お住まいの外壁リフォームをする際に、金属系サイディングである「ガルバリウム」で検討しようとお考えの方が最近増えています。色も形も豊富で、メーカーも多数存在しています。
この記事では、ガルバリウムの特性、外壁をガルバリウムにする際のメリットとデメリット、また注意しておきたいポイントをご紹介します。「壁をガルバリウムに」と検討中の方は、ぜひ参考になさってください。
1. ガルバリウム鋼板の3大特性
正式名称はガルバリウム鋼板。外壁材に使用される鋼版で、金属系サイディングという種類に属します。鉄の板である鋼版に、合金(アルミ・亜鉛・シリコン)をメッキしたものです。ちなみガルバと略称で呼ばれたり、またガリバリウムとも呼称されたりすることもあります。
まずは、ガルバリウム鋼版(以下ガルバリウムと略称)の3大特性を確認していきましょう。
1-1.最大約25年の長期寿命
1つ目は耐久性です。耐用年数は20年~25年とされています。開発をした旧ベスレヘム・スチール社(米国・2003年にインターナショナル・スチール・グループに売却)が行なった「野外暴露試験*1」結果として、一般的海岸地区、工業都市、田園地区では、皮膜寿命が25年以上あることが報告されています*2。
*1耐久性試験の一種で、自然環境下での任意材料の劣化現象を確認・把握する試験のこと。
*2出典:http://www.jfe-kouhan.co.jp/products/steel_sheet/pdf/galva_taisyoku.pdf
これはサビにくい「ガルバリウムの耐蝕性」によるもので、耐用年数が長く、トータルのコスト面からおすすめできる外壁材です。
1-2.人気の最大理由「美しさ」
2つ目は外観の美しさです。
ガルバリウムは、鋼板にアルミニウムと亜鉛の合金メッキを施して、鉄をサビから守る「亜鉛」を流出しにくくしたものです。
亜鉛が流れ出やすいトタンと比較して、数倍も高いサビにくい性質を手に入れたガルバリウム鋼鈑は、美観の観点でも優れた外壁材として、近年人気が高くなっています。
1-3.家へ余分な負担をかけない「軽さ」
3つの特性は軽さです。外壁材の中でも特に軽量で、家に対して余分な負担がかかりにくいとされています。ですので、既設の外壁がモルタルやALCの場合は、ガルバリウムにリフォームすることをお勧めします。
2. ガルバリウムを外壁材にする際のメリットとデメリット
特性を確認したところで、次はガルバリウムを外壁材にする際のメリットとデメリットを、具体的に確認していきましょう。
2-1.メリット
(1):モダン・アーバンな雰囲気を演出できる
1つ目のメリットは、おしゃれな外観を手に入れられることです。金属の質感をそのまま活かしたもの、シンプルな無地・シンプル木目調・タイル調のものなど意匠性の高いガルバリウム鋼版が、各メーカーから発売されています。外壁材として施工すると、外観が非常に美しく見え、それぞれの柄やパターンによった「表情」を見せてくれます。特にモダンテイストやアーバンテイストな、いわゆるハイセンスで都会的な雰囲気にしたい人には人気の外壁材です。
2つ目のメリットは、防水性の高さです。表面が金属板のため、吸水や水の浸透を防ぐ構造になっており、屋根材としてもよく使用されていることも、防水性の高さを証明しています。
(3):長期的に考えて「お得」
3つめのメリットは、長期視点で考慮すると経済的だということです。
外壁の塗り替えは、一般的には約10~15年ごとに行なうことが推奨されています。既述の通りガルバリウムは長期寿命が最大の特性です。高額な費用が必要な大掛かりなメンテナンスのタイミング周期が長いので、長期視点で考えると「お得」と言えます。
2-2.デメリット
(1):サビの原因となる「傷」のつきやすさ
では、次にデメリットです。1つ目のデメリットは傷のつきやすさです。特に、運搬時や工事を行なっている際に傷がつきやすいです。厚み自体が非常に薄く(0.3mm~0.5mm程度)、塗装層・保護層もまた非常に薄いことが要因とされ、凹みやすくデリケートな扱いが必要な外壁材なのです。
傷がつくと、その箇所からサビが発生しやすくなります(サビの危険性については後述します)。
(2):耐熱性はあるが、断熱性はない!?
各メーカーにおいて、「ガルバリウムは耐熱性や熱反射性に優れている」と、表現されたりします。表面温度・屋内温度も高くなりにくく、アルミめっき鋼板(自動車のマフラー・焼却炉・ボイラーなどに使用されている)に近い耐熱性も持っています。
ですがここで注意すべき点があります。それは「断熱性はほぼない」ということです。ガルバリウムは薄く、その物自体に断熱機能は備わっていません。
(3):工事中に原因が潜む「黒点現象」
塗装などの処理をせず、ガルバリウムの素材感を出すために「素地」のままで使用する場合には、「黒点現象」の危険性があります。
工事中に、エントランス補修などセメントを使う工程があるとしましょう。もしそのセメントがガルバリウムに付着し雨に濡れると、メッキに使われるアルミ成分が、セメントのアルカリ成分と反応して、部分的に黒くなります。これを黒点現象と呼びます。
すぐにサビにはなりませんが、光沢が失われシミのようになってしまい、特性の1つである美しさが台無しになってしまいます。
3. 外壁材にガルバリウムを使う際のポイント
特性、メリット・デメリットを押さえたうえで、実際に外壁材をガルバリウムにする際の注意点をお伝えします。
3-1.断熱材とセットで
外壁であるガルバリウムと内壁の間に、断熱材を適宜張り、お住まいに断熱機能を持たせるようにしましょう。断熱塗料を塗れば大丈夫とリフォーム業者から言われる事があるかもしれませんので、ガルバリウム&断熱塗料の組み合わせだと、不十分な断熱となる場合があり危険です。
3-2.サビが発生する場合もある
ガルバリウムは一般的に、サビにくい材料と言われています。これは犠牲防食作用と呼ばれる現象が起こることによるもので、傷ついても、鋼板の中に含まれる亜鉛が、鉄より先に溶けて、鉄をサビから防止しようとするからです。
ですが、サビ自体がまったく発生しないわけではありません。既述の「黒点現象」もサビの1つで、その他には、硬い物質との接触で傷が付いて発生する「赤サビ」。そして、高温多湿の環境で発生しやすい「白サビ」もあります。これは、雨がかからない場所で、塩分などを含んだホコリやチリが、雨で洗い流されずに積もって腐食が進み、結果サビとなるのです。
もしサビが発生していたら「専用のサビ取り剤」を使用し、サビを浮き出させてから水で洗い流すことができます。サビが付いていた部分は多少なりとも傷んでいる場合が多いので、専用の塗料を塗ることをお勧めします。
3-3.いつも清潔に!水洗いは定期的に
白サビ対策や、日頃のメンテナンス方法は簡単です。丁寧に水で洗うことです。定期的に(可能であれば2~3ヶ月に1回)行ない、清潔に保ってあげることです。薄い外壁材なので水圧には注意して、優しく洗い流しましょう。
4. 主なガルバリウムメーカー
ガルバリウムを含む金属サイディングを製造販売している、主なメーカーを紹介します。
各メーカー、機能やデザインなどそれぞれ特徴のある商品を扱っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。最後にまとめとして、外壁をガルバリウムにする際の、メリット&デメリット、そして押さえておきたいポイントを整理します。
・ガルバリムのメリット&デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・モダン・アーバンな雰囲気を演出できる ・水の浸入・雨漏りに強い! ・長期的に考えて「お得」 |
・サビの原因となる「傷」のつきやすさ ・断熱性のなさ ・黒点現象などのサビの危険性 |
・ガルバリムが外壁材にする際の注意しておきたいポイント
ポイント1 | 断熱材とセットで「断熱機能」を持たせる |
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ポイント2 | サビにくい材料であるが、工事中の扱いには注意する |
ポイント3 | 優しい水洗いで定期的なメンテナンスを |
ガルバリウムの特性と注意点をそれぞれ踏まえ、素敵な外壁デザインのお住まいを実現し、正しいメンテナンスでいつまでも美しく、長持ちさせましょう。