普段は目にすることが少ない雨樋。雨が降っているときに雨樋から雨水が漏れてくる等で、初めて雨樋の掃除について意識する方も多いのではないでしょうか?
雨樋には、風で飛んできた落ち葉や砂埃が溜まります。近くに木があるところにお住まいの方は、特に落ち葉が溜まりやすいかもしれませんね。
そういったものが原因で雨樋の詰まりが発生するのですが、そのまま放置しておくと、水はねの音が発生したり、外壁を痛める原因になったりと、二次被害に繋がるので、掃除をする必要があります。
この記事では、雨樋の掃除について詳しく解説していきます。雨樋の詰まりがひどくなる前にこまめに掃除をして大きな被害を未然に防ぎましょう。
目次
1.雨樋を掃除せずに放置すると、どうなる?
雨樋を掃除せずに放置すると、どのような状況になるのでしょうか?下記に雨樋の役割と詰まりについてまとめています。
1-1.雨樋の役割と放置した場合のトラブル
雨樋は2種類あり、屋根に平行に設置されているものを「軒樋(のきどい)」、屋根に垂直に設置されているものを「縦樋」といいます。
軒樋には、屋根から流れてくる雨水を集めて流す役割、縦樋には、軒樋に流れている雨水を地面の排水口まで下ろす役割があります。
雨樋がないと、屋根に降った雨水はそのまま地面に落ち、排水口へ水が上手く流れず水はけが悪くなります。また、雨樋がある場合と比較すると、建物の外壁が濡れやすくなります。
そして、外壁の塗装が劣化している状態だと塗膜が雨水をはじくことができず、外壁が水を吸収してしまいます。
さらに、地面にできた水たまりの上に雨が降り続けることで水はねが起き、それによって通常よりも余計に基礎部分を濡らしてしまいます。
築10年近く経ち、外壁や建物の基礎部分に小さなひび割れがある場合には、 そこから建物内部へ水が浸入してしまうといった、最悪のケースも考えられます。
建物を劣化させてしまう最大の原因は「建物内部への水の浸入」です。雨樋は、雨水を排水口まで流すことで住宅を水の浸入から守っています。
雨樋が詰まっている状態だと、雨樋の機能を発揮することができないので、雨樋がないのと同じ現象を起こしてしまいます。
具体的には、下記のようなトラブルがあります。
・水音による騒音
・水たまりができる
・水はねによる外壁の汚れ、水の浸入
・水の浸入による雨漏り
さらに放置し続けると、詰まりの掃除では解決できずに雨樋を修理・交換することになる可能性もあります。
また、雨水が浸入し壁や柱に湿気を含んでしまうことで、水分を多く含んでいる場所を好むシロアリの住み家となってしまう可能性もあります。
1-2.詰まりの原因は落ち葉や砂埃
雨樋の詰まりの原因は、落ち葉や砂埃、花びらです。特に、山沿いに住まれている方や、街路樹に面した場所、屋根より高い木が近くにある場合は、落ち葉による詰まりが発生する可能性が高くなります。また、カラスが運んできた異物であったり、鳥の巣や動物の死骸が原因の場合もあります。
雨樋が詰まると1-1のようなトラブルが起きます。雨樋の掃除は、気づいた時点で早めにおこなったほうがよいでしょう。
2.雨樋が詰まっている場合|掃除は業者に依頼しましょう
2-1.これらの症状は掃除のサインです
1章で、詰まりを放っておくと最悪の場合は建物に水が浸入してしまう可能性がある事は説明しましたが、目に見えてわかりやすいものではないので、
「実際には雨漏り等が発生するまで放置しないと気付かない」という場合もあるかと思います。
そこまで放置してしまうと修繕費がかかってしまうので、被害の少ないうちに解決したいですよね。
雨樋が詰まっているか否かは、雨が降っている日に確認することができます。
このような症状があった場合は、雨樋が詰まっているので、掃除をしましょう。
①オーバーフロー
樋が詰まっている為、雨水が樋を流れず、外に溢れ出てしまっている状態です。
このような状態になると、水が地面に落ちる音がうるさくなります。
②地面の洪水
①のオーバーフローの状態を放置していると、雨水が樋を通って排水口に流れない為、家の敷地内の水たまりが発生します。
できれば半年~1年に1回、雨が降っている日にはこのような状態になっていないか確認しましょう。
特に台風や梅雨等大雨が降る時期に確認するとわかりやすいかもしれません。
2-2.掃除に慣れている専門業者にお願いするのがおすすめ
雨樋の掃除だけを依頼するのは気が引けるかもしれませんが、放置して他の被害を引き起こしてしまう可能性もあります。定期的にメンテナンスをしましょう。
依頼先は、雨樋の掃除をおこなっている便利屋さんや、屋根屋さん等、家の外回りのメンテナンスに慣れているプロにお願いしましょう。
業者選びについては、下記を参考にしてください。
※雨樋の掃除は業者に依頼、自分でおこなうのは1階のみにしましょう※
雨樋の掃除は高所作業となり危険です。建設業の「墜落・転落」による死傷災害は5,184件起きており(平成28年 厚生労働省の労働災害統計より)、
普段から高所作業に慣れているプロでさえ、事故が発生しているのが現状です。自分で高所作業をおこなう場合、足場や2階まで届くはしごの準備ができず、
屋根に登って作業をすることになります。屋根の上は思った以上に傾斜がありかなり危険ですので、自分で掃除をおこなうのは1階のみで、2階以上は業者に依頼しましょう。
自分で掃除をおこなう場合、1階の樋は比較的低い位置にあるので可能かもしれません。
はしごを軒樋にかけて、はしごから手が届く範囲のみ掃除をしましょう。
掃除の際は、必ず2名以上でおこない、はしごに登る際はヘルメットを着用しましょう。
使うものは下記の通りです。
・トング、ほうき
・長いホース
・パイプ掃除用の道具や長めの針金
掃除方法
①軒樋に溜まったゴミをトングやほうきで取り除く
②集水器のゴミを取り除く
③ホースで勢い良く水を流し、水の流れを確認する
※この時に下まで水が流れば掃除は完了
④水を流しながら縦樋を叩く
⑤それでも詰まっていた場合は、長い針金等を縦樋の上部から差し込みながら水を流す
雨樋の集水器
2-3.業者に依頼した場合の費用の相場は数千円~3万円程度
雨樋の掃除の相場はだいたい数千円~3万円程度です。この金額なら定期的にメンテナンスが可能ですね。
ちなみに、雨樋を修理するとなった場合、劣化状況によっても変動しますが、1箇所につき5千円~3万円、全交換の場合は15万円~50万円が相場です。
業者に掃除を依頼した場合も、自分でおこなう際の掃除と流れは変わりませんが、高圧洗浄機を使用してより本格的に掃除してもらえます。
手順としては、トング等で樋に溜まっているゴミを撤去した後、集水器のつまりを解消し、高圧洗浄機で大量の水を流して縦樋の詰まりを解消させます。
高圧洗浄機を使用するので、雨樋の汚れもよりきれいに落ちます。場合によっては、雨樋を分解して掃除をすることもあるでしょう。
3.雨樋を詰まらせない為にできる対策
費用や手間を考えて、掃除を頻繁におこないたくない場合は、掃除をした後に落ち葉よけシートや落ち葉よけネットをつけると良いです。
落ち葉よけシートは、下記のようなカバーをつけるようなイメージで、雨樋に落ち葉やゴミが入り込むことがなく、樋の外へ落ちていきます。
シートには穴が空いているため、雨水は雨樋の中に入ります。
(画像出典:http://kamisei.co.jp/news/6215)
一方、落ち葉よけネットとは、樋の中にネットを丸めて、樋の中に落ち葉が入り込むのを防ぐものです。
落ち葉はネットの網目で入らないようにして、雨水だけ樋の中に入れるという仕組みですが、数年経てばネットの中に落ち葉は入り込んできます。
また、ちいさな砂埃等は網目の中に入っていくため、落ち葉よけシートのほうがおすすめです。
(画像出典:https://sumai.panasonic.jp/amatoi/kanren/lineup/ochiba.html)
業者に掃除をお願いした場合は、掃除と一緒に設置をお願いすると良いでしょう。
自分で設置する場合は、ネットやホームセンター等で購入し、掃除した雨樋に設置しましょう。
高所でシートを設置する作業は危険なので、掃除同様1階のみにしましょう。
ただし、シートやネットを設置したからといって雨樋の詰まりを完全に防ぐことはできません。
定期的に様子を確認し、詰まっているような症状が発生した場合は掃除をしましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
雨樋の詰まりの原因、掃除についてと自分でできる対策を紹介しました。
雨樋は、建物への雨水の浸入を防ぐ重要な役割があります。詰まっているかもと気づいた時点で、業者に依頼して掃除をしましょう。
自分でおこなう際には安全に十分配慮して、1階屋根の雨樋のみにしましょう。