新築やリフォームを検討したときに悩むのが外壁選び。「こんな外壁のデザインにしたいなぁ」「かっこよく見せるためには何色がいいかなぁ」と悩まれていませんか?
新築やリフォームでの外壁選びは大きな買い物ですので、絶対に失敗したくないという気持ちから、思い切った決断が難しいという方も多いです。
本記事では家の外壁選びを失敗しないために、外壁材の種類や特徴、迷ったときの外壁のデザインや、色の選択肢のご紹介から家を建てた後のメンテンスまで紹介させていただきます。
この記事を読んでいただくことで、少しでも外壁選びの悩みを解消するための役に立てば幸いです。
1.家の外壁の役割
そもそも家の外壁は何のためにあるのでしょうか。普段、家を見たときに一番印象をあたえるのは外壁や形などのデザインです。
そのため、新築で家を建てることを考えると、どうしても家の色やデザインに目がいきがちですが、実は家の外壁には「雨水、紫外線から守る」、「断熱材で暑さから守る」といったような居住者を快適にするための役割があります。「遮熱」、「防水」、「防音」などの機能を想定して外壁を選ぶ必要があります。
2.家の外壁選びのポイント
家の外壁の役割がわかったところで、一体どのようなポイントをふまえて外壁を選んでいけばいいのか、ポイントをお伝えします。
ポイント①機能
1章でもお伝えしましたが、近年外壁材のメーカーは外壁に様々な機能を付加して販売しています。たとえば、付加機能には下記のようなものがあります。
・遮熱、断熱機能(外部からの暑さを減少、内部からの暖かさを外部に逃げにくくする)
・防音機能(外部の音をいくらか遮断する)
・親水機能(静電気の発生や汚れを付着しにくくし、雨水で汚れを落ちやすくする)
・光触媒機能(太陽光が当たると汚れが分解され外壁に汚れがつきにくくなる)
上記は一部であり、外壁の上から塗装する塗料によっても機能をつけることができます。
ポイント②デザイン・色
家の本来の役割を踏まえた「機能」も大切ですが、やっぱり気になるのはデザイン・色ではないでしょうか。ご近所の目もありますし、せっかく一生に一回家を建てるのであればこだわりたいですよね。家の外壁のデザインや色を決める際のポイントは主に2点です。
1.個人の好みだけで決定しない
家の外壁を選べるのは一生に一度。気分や場所で変化できる洋服選びとは違う視点で考えましょう。周辺環境や家族間での好み、いろんな要素を検討しましょう。
2.周辺環境を無視したデザイン・色を選ばない
外壁のデザイン、色ともに、植栽イメージ、玄関イメージなどもあわせて考えましょう。
色選びに関して、より詳しく解説した、こちらの記事も合わせてぜひご覧ください。
ポイント③価格
家の外壁は大きな買い物。価格もなおざりにはできません。機能・デザイン・色にこだわりすぎて予算オーバーとならないよう、ご家族で事前に話し合っておきましょう。
3.家の外壁の種類、おすすめのデザイン・色
外壁の役割、外壁選びのポイントをおさえたところで、外壁材が持つ特長・費用について種類別にお伝えしていきます。またお勧めのデザイン・色もお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
3-1.外壁材の特徴・費用 種類別に解説
外壁材には主に窯業系サイディング・金属系サイディング・モルタル・塗壁・ALCの5種類があります。順番に見ていきましょう。
※価格は相場です。メーカー・業者によっても異なります。
①窯業系サイディング
特徴:耐震性や防火性に優れています。また、カラーバリエーションやデザインが豊富で、レンガ調のもの、タイル調、木目調のものなど、おしゃれな風合いのデザインが多いのが特徴です。耐用年数は7~8年
※サイディングの耐用年数は表面にコーティングされている塗料の種類によって大きく異なります。『おしゃれでデザイン性に優れている外壁材が良い』という方にオススメです。
費用: 4,500~8,000円(1㎡あたり)
②金属サイディング
特徴:防音性、防水性に優れていて、ひび割れや凍害にも強い耐性を発揮します。軽量であるため、建物自体にかかる負担が少ないのも特徴です。窯業系サイディング同様、デザインやパターン、カラーバリエーションが豊富です。耐用年数は10~15年。
費用: 4,000~7,000円(1㎡あたり)
③モルタル
特徴:意匠性に優れていて、質感がよく味わいがあります。サイディングのようにコーキングがなく、目地が割れる心配はないのですが、モルタル自体の防水性能は低いです。そのため、モルタル外壁の表面に塗装をすることで防水性をもたせています。塗装が劣化してくると、徐々に水分を吸収していき、様々な劣化症状がでてきます。
費用: 2,000~8,000円(1㎡あたり)
④塗り壁
特徴:モルタル同様意匠性に優れており水、土、植物などの天然素材を材料としているため、日本の気候に合った調湿機能が特徴です。古くから伝わる伝統的な壁材のため、天然素材と職人の技術が織りなすため、非常に味わい深い壁材です。天然素材で地球にやさしく、内装材、外装材の両方から人気があります。
費用: 4,500円~(1㎡あたり)
⑤ALC
特徴:断熱性・耐火性に優れており、ALC内部の気泡の穴が空気が層をつくり、熱の伝わりを抑制し、夏の暑さや冬の寒さから室内を一定の温度に保つ断熱効果が期待できます。また、耐久性も高いため、建築物の構造材料として戸建住宅から高層ビルまで、外壁、屋根、床用など、さまざまな用途で使用されています。
費用:7,500円~(1㎡あたり)
家の外壁で失敗する1番の原因は「見た目だけで判断している」からです。多くの人は外壁を選ぶ際に、鮮やかさや綺麗さの見た目だけで曖昧に選び、外壁材の持つ特徴や費用、メンテナンス性などにはあまり目を向けません。
そのため、いざ新築が建ったときに家の面積効果によって選んだ色とは違って見えてしまい、「外観が想像とは違っていた。」というギャップに悩まされることや、建ってからメンテナンスの費用が大きくかかるということが分かる。ということが発覚して新築購入で失敗してしまうこともあります。
こういった自体にならないために、外壁選びで迷ったときは先ず外壁材の種類とその特徴、金額を知っておく必要があります。
主要外壁材まとめ
外壁材 | 費用(1㎡あたり) | 特徴 |
---|---|---|
窯業系サイディング | 4,500~8,000円 | 耐震性や防火性に優れています。 |
金属サイディング | 4,000~7,000円 | 防音性、防水性に優れています。 |
モルタル | 2,000~8,000円 | 意匠性に優れています。 |
塗り壁 | 4,500円~ | モルタル同様意匠性に優れています。 |
ALC | 7,500円~ | 断熱性・耐火性に優れています。 |
※費用は目安です。メーカーや業者によって異なります。
5種類の外壁材の中から筆者がおすすめするのは、サイディングです。
サイディングは今や日本の住宅に使われている外壁材の約80%を占めているほど人気のある外壁材です。その理由は以下です。
①施工性に優れている
②デザインが豊富
③比較的工期が短い
④比較的コストが安い
窯業系サイディングは施工性が良く、安価で、デザインが豊富という様々な良い特徴を持っています。
3-2.外壁材で迷ったときのおすすめデザイン・色はこれ!
外壁塗装を考えていく上で悩む方が多いのは「デザイン・色」です。色というのは同じ色であっても色を見る時間帯が晴れの日か曇りの日かという違いだけで色の明るさが大きく変化したり、見るときの色の面積の大きさが違って見える明るさは変化します。ここでは失敗しないために、色が人に与える「心理的効果」と効果を一層引き立てるための「配色構成」を考慮したおすすめのデザイン・色をご紹介していきます。
カラー | イメージ | 特徴 |
---|---|---|
茶色
【ロマンティックStyle】 |
自然な生成色(8091)は環境に馴染みやすい色。セラドングリーン(9004)で甘くなりすぎず、爽やかな印象を与えます。煉瓦色(8070)は親しみやすい色なので安心感があります。 | |
赤色
【ヨーロピアンStyle】 |
弁柄色(8068)は、自然色として代表的な赤茶。丁字色(8095)は香木から染め出した色で、明るい印象を与えます。土器色(8072)を加えることで素朴な暖かい楽しい雰囲気に仕上がります。 | |
緑色
【フォレストStyle】 |
明るい日差しの自然の森の中でくつろぐイメージの配色です。ジェードグリーン(9106)の落ち着きとオパールグリーン(9021)の爽やかさに、マイナスイオンを感じ、レモン(9009)のはじける輝きが新鮮に仕上がります。 | |
こげ茶色
【シックStyle】 |
深緋(8075)の濃い色と鳩羽色(8109)の組み合わせで、都会的な上品さに仕上げられています。亜麻色(8081)を加えることで、クールな中にも暖かさを感じさせます。 | |
青色
【シンプルStyle】 |
ペリウィンクルブルー(9006)の青が少し入った爽やかな白にラピスラズリ(9107)の個性的な屋根色でシンプルに仕上がります。クールグレイ(9012)が都会的な上品さを感じさせます。 | |
ピンク色
【エレガントStyle】 |
ガーネット(9108)の高級感ある赤い屋根色に、クールホワイト(9010)の白がコントラストを与えます。ピーチ(9007)を加えることでモダンな中にもフェミニンな優しさを感じさせます。 | |
深緑色
【モダンStyle】 |
スレートグリーン(9102)の黒に近い屋根色をほんのりやさしい裏葉色(8111)と組み合わせて落ち着いた中にも、穏やかさを感じさせます、アクセントには、ローズグレイ(9011)で上品さをプラスします。 | |
クリーム色
【フォーマルStyle】 |
消炭色(8079)は、重厚さを与える色。薄丁字(8084)でやわらかさを与えながら、アクセントカラーに栗色(8076)の伝統的で優雅な色を少しだけ加え、個性を出しています。 |
もっと詳しく外壁の色選びついて知りたい方はコチラの2記事がおすすめ
4.家の外壁のメンテナンス方法と費用
新築で家を建てても外壁材には必ずメンテンナスを行う機会が訪れます。そこで多くの人が気にするのはメンテナンスの費用です。外壁材のメンテナンスは外壁材とメンテナンス方法によっても大きく費用が変わります。メンテナンスの費用と併せて時期も知っておくことで外壁選びの参考にしてください。
4-1.メンテナンス方法は主に塗り替え・重ね張り・張り替えの3種類
外壁塗装のメンテナンスは主に塗り替え、重ね張り、張り替えの3種類があります。
塗り替え
塗膜の劣化でサイディング自体が傷んでしまう前に、表面の汚れを高圧洗浄で落とし、上から新しく塗装するのが塗り替え工事です。
重ね張り
外壁が劣化によって問題が発生しているときに、ヒビ割れなどの問題のある箇所をシーリング材を使って修繕を行い、さらにその上から塗装した上に、新しい外壁を重ねる施工方法が重ね張りです。
張り替え
過去に数回の塗装を施した既存の外壁材を取り払って、骨組みだけの状態にします。そこに新たに下地と外壁材を取り付ける施工方法が張り替えです。
■メンテンナス方法① 塗り替え
最もお勧めである方法が、コストが安く済む「塗り替え」です。重ね張り、張り替えと比べて約半分のコストにおさえることができます。しかし劣化の程度が進んでいると塗り替えでは対応できず、重ね張り・張り替えが必要な場合があります。新築後10年を目安に、劣化のサイン※を見つけたら早めに塗り替えを検討しましょう。
※劣化のサインとは・・・主に「外壁の色あせ」、「コケ・藻の発生」、「チョーキングの発生」、「クラックの発生」、「塗膜の剥がれ」、「シーリング部分の劣化」などの現象です。
外壁のメンテナンスをする際におすすめの塗料を紹介します。
<ウレタン塗料>
1液ファインウレタンU100(日本ペイント) | セラMレタン(関西ペイント) |
<シリコン塗料>
シリコンフレックスⅡ (アステックペイントジャパン) |
<フッ素塗料>
ファイン4Fベスト (日本ペイント) |
<無機塗料>
アプラウドシェラスターNEO (日本ペイント) |
無機ハイブリットコートJY (アステックペイントジャパン) |
<塗装工事の相場価格>
坪数 | アクリル塗料 | ウレタン塗料 | シリコン塗料 | フッ素塗料 | 無機塗料 | 光触媒塗料 |
---|---|---|---|---|---|---|
20坪 | 30~60万円 | 40~70万円 | 50~80万円 | 60~100万円 | 70~120万円 | 80~130万円 |
30坪 | 40~70万円 | 50~80万円 | 60~90万円 | 70~110万円 | 80~130万円 | 90~140万円 |
40坪 | 50~80万円 | 60~90万円 | 70~100万円 | 80~120万円 | 90~140万円 | 100~150万円 |
50坪 | 60~90万円 | 70~100万円 | 80~110万円 | 90~130万円 | 100~150万円 | 110~160万円 |
60坪 | 70~100万円 | 80~110万円 | 90~120万円 | 100~140万円 | 110~160万円 | 120~170万円 |
※価格は地域や業者・下地の補修の可否などによって変動いたします。
※価格は塗装面積によって変わります。
※屋根塗装は含んでいません。
■メンテンナス方法② 重ね張り
外壁にヒビが入っているような状態で、「耐久性に少し不安がある」とプロが診断した際に、重ね張りを行います。
耐久性の弱くなった外壁のヒビや問題のある箇所を、ヒビの入り具合に合わせて、微細なセメントの粉をヒビ割れに塗布し、適量の水分を加えて行く方法や、シーリング材をヒビ割れの面に塗るといった補修を行います。その上からしっかり防水塗装を施し、新しい外壁を上から重ねます。
壁が二重になり、耐久性の向上は勿論、防音性の向上にも繋がります。また、重ね張りで壁のデザインも変更ができるので、近年少しづつ人気が上がって来ているメンテンス方法でもあります。
<葺き替え工事の相場>(延床面積120㎡)
■サイディングの葺き替え工事の費用相場 150万円~※業者や劣化状況によって費用は変動いたします。 |
■メンテンナス方法③ 張り替え
塗装によるメンテナンスも月日が経つと劣化が進行します。長い期間をかけてサイディングが傷むと、シーリング打ち替え、塗り替えでは外装自体の劣化の進行を抑えられなくなり、張り替えが必要となります。張り替え工事では、古いサイディングを撤去し、新しいサイディングを施工します。
サイディング自体の寿命からすると30~40年周期で張り替えを行えば良いことになりますが、シーリング打ち替えや塗装の塗替えによるメンテナンスを怠っていれば、その分サイディング自体の劣化は早く進行します。この場合、早期に張り替えが必要になる場合があります。
<張り替え工事の相場>費用の目安(延床面積120㎡)
■サイディングの張り替え工事の費用相場 200万円~※業者や劣化状況によって費用は変動いたします。 |
細かなメンテナンス方法や費用を知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
4-2.【補足情報】屋根のメンテンナスは外壁と同時にしたほうがお得
「お得に塗装をしたい」と考えるなら、外壁と屋根をいっしょに塗装してしまうのがオススメです。外壁塗装をする際にも屋根塗装をする際にもいずれも足場が必要で、足場の費用がかかります。屋根塗装と外壁塗装を一緒に実施すれば、一つの足場で、屋根も外壁も塗装できるので足場の費用が2重にかからずお得なのです。
まとめ
外壁選びの際に失敗しないための判断材料をご紹介してきましたが、やっぱり外壁材は迷うことがとにかく多いですね。外壁材と色次第で家の外観、費用は大きく変わります。「外観のデザイン」、「外壁材の特徴」、「外壁材の費用」「メンテナンス性」この4点を基準に選んでいくことで外壁の選択の失敗を防ぐことができるはずです。
この記事を参考に「自分で選んだ外壁を長い間満足して使うことができる」そんなお家にしていただければ幸いです。