み上げたあと、モルタルが乾かないうちに |
【複数色のレンガを使う】 同種のレンガでも、個々に個性があるのもレンガの魅力。 |
【レンガの形にこだわる】 レンガ外壁の雰囲気は、レンガの形にも影響されます。角が残ったレンガを使うと、かっちりとした印象に。 |
【目地の色を活かす】 目地を深くえぐらない『浅目地』で仕上げると、目地部の色が表面に現れ、ここのレンガの形も際立つ。 |
■レンガの耐震性の問題は、工法の改変によって克服されています
工法に焦点を当てると、古来は、個々のレンガをモルタルのみの接着力で連結しており、耐震性が低いという欠点がありました。
現在では、レンガ自体に孔が開いており、そこに鉄筋を通して基礎や柱に固定していく工法がとられています。
1-2.外壁をレンガにするメリット
レンガ外壁のメリットは以下の通りです。
異国情緒あふれる外観になる | 一番に思い浮かぶメリットではないでしょうか。
日本でレンガの建物といえば、東京駅や、北海道の小樽などがよく知られていますが、これらは一度見たら忘れられないような、西洋的で、歴史を感じさせる独特の雰囲気を持っていますね。 日本では住宅に使われることは少なく、見かけることが少ないことも、印象深く映る要因でしょうか。 自宅がレンガ外壁だと、魅力的で自慢の家になることは間違いありません。 |
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古さが味わいとなる | 一般的な住宅では、経年によって、外壁にひび割れや、欠け、色あせなどが発生し、十数年も経てば、貧相な外観になっていくもの。 見た目が古くなってくれば、塗替え・張替えなどで、ガラリと外観を替えるようなメンテナンスを行います。 対して、レンガの外壁では経年による前述のような劣化(あえてこう表現します)は、むしろ“味わい” となって、建物を魅力的に変化させていきます。 |
環境に優しい | 加齢を楽しめる建築材料ゆえに、一度施工してしまえば数十年後にもう一度張り替えるといった必要もありません。
一部抜け落ちてしまった時に、新しくブロックをはめ込むこともありますが、基本的には大量の廃材が出ることはありません。 |
断熱性に優れる | レンガは熱が伝わりにくく、また、一度蓄えた熱は温度の高低を問わず放出しにくい性質を持っています。
そのため、外気の温度変化の影響を受けにくく、室内温度を一定に保つことができます。 |
湿度調節性がある | レンガには無数の微小な孔が開いており、外気の湿度に合わせて水分を吸収したり、放出したりするため、室内を快適に保つことができます。
ただし、モルタル外壁にスライスレンガを貼り付けるような工法で施工したレンガ外壁はこの限りではありません。 |
1-3.外壁をレンガにするデメリット
レンガ外壁のデメリットは以下の通りです。
費用がかかる | レンガは日本での生産量が少なく、多くは輸入による取り寄せとなります。
レンガの取扱い実績が豊富な業者でなければ、仕入れ価格も高くなり、材料費が割高となります。 |
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施工できる業者が少ない | 施工してくれる業者探しが大変なのはもちろんですし、遠方の業者を選べば、何かメンテナンスが必要となったときに対応が遅くなってしまうことにもなります。 |
工事期間が長くなる | サイディングなどの外装材は、大判のボードを下地に貼り付けて施工していきますが、レンガはブロックを1個1個積み重ねていく(もしくは貼り付けていく)工法のため、作業時間がかかります。 |
蓄熱しやすい | 上記のデメリットは、工事に関するものでしたが、実際に住んでのデメリットは熱を溜め込みやすいこと。
温度を一定に保つ蓄熱しやすい性質は、夏場などの特に気温が上がる時期にはデメリットとなることがあります。 昼間蓄積した熱によって、夜間になって外が涼しくなっても、室内はなかなか気温が下がらないという現象が発生します。 冷房の稼働時間が増えたり、通気に気を遣ったりする必要があります。 |
1-4. “レンガ調”の外装材もある
日本でレンガの住宅が少ない原因は、一個一個積み上げ、もしくは貼り付けていく、他の外装材とは違った施工方法にあります。施工業者やレンガ購入のルートも限られ、費用がかさむことが常で、レンガ外壁は、他の種類の外壁と比較して割高の部類に入ります。
そこで、レンガのかわりに日本でよく選ばれているのが、レンガを模したタイルや、レンガの模様を施したサイディングです。
これらについては4章で解説していきます。
2.外壁をレンガにする方法と費用【スライスレンガ編】
自宅の外壁をレンガにするというと、何だかハードルが高いように感じますね。
それは、レンガは「積み上げる」イメージがあるからではないでしょうか。
実は、私たちが普段目にする外壁のレンガには2種類あります。それは「スライスレンガ」と「積みレンガ」です。
この章ではまずスライスレンガについてご説明します。
積みレンガについては3章で解説していきます。
2-1.スライスレンガの特徴
画像出典:http://smartbricks.co.jp/?page_id=822
モルタル、サイディングなど、ごく一般的な外装材を使った住宅を、レンガの外壁にする場合に、まず心配しなければならないのは、構造の強度についてです。
レンガは、土、しかも密度の高い粘土を主材料としており、かつ厚みがあるため、建築材料としては重い部類に入ります。
丈夫である半面、住宅の構造に負担をかけ、耐震性を低下させてしまうのです。この問題を解決するのが、スライスレンガです。
その名のとおり、通常の分厚いブロックのレンガを薄くスライスした建材です。
2-2.スライスレンガの外壁施工方法
スライスレンガは、【積み上げる】のではなく、【貼り付ける】ことにより、外壁に施工していきます。
ちょうどタイル貼りのような要領です。
古くからある積み上げのレンガ住宅の建築方法とは、構造が異なることになりますが、貼り終わってしまえば、内部構造が外から見えることはありません。
伝統的な工法にこだわりがなければ、スライスレンガを用いるのがオススメです。
■スライスレンガの工法
スライスレンガの工法には、「乾式」と「湿式」の2種類があります。
【乾式工法】
土台となるボードにレールを取り付け、レール上にレンガを並べていく工法です。
その後、モルタルを目地部に詰めていきます。
レンガ外壁の施工に時間がかかる原因の一つは、湿度が高いとモルタルの乾燥に時間がかかることです。
しかし、乾式工法では目地部にしかモルタルを使用しないため、工期が天候に左右されにくく、比較的短期間で工事を終えることができます。
また、レールに沿って貼り付けて行くため、規則的で整然とした見た目となります。
湿式と比べてややコストが高いのが難点です。
画像出典:http://smartbricks.co.jp/
【湿式工法】
モルタルを下地全体に塗り付け、スライスレンガを埋め込んでいく工法です。
乾式工法のように直線的なレールを用いないため、直線的になりにくく、柔らかい印象になります。
また、貼り付けの自由度が高くなるため、アーチに沿って放射状にレンガを並べたり、タイルアートのように図柄をつけたり、遊び心のあるデザインも可能です。
2-3.スライスレンガの施工費用
スライスレンガの施工費用は、レンガの種類、工法によって上下しますが、目安となる単価は下記の通りです。
【スライスレンガのリフォーム費用】
材料費:5,000~20,000円/㎡
施工費:5,000円~/㎡
足場代:150,000円
※スライスレンガは、通常のレンガに比べ厚みがない分軽く、構造への負担が掛かりにくい建材です。
ただし、既存の構造の劣化が著しい場合や、軽い外装材を前提とした材料が用いられているなどで、十分な強度でないと判断される場合は、別途構造補強費用がかかる場合があります。
2-4.オススメのスライスレンガ
代表的なスライスレンガを紹介します。
施工業者によっては取扱いがなかったり、特別に取り寄せが必要になる可能性が高いため、お気に入りのスライスレンガはあらかじめ控えておき、事前に取扱可能か確認しておきましょう。
■スライスレンガの例
ファンデルサンデンブリック ノスタルジーシリーズ (丸鹿セラミックス)
ヨーロッパ最大のブリックメーカー「ファンデルサンブリック」のアンティーク調スライスレンガです。
画像出典:http://www.marushika.com/material/detail.html?item_bno=123&main_no=3&sub_no=7&list2=1&list1=1
【価格】
14,900円/㎡
【特徴】
・伝統あるベルギー産レンガで、アンティークからモダンまで、場面を選びません。
・手形成で、凹凸感が温かさを感じさせます。
ジャーマンハードブリック
ドイツ製のブリックレンガ。高温で焼成しており、丈夫な仕上がりとなります。
画像出典:https://www.advan.co.jp/eshop/category/214
【価格】
6,480円 / ㎡
【特徴】
・密度が高く、重厚な仕上がりです。
・角がシャープで、きっちりとした見た目となります。
・ベージュグレーから、ブラック系まで幅広いカラーラインナップがあります。
3.外壁をレンガにする方法と費用【積みレンガ編】
スライスレンガではなく、正規のレンガを積み上げで施工していく場合、その工事はスライスレンガを使った方法より大掛かりなものとなります。
3-1.積みレンガの特徴
画像出典:Sharlene Jackson
積みレンガを使った外壁施工は、伝統的な工法に最も近い方法です。スライスレンガとの一番の違いは、構造的な丈夫さにあります。
スライスレンガは外壁に張り付けてあるため、大きな力が加わると、欠けて落ちてしまったり、剥がれてしまうことがあります。
対して積みレンガは、個々のレンガが噛み合っているためその心配はありません。
また、薄いスライスレンガではレンガの性質である蓄熱性をさほど感じられませんが、積みレンガは正真正銘、レンガとしての厚さを持っているため、確実にその恩恵を受けることができます。
3-2.積みレンガの外壁施工方法
積みレンガは厚みがあり、既存の外壁にもたせかけるように施工すると、外壁に大きな負担がかかってしまいます。
そこでとられるのが、既存の外壁から独立させてレンガの外壁を積み上げる工法です。
画像出典:http://www.b1son.com/bricks.html
積みレンガの施工では、一回り大きな外壁をもう一層造ることになるため、新しく基礎を作ることが必要になります。
施工の流れとしては、既存の基礎周りに新しい布基礎を作り、その基礎の上に組み立てた鉄筋にレンガを積み立てていくような流れになります。
屋根や窓サッシなどの外壁との接合部分の細かい処理は実績豊富な業者でないと難しく、積みレンガの工事ができる業者はごく限られます。
近くにこのような業者が見当たらない場合は、スライスレンガでの施工も視野に入れましょう。
3-3.積みレンガの施工費用
・基礎工事が必須であること
・外壁に厚みが出る分、窓サッシや付帯部の入れ替えなどが必要になること
このように全体的に大掛かりな工事が必要となります。
そのため、積みレンガの施工の場合は、外壁のみのリフォームであっても内装を除いて新築を建てるくらいの心持ちで計画を立てる必要があります。
【積みレンガのリフォーム費用】
材料費:4,500~15,000円/㎡
施工費:12,000円~/㎡
基礎工事費:150,000~400,000円
足場代:150,000円
3-4.積みレンガの種類は施工業者に相談を
積みレンガを施工できる業者は数が限られており、またそれぞれの業者で、取り扱うレンガの種類を定めていることがほとんどです。
そのため、もし特別に使用したいレンガがある場合は、相談は必須です。
通常は、価格帯、色合い、産地などを、業者と相談して決定していきます。
4.格安で“レンガ調”を実現する方法
レンガの外壁は、他の種類の外壁と比較しても費用が高めです。
予算的に、レンガを諦めなければならないこともあり得ます。
そんな方々にオススメしたいのが“レンガ調”の外装材です。
この章では、代表的なレンガ調タイル、およびサイディングについて見ていきましょう。
4-1.メンテナンスがラクで汚れにくい【レンガ調タイル】
タイルは、レンガと同じくメンテナンスフリーの外装材です。
レンガは粘土を主成分としていますが、タイルは石質の成分をより多く含んでおり、これを高温で焼成することでガラス質の硬度の高い素材となります。
丈夫なため、薄く加工することが可能で、より建物への負担を軽減することができます。
またタイル自体が、サイディング、モルタルほどではないものの、メジャーな外装材で、施工業者も多いため、よりハードルは低くなるでしょう。
自宅を本物のレンガの家と公言することはできませんが、質の高いものでは、本物のレンガと見紛うほどの見た目に仕上げることも可能です。
■レンガ調タイルの施工費用
レンガ調タイルの施工費用は、タイルの種類、工法によって上下しますが、目安となる単価は下記の通りです。
【レンガ調タイルの施工費用】
材料費:4,000~8,000円/㎡
施工費:5,000円~/㎡
足場代:150,000円
■レンガ調タイルの例
カルセラ(玉川窯業株式会社)
本物のレンガとも見紛う見た目で人気のレンガ調タイル。
【材料価格】
4,000円/㎡~
【特徴】
・非常に軽量で、建物に負担がかかりにくい
・角が丸いため、温かくやさしい印象
ベルパーチ(LIXIL)
落ち着いた風合いで、格調高い仕上がり。
画像出典:http://www.lixil.co.jp/lineup/tile/exterior_wall/berparch/
【材料価格】
5,000円/㎡~
【特徴】
・フック状の波形がついたベースサイディングに、ベルパーチのタイルを引っ掛けていく工法
・表面に粉体を衝突させるブラスト加工により、自然に年月を重ねたような古い風合いがあります。
・模様は、フラットから、緩やかな波状、規則的なライン、自然の岩のような凹凸まで、様々なバリエーションから選べます。
クラシック【 KLASSIK 】 KSN (アイコット・リョーワ)
土物の表情を持つ、美しいレンガ調タイル。
画像出典:http://www.ic-ryowa.com/products/wall/klassik/
【材料価格】
4,400円/㎡~
【特徴】
・土の温かみを感じる独特の質感
・角がシャープで、古すぎない雰囲気を演出します
4-2.予算が厳しいときは【レンガ調サイディング】
もう少し費用を下げたい場合には、レンガの模様が施されたサイディングも選択肢に入れましょう。
また、サイディングは、サイディングボード同士の境目(目地部)に、シーリング材を打つ必要があります。
シーリング材の色に、クリーム系の色を選ぶなどで、目立ちにくくすることはできますが、どうしても目地があると、「サイディングボードを貼った感」が出てしまいます。
より本物の感じを求めるのであれば、少し費用が高くなりますが、スライスレンガや、レンガ調タイルをオススメします。
■レンガ調サイディングの施工費用
レンガ調サイディングの施工費用の目安は下記の通りです。
【レンガ調サイディングの施工費用】
材料費:3,000~7,000円/㎡
施工費:3,000円~/㎡
足場代:150,000円/㎡
■レンガ調サイディングの例
キールMG(ニチハ株式会社)
ニチハのモエンサイディングWシリーズのレンガ調仕様。
画像出典:https://www.3cata.com/product/detail/1925
【材料価格】
3,192円/㎡
【特徴】
・耐久性は25~50年程度だが、表面の塗装は定期的な塗替えによるメンテナンスが必要
・雨で汚れが洗い流されるセルフクリーニング機能をもつ
5.外壁の一部分にだけレンガを使用する方法
手軽にレンガを楽しみたい方にオススメなのが、一部分にだけレンガを使う方法。
ポイント的にレンガを取り入れるだけで、外観は一気におしゃれになります。
5-1. 一部分にレンガを使った施工事例と費用目安
【コーナーにレンガを取り入れる】
コーナー部分にレンガを貼るだけで引き締まった印象に。
少量のレンガでガラリとイメージチェンジできます。
画像出典:http://www.karucera.jp/018/018-07.html
■費用:15,000円/m~
【1階部分だけレンガを貼る】
画像出典:http://www.takayamashoten.co.jp/ecopaint/index.html
■費用:20,000円/㎡~
【玄関周りなどにアクセントに使用する】
画像出典:http://jirei.re-model.jp/rc692001/project/92
■費用:20,000円/㎡~
低所であれば、DIYでスライスレンガを貼っていく方法もあります。
DIYの施工方法は6章で解説します。
5-2.一部分での使用にはスライスレンガ
外壁の一部分にだけレンガを使用するなら、スライスレンガを使いましょう。
既存の外壁に接着用モルタルで貼り付けて施工します。
6.DIYで外壁をレンガにする方法
業者に頼むとどうしても費用が割高になりがちなレンガでのリフォームですが、費用を抑えるためにDIYで施工することはできるのでしょうか。
答えは、
・全面工事は不可能
・1階部分でアクセント程度の小面積なら可能
です。
この章では、DIYでレンガ外壁にリフォームする方法を見ていきます。
6-1.貼り付け用のレンガ調タイルならDIY可能
レンガのDIYと言えば、ブロックレンガを一個一個モルタルで積み上げることを想像する方も多いかもしれません。
しかしながら、この方法は花壇や小さな倉庫などを作るならまだしも、自宅の外壁となると難易度が一気に上がります。
3章で紹介した通り、外壁にレンガを接着すると負担がかかり、外壁から独立させて施工するにも基礎工事が必要となるからです。
そのため、外壁をDIYでレンガにする場合はスライスレンガを用いるのがオススメです。
6-2. DIYでのレンガ施工は1階部分まで
DIYで外壁にレンガを貼る場合、その範囲は安全に作業ができる1階部分までと考えましょう。
レンガの施工は、レンガ、モルタル、コテなど多くの道具を使いますし、材料自体も重量があります。
地面に材料を置いての作業は比較的容易ですが、脚立等を使用して、慣れない高所でレンガを平行に貼っていく作業は難易度が高く、転落の危険も伴います。
脚立に替わって、足場を個人でレンタル場合、初期費用は10万円を超えることがほとんど。
レンガの施工は非常に時間がかかりますから、日数が長くなりさらに費用がかさむことになります。
初心者であれば、アクセント程度など小面積から挑戦するのがおすすめです。
コーナー部分のみ、玄関周りのみなどにとどめておきましょう。
6-3.DIYの材料・工具の費用目安
DIYに必要な材料・工具は以下の通りです。
【材料】
軽量レンガ |
5,000円/㎡~ 画像出典:たまがわ楽天市場店 |
オススメの軽量レンガの種類は、6-4でご紹介します。
必ず外装用のものを使用します。 |
接着用モルタル(接着剤) |
200円/kg~ 画像出典:たまがわ楽天市場店 |
下地とレンガを貼りつける時に使用します。
軽量レンガの種類によっては、専用の接着剤が用意されている場合もあります。 接着方法や乾燥時間をしっかり確認しましょう。 |
目地モルタル(ノロ) |
200円/kg~ 画像出典:松本産業株式会社 |
レンガとレンガの間の目地を埋めるのに使用します。
表面に出る色なので、グレー・白などの色をよく確認しましょう。 |
【工具】
のこ |
画像出典:amazon 価格:1,000円~ |
レンガのサイズ調整に使用します。
アクリル素材に対応したタイプが、刃が丈夫でオススメです。 |
左官コテ |
画像出典:http://www.nihon-kiko.co.jp/?pid=34735043 価格:600円~ |
モルタル・接着剤を塗布するときに使うコテ。 |
目地コテ |
画像出典:http://www.nihon-kiko.co.jp/?pid=34745967 価格:400円~ |
目地を埋めるときに使うコテ。 |
コテ板 |
画像出典:amazon 価格:700円~ |
目地用モルタルを施工するとき、モルタルを一時的に載せるのに使用します。 |
マスキングテープ |
画像出典:amazon 価格:700円~ |
接着剤やモルタルがついては困る箇所に貼りつけ、保護します。 |
古新聞紙 | 大面積を養生したしたり、コテや手についたモルタルを落としたりなど、あると何かと便利です。
多めに用意しておきましょう。 |
6-4.DIYでレンガを施工する方法
1.施工面を洗浄・乾燥させる
汚れの付いた外壁では、強力な接着剤を使っても接着力を弱めてしまいます。
ホースで水を流しながらブラシなどでしっかりと汚れを落とします。
その後、完全に乾燥させます。
2.養生する
汚したくない場所をマスキングテープや新聞紙を使って覆います。
3.外壁面に接着用モルタルを塗布する
下地に接着剤を隙間なく塗布します。
大面積にレンガを貼っていく場合は、貼っているうちに接着剤が乾いてしまう場合があるので、慣れないうちは少しずつ塗布しましょう。
4.レンガの裏面に接着用モルタルを塗布する
外壁とレンガの密着力を高めるため、レンガの裏面にも接着用モルタルを塗りつけます。
5.レンガを貼る
レンガ同士の間隔は、レンガのサイズにもよりますが6~10mmほど開けましょう。一度この間隔、と決めたら、最後まで等間隔で貼り付けていきます。
6.目地部に目地用モルタル(ノロ)を入れ込む(浅目地の場合)
浅目地に仕上げる場合は、目地コテを使って目地にノロを入れ込んでいきます。
レンガ表面に残ったノロは雑巾などで拭き取ります。
表面に凹凸の少ないレンガなら、レンガの上からノロを伸ばし、目地部に入れ込みます。
凹凸の多いレンガはノロがレンガに入り込んでしまうため、目地一本一本にノロを埋め込みます。
丈夫な袋を使って、ケーキに生クリームを飾りつけるときの絞り袋のように、目地に入れ込む方法もあります。
7.よく乾燥させて完成!
乾燥時間はモルタルのパッケージに書いてある時間を厳守しましょう。
乾燥が終わるまで手を触れないようにします。
画像出典:タイルライフ株式会社
6-5.DIY施工に適したレンガ
DIYで使用するスライスレンガは軽量レンガがオススメです。
外壁に負担をかけず、垂直な面に貼りつけても、途中、自重で落ちてくることがありません。
ここではDIYでよく使用される軽量レンガをご紹介します。
■カルセラ(玉川窯業株式会社)
軽量のため、貼り付け中のずり下がりがなく、DIY経験が少なくても、施工しやすいでしょう。
【特徴】
・水より軽いため、女性でも施工が簡単。
・形に丸みがあり、温かい印象に仕上がります。
■ブリックタイル(amfactory)
【特徴】
・専用の接着剤(ネオピタ#99)で外壁に施工可能です。
・モルタルでも接着できます。
まとめ
いかがでしたか?
レンガの外壁は初期費用こそかかるものの、一度施工すれば特別な見た目となり、年月を重ねるにつれ味わい深くなる素敵な家となることでしょう。
最後に、自宅をレンガの外壁にするときのポイントをまとめておきます。
1.自宅の外壁をレンガにする方法は、スライスレンガの貼り付けと、既存の外壁から独立させて積み上げる方法の2種類がある。
2.予算が厳しいときは、レンガ調タイル、レンガ調サイディングの選択肢もある。
3.全面レンガにこだわりがなければ、アクセントとしてレンガを貼りつけるのも効果的。
4.DIYでレンガを外壁に貼るときは軽量レンガがオススメ。