住まいの外壁やベランダについた、細長い筋のように黒ずんだ汚れ。それは実は、雨水が流れた跡に発生する「雨だれ」というものです。外壁の素材や立地条件によっては、建てたばかりの家であっても雨だれが目立つようになることもあるばかりか、放置すると雨だれによる汚れはどんどん広がってしまう可能性もあります。その結果、住まいの美観を大きく損ねてしまうため、雨だれを発見したら早めにキレイに除去しておきたいところです。
そこで本記事では、目立ち始めた雨だれにお悩みの方に向けて、外壁に発生した雨だれをキレイに除去する方法を徹底解説。自分で簡単に洗い流す方法から、業者に依頼する場合のポイント、雨だれの発生を防止する方法まで詳しくご紹介致します。
この記事を読めば、気になる雨だれをキレイに洗い流す方法がわかるはず!
目次
1.どうして外壁の雨だれは水洗いだけでは落ちないの?
雨だれを住まいの外壁に見つけたら、まずはブラシやスポンジだけで水洗いをしてみようという方がほとんどだと思います。しかし、しつこい雨だれは水洗いだけではなかなか落ちず、デッキブラシなどで強くこすってしまうと、外壁を傷つけてしまうこともあります。なぜ、外壁の雨だれは簡単に洗い流すことができないのでしょうか。
そもそも雨だれは、外壁に付着した汚れが雨水に流されるときに、完全に洗い流されなかった分が乾燥とともにこびりついてしまうことによって発生します。
汚れの中には大気中を漂う土埃や花粉だけでなく、排気ガスや雨水に含まれる炭酸カルシウムなどの化学物質も含まれます。
そういった目に見えないほど小さな汚れや、油分を含んだ汚れは水洗いでは完全に落とすことができません。
キレイな外壁を取り戻すためには、適切な方法で汚れを落とす必要があるのです。(2章で、しつこい雨だれによる汚れを落とす方法について紹介しています)
2.自分で外壁の雨だれを除去する方法
ここからは、ご自分で外壁の雨だれを除去する方法を詳しくお教えします。
2-1.中性洗剤で洗い落とす
先程説明しましたが、外壁に付いたしつこい汚れには炭酸カルシウムなどの化学物質が含まれています。そういった汚れをキレイに落とすためには、実は食器用洗剤や浴室用洗剤などの中性洗剤が効果を発揮します。
まずはホースによる散水で土やホコリなどの汚れを洗い流しましょう。次に、ぬるま湯で薄めた中性洗剤をスポンジにたっぷりと含ませて、しつこい雨だれを落としていきます。強く擦りすぎて外壁を傷つけることがないように、優しく洗っていくのがポイントです。洗剤が外壁に残ったまま放置すると変色などを引き起こす可能性があるため、雨だれを落としたあとはホースの水で洗剤をキレイに洗い流しましょう。
※酸性・アルカリ性の洗剤や、クレンザーが入った洗剤は外壁を傷つけたり、変色を招く可能性がありますのでご注意ください。
2-2.市販の外壁用クリーナーで洗浄する
家庭用の中性洗剤でもなかなか落ちない汚れに対しては、ホームセンターなどで購入できる専用のクリーナーを使用することをおすすめします。ここでは、外壁の雨だれ除去におすすめのクリーナーを紹介していきます。
外壁汚れの達人クリーナー(株式会社友和)
画像出典:https://www.monotaro.com/
外壁だけでなく、玄関周りにも使用できるスプレー式の洗浄剤です。
マジックアマドーレx2(バイツー)(株式会社TOSHO)
画像出典:https://coschem.jp/wp_tosho/use/magic_amadorex2
雨だれの除去に特化したクリーナーです。水で希釈して使用することで、外壁についた汚れをキレイに洗い落とします。
2-3.高圧洗浄機で洗い流す
画像出典:プロタイムズ越谷店
新しく購入するには少し費用がかかりますが、高圧洗浄機の強力な洗浄力で雨だれを除去するという方法もあります。雨だれを除去するだけでなく、駐車場や土間などの洗浄にも使用できるので、この機会に購入してみてもいいかもしれません。ホームセンターなどで購入することができ、価格は1万円~7万円程度のものがあります。ただ、手間をかけずに見違えるようにキレイにできる反面、水圧を上げすぎると外壁が傷んでしまったり、騒音の発生にも注意を払う必要がありますので注意してください。
こちらの記事で外壁を高圧洗浄する方法について詳しく解説しています。ぜひご参考にしてください。
2-4.自分で雨だれを除去する際の注意点
自分で雨だれを除去する場合は、必ず以下の点に注意してください。
- 風が強い日や雨の日の洗浄は避ける
風が強い日や、雨が降る日などは洗浄してもすぐに汚れが付着してしまう可能性があります。外壁の洗浄を行なう場合は、穏やかな天候の日を選んで行なうといいでしょう。
- 高所での作業は十分注意して行なう
2階部分の外壁についた雨だれを除去したい場合は、決して転落することがないように最大限の注意をしてください。1人がハシゴに昇っている間にもう1人がしっかりと支えておくなど、出来る限り2人以上で作業するようにしましょう。
- 住まいの状態によっては、高圧洗浄を行なえない可能性がある
外壁に無数のひび割れが発生しているなど、著しい劣化症状が見られる場合は注意が必要です。ひび割れた部分に高圧洗浄を行なうと建物内部に水が浸入してしまい、最悪の場合雨漏りを引き起こすこともあります。そのような場合は無理に洗浄しようとせず、業者に相談してみることをおすすめします。
3.業者に洗浄を依頼するときのポイント
画像出典:プロタイムズ久留米店
「どうしても取れない汚れがある」「洗ってもすぐにまた雨だれが発生してしまう」「高所での作業は危なくてやりたくない」などの場合は、無理をせず外壁塗装会社や清掃会社などの洗浄のプロに任せることをおすすめします。自分で行なうよりも費用はかかりますが、植物性の洗剤でしつこい汚れを根本から取り除く「バイオ洗浄」や、近隣住宅への水の飛散を防ぐシートの設置など、プロにしかできない除去方法が存在します。ここでは、実際に雨だれの除去を業者に依頼した場合の費用相場やポイントをご紹介します。
3-1.業者に依頼した場合の費用相場
雨だれの除去を高圧洗浄で行なう場合、その費用相場は200円~300円/㎡ほどになります。一般的な住宅(120㎡)を全面洗浄したとしても24,000円~36,000円ほどですので、雨だれを除去するためだけに高圧洗浄機を購入するよりは、業者に依頼した方がお得になる場合もあります。
バイオ洗浄を行なう場合は少し高くなり、およそ500円~800円/㎡ほどが目安です。通常の高圧洗浄だけで大丈夫なのか、バイオ洗浄を行なった方がいいのかの判断がつかない場合は、外壁の状態を業者に相談してみるといいでしょう。
※洗浄費用は業者によって異なります。
バイオ洗浄については、こちらの記事で詳しく解説されています。ぜひご参考にしてください。
3-2.業者選びの注意点
雨だれの除去を業者に依頼する場合は、数社で相見積もりをとって比較・検討を行なうことをおすすめします。その際は、下記のポイントに注意してチェックしてみましょう。
- 見積り金額が費用相場から離れすぎていないか
先ほど説明した費用相場から大きく離れた見積もりを提示してきた業者には注意が必要です。見積もりの根拠なども聞いた上で、納得の行く説明がなされない場合は他の業者を選ぶのが無難です。
- 外壁洗浄の実績がある業者か
見積もりを取る業者が外壁洗浄の経験が豊富なのかどうか、ホームページの実績を見てチェックしてみましょう。十分な実績がある会社であれば、安心して雨だれの除去を任せることができます。
- 現場調査に基づいた提案をしてくれるか
外壁の洗浄を完璧に行なうためには、しっかりとした事前調査が不可欠です。外壁の素材や状態などを細かくチェックして、最適な洗剤や洗浄の方法がベストなのかアドバイスしてくれる業者は安心して任せることができます。洗浄方法の提案を受けた際は、「どのような方法で洗浄するのか」「なぜその方法を選んだのか」を確認することをおすすめします。
4.雨だれの発生を防止する方法
残念ながら、せっかく雨だれをキレイに洗浄してもしばらく放置しているとまた発生してしまうという可能性は否定しきれません。建物の立地や気候条件によっては、洗浄して1年も経たずにくっきりとした雨だれが再発してしまうこともあります。そこで本章では、雨だれが外壁に発生するのを未然に防ぐ方法をご紹介します。
4-1.対策① 「水切り」を設置する
雨だれがもっとも発生しやすい箇所のひとつに、窓まわりが挙げられます。窓のサッシなどに溜まったホコリが雨水とともに外壁を伝い、雨だれとなって残ってしまうのです。
窓まわりに発生する雨だれを防ぐためには、窓枠に「水切り(水受け)」を設置するのをおすすめします。設置することで雨水が外壁に伝わることなく落ちていくため、周辺の外壁に雨だれができにくくなります。しっかりと施工しなければ十分な効果が得られないため、窓・外装リフォーム業者などに依頼して取付けてもらうことをおすすめします。
費用は設置する水切りによって前後しますが、一箇所あたりおよそ2,000円~5,000円程度です。
- ツタワンD (ケイミュー株式会社)
画像出典:ケイミュー株式会社パンフレットより
窓枠の隅に設置するコンパクトな水切りです。設置費用は一箇所あたり2,000円程度と比較的安価ですが、窓枠の隅に発生する雨だれに対しては十分な効果を発揮します。
4-2.対策② 雨だれが起きにくい塗料で塗装する
外壁全体を雨だれが発生しにくくするためには、低汚染塗料と呼ばれる塗料で塗装するのがもっとも有効です。雨だれをはじめとした汚れが外壁に付着しにくくなり、住まいの美観を長期間保ち続けることが可能です。住まいを10年以上塗装していない場合は、一度検討してみてはいかがでしょうか。費用は使用する塗料によっても前後しますが、およそ80万円~150万円ほどが目安となります。
- 超低汚染リファイン(株式会社アステックペイント)
画像出典:株式会社アステックペイント
雨が降ると外壁表面に付着した汚れが自動的に洗い流される「セルフクリーニング機能」を持つ塗料です。業界でも最高クラスの低汚染性を持ち、長期間に及んで外壁を雨だれの発生から守ります。
低汚染塗料については、こちらの記事で詳しく説明されています。ぜひご参考にしてください。
まとめ
本記事では、外壁に発生した雨だれについて、自分または業者に依頼して除去する方法、発生を防止するための対策を詳しく解説してきました。雨だれにお困りの皆様が、どんな対策を取ればいいか判断するお手伝いができていれば幸いです。
雨だれは深刻でなければ自分でも比較的簡単に除去することができます。しかし一方で、防止する対策を取らなければすぐにまた再発生してしまう可能性もあります。この記事を参考にして、雨だれの除去から再発防止までの正しい方法を頭に入れておきましょう。また、ご自分で雨だれを除去したい場合はくれぐれも安全に注意して行なってください。高所での作業は必ず2人以上で行ない、難しいと判断したら無理をせず業者に相談しましょう。
ぜひこの記事を参考にして、雨だれとは無縁なキレイな外壁を維持しましょう。