雨樋の劣化に気付いて、修理を検討されている方もいるのではないでしょうか。
雨樋の修理は、その雨樋の劣化症状によって修理方法も変わってきます。
まずはどのような劣化が生じているのか把握して適切な修理を行うことが大切です。
では、どのように修理すればよいのでしょうか。
自身で修理が可能なのか、業者に依頼すべきなのか、自分で修理する場合はどうすれば良いのか。
この記事では雨樋の修理を検討されている方に少しでも参考になればと思います。
1.雨樋の修理方法は部分補修・部分交換・全交換
雨樋を修理する方法は「部分補修」、「部分交換」、「全交換」の3通りです。劣化症状がひどく、全体的に破損している場合は交換をする必要があります。部分的に金具が外れていたり、小さく割れている場合はその部分のみを交換したり、補修することで対応ができます。それではどのような劣化の時に、どの修理方法を選ぶべきなのかを説明していきます。
1-1.部分補修が必要な劣化症状
【樋の接続部(継手)が緩んでいる、もしくは外れている場合】
樋の接続部が緩んでしまっている場合、そこから水が漏れてしまう可能性があるため、一度外して接着剤を塗り、再びはめ直すと良いです。接着剤は雨樋用のものも販売されていますので、そちらをご活用された方がより効果的です。
【樋に小さなひび割れや穴が見られる場合】
小さなひび割れや穴が空いてしまっている場合、アルミ製の雨樋補修用テープがありますので、周辺の汚れを落としてから、ひび割れ部分、穴の部分を覆うようにテープを撒きます。
1-2.部分交換が必要な劣化症状
【一部、破損・欠落している場合】
雨樋が部分的に破損(割れている)していたり、欠落している場合は、その部分を交換して修理する必要があります。大きなホームセンター等には必要な材料等は一式取り揃えてあるかとは思いますが、自身が探すサイズや色が無かったりする場合もあるので、綺麗に揃えたい方には業者さんへ相談することをお勧めします。
【一部、雨樋が傾いている場合】
特に雪が降る地域では多く見られる劣化ですが、一度、外側に傾いてしまった雨樋は元に戻してもちょっとした風や雪で、またすぐに傾いてしまいます。傾いている箇所が1箇所程度であれば、その部分のみを交換することで対応が出来ます。
【雨樋を支えている金具が曲がっている、もしくは破損している場合】
樋を支えている金具も同様に大雨や雪等で、曲がってしまったり、錆びて破損してしまうこともあります。その場合も既存の金具は取り外し、新しい金具を取り付けることをお勧めします。
1-3.全交換が必要な劣化症状
【破損箇所、劣化箇所が複数箇所ある場合】
上記で説明したような劣化箇所が複数箇所ある場合は、全交換をお勧めします。部分交換はまだ良いですが、部分補修に関しては、あくまでも一時的なものです。補修をしたからといって、その箇所がずっと大丈夫ということはありません。その家にこれから3~5年も住むことは無いのであれば、問題ありませんが、皆さんのライフプランによって、まだ長らくその家にお住まいであれば、早めに業者さんへ相談し、全交換を検討されることをお勧めします。
【20年以上経っており、劣化が見られる場合】
雨樋は外面に配置されていますので、雨や風、紫外線や雪の影響をもちろん直接的に受けます。素材にもよりますが、基本的に雨樋の耐用年数は15~20年程度です。部分補修や部分交換を検討される場合、雨樋が経年劣化し、状態が悪いと最悪の場合、補修中に更に割れてしまったり、破損してしまったりする恐れがあります。そのため、年数が20年以上経っているものに関しては、全交換をお勧めします。
2.雨樋の修理は業者へ依頼した方が良い
2-1.樋の修理は危険な作業が多い
近年では住宅のリフォーム等、様々なところで「DIY(Do It Yourself)」が流行っていますが、雨樋の修理をDIYでやることはお勧めしません。不可能ではありませんが、高所作業になり、基本的には足場が必要になります。一番は「安全に」修理、交換ができるかということが重要になります。また、樋の傾斜の付け方や外れた部分の設置等は繊細な作業になります。危険な作業の割にDIYで対応してもなかなか上手くできなかったり、またすぐに破損してしまう可能性の方が限りなく高くなります。
そのため、業者へ依頼して的確に修理、交換してもらうことが一番、安心です。
2-2.雨樋の修理は「瓦屋」「板金屋」へ依頼すべき
雨樋の修理、交換は「瓦屋」、「板金屋」へ依頼すると良いでしょう。雨樋の修理ができる業者としては、「工務店」や「リフォーム店」、「塗装屋」や「防水業者」も対応可能は可能です。瓦屋や板金屋へ依頼した方が良いというのは、他の業者と比べると、専門性も高く、失敗が少ないという部分です。屋根に関する工事を専門で扱っているため、雨樋に関する工事も対応出来ます。
2-3.業者選びの3つのポイント
2-3-1.見積りを出す前にきちんと診断をしてくれる
業況も確認せずに見積りを出してくる業者は要注意です。雨樋の状況によって修理内容はもちろん変わります。それらを確認せずには詳細な工事内容、金額を出すことは出来ません。地域によっては「雨樋専門業者」もありますので、インターネット等で調べてみると良いかもしれません。
2-3-2.「足場無しでも大丈夫」という業者には要注意
雨樋の修理をする場合、1階建ての住宅だったとしても雨樋を支える金具の取り付けが屋根の上からは難しいため、足場が必要不可欠となります。梯子等を使って作業する業者もありますが、安全面から考えると、きちんと足場を設置して工事をする業者を選ぶと良いでしょう。
2-3-3.見積りを詳細に出してくれる業者
提出された見積りに詳細な項目、費用が表記されているかを確認しましょう。「工事 一式」という表記ですと「何にいくら金額がかかっているのか」が分かりません。その場合は、業者へ詳細な見積りを出してもらえないか、確認しましょう。
2-4.修理の費用相場
業者へ依頼した場合の修理、交換の費用相場です。こちらはあくまでも相場ですので、詳細に知りたい場合は専門業者へ見積もり依頼されることをお勧めします。
費用 | |
---|---|
綱手が外れている場合 | 5,000~20,000円/箇所 |
部分破損、部分補修の場合 | 10,000~30,000円/箇所 |
傾斜不良、金具が曲がっている場合 | 10,000~30,000円/箇所 |
ゴミ詰まりの除去の場合 | 5,000~20,000円/箇所 |
全交換の場合 | 150,000~500,000円/箇所 |
※費用はあくまでも相場です。劣化状況によって変動します。
2-5.火災保険が活用できれば、実質0円で雨樋の修理ができるかも!
雨樋の修理が必要になった理由によっては、実質0円で雨樋を修理ができる可能性があります。それは「火災保険」の風災・雪災・雹災の適用です。
これらの補償が認められれば、負担金が0円で済む可能性があります。
2-5-1.業者で修理を検討される方は業者へ一度、相談してみましょう。
火災保険を使える条件は「天災」による被害で修理が必要になったと判断されることです。「経年劣化」では保険を使うことは出来ません。
例えば、台風や落雷、大雨や突風等によって雨樋が破損した、金具が外れてしまったというような時には保険の対象になるケースも多いです。しかしながら、確認・判断をするのは保険会社です。
保険会社へ直接問い合わせしてしまうと「保険申請を行った」ことにされてしまい、一度、否決されてしまうと、再申請を受け付けてもらうことができなくなるので、気をつけましょう。
より確実に火災保険を利用して、雨樋の修理を行いたい方は、雨樋修理専門店か屋根修理専門店にまずは相談されるとをお勧めします。
3.DIYで対応可能な雨樋の修理方法
3-1.DIYで修理が可能かどうか見極める
樋の修理は基本的には高所作業となり、十分に安全を確保した上で作業しなくてはならないものになります。そのため、小さな割れの補修や一部金具の緩み等の症状の軽い劣化であれば、DIYでも修理ができます。
しかし、修理箇所が複数あったり、修理ではなく交換をする場合は、DIYでは十分な安全が確保できないため、業者へ依頼されることをオススメいたします。
樋の修理は、高さにもよりますが、基本的には足場が必要な工事になります。足場を組む場合には「足場の組立て等作業主任者」という資格が必要になり、業者へ依頼せざるを得ません。複数箇所の修理、樋の交換の場合、梯子で作業することは非常に危険で困難になりますので、業者へ依頼しましょう。
3-2.修理に必要な道具を揃える
では、梯子で対応できる雨樋の修理を実施する場合に必要なものをお教えします。
【電動ドライバー】
【パイプカット用ノコギリ】
【雨樋用接着剤】
【雨樋用補修テープ】
【コーキング】【脚立・梯子】【雨樋】【金具】【軒継ぎ手】【ビス】【バール(釘抜き)】
上記の工具や部材を準備できれば、ある程度の修理は可能です。ホームセンターやインターネットで調べれば、基本的には購入することは出来るかと思います。上記画像クリックでamazonへも行けます。
3-3.雨樋修理の流れ(一部割れや破損している場合)
3-3-1.梯子を設置する
補修したい箇所に重なるように梯子をかけます。雨樋の修理作業は基本的に両手が使える状況を確保して下さい。作業的にも両手を使わないと出来ない作業であり、更には安全性についても必ず両手が使える状態を確保されて下さい。
また、雨樋に梯子を直掛けすると劣化具合によっては割れてしまう可能性もありますので、その場合は、梯子の先端につけるアタッチメントもありますので、そちらをつけると樋には当たらずに、屋根にアタッチメントを当てることになるので、樋を割ってしまう心配もありません。
3-3-2.修理箇所の雨樋と金具を外す
修理したい箇所の両サイドにある金具の留め具(ツメ)を外側へ向け、雨樋の修理したい箇所から5~10cmをノコギリでカットして外します。
金具まで劣化し、差し替えたい場合は、バールで既存の金具を抜き、金具が刺さっていた穴にはコーキングを打って穴を塞ぎ、その穴からどちらか左右に2cm程、ずらして高さは変えずに新しい金具を取り付けます。
3-3-3.新しい雨樋の長さを調整
修理したい箇所の雨樋を取り外したら、新しく取り付ける雨樋の長さを調整します。その場合は実際に新しい雨樋を当ててみて、長さを図ります。設置時は軒継ぎ手と雨樋用の接着剤を使います。
3-3-4.新しい雨樋を設置
設置時は軒継ぎ手に雨樋用の接着剤を塗り、樋同士の継ぎ目部分に設置します。接着剤は量があまりはみ出さないように適量を塗ります。
また、雨樋には雨水を流すための「傾斜」があります。この傾斜を間違えてしまうと、せっかく修理しても、雨水が上手く流れなかったり、更に雨樋の破損へとつながる可能性もあるため、きちんと傾斜を合わせる必要があります。
この傾斜を合わせる作業が、素人にはなかなか難しいため、DIYでやっても上手くいかなかったということが多く起こるのです。
4.雨樋について知っておきたい基本情報
4-1.雨樋は住宅を守っている!
雨樋は何のために設置されているか、皆さんご存知ですか?
雨樋の役割は「住宅の耐久性を高める」ことです。
屋根に降った雨水は地面に落ち、溝を作ったり、水たまりを作ったりして、それが建物の基礎や縁の下を濡らすことで劣化させます。最近の住宅では、軒の出が少ない住宅も多く、そのような住宅では跳ね返り水が外壁を濡らすことにもなり、最終的には建材を腐らせてしまうことにもなるのです。
住宅が劣化する最大の要因は「水の浸入」です。
そのため雨樋は降ってきた雨水を隅に集め、地面の排水口へと排水することで住宅を守っているのです。
4-2.雨樋の価格帯
ここではそれぞれの種類ごとの価格帯についてご紹介します。
こちらの価格は新品の雨樋の金額です。雨樋を交換される際に新品の雨樋を準備される時の参考にしていただければと思います。
半円型 | 角型 | |
---|---|---|
塩化ビニール製 | 1,000~1,800円/本 | 2,000~2,800円/本 |
合成樹脂製 | 1,800~2,500円/本 | 2,800~3,500円/本 |
ガルバリウム製 | 4,500~6,000円/本 | 5,500~7,000円/本 |
銅製 | 9,000~11,000円/本 | 11,000~13,000円/本 |
※1本は3.64メートルです。
雨樋と言っても、実は様々な種類があり、それによって費用も異なります。
基本的には耐久性の違いが価格の差になっていることがほとんどです。
4-3.雨樋の種類(形状)
次に雨樋の種類についてご紹介します。種類には形状と素材の2つの種類がありますので、それぞれ紹介していきます。
修理、交換される際には、まずご自宅の雨樋がどの形状、種類に当てはまるかを確認した上で、部材を準備すると良いでしょう。
4-3-1.半円型(形状)
典型的な雨樋の形状で、築20年以上の住宅の雨樋はほとんどがこの半円型の雨樋です。形状が単純なため比較的に低価格なものが多いです。
4-3-2.角型(形状)
角型は半円型に比べて断面積が大きいため流水量が多く確保でき、最近の住宅では、この角型が増えてきました。特に降水量が多い地域にお住いの方にはオススメの型です。また、ゲリラ豪雨等に備えて、片方がせり上がった角型の雨樋もあります。
4-3-3.特殊型(形状)
画像出典:http://www.roof-systems.co.jp/business/amadoi.html
特に東北や北海道のような雪が多い地域で見られる雨樋です。可能な限り積雪によるダメージを軽減するようなものや、雪掻きの際に雨樋を傷めないような形にしたものもあります。特殊な型のため、費用は前の2つよりも高いですが、豪雪被害が多い地域の方は、雪の度に壊れていては修理費用も多くかかってしまうため、検討してみると良いです。
まとめ
雨樋は住宅を長持ちさせるためには重要な部位ですので、修理は絶対に必要です。まずは複数の業者へ診てもらうことをオススメします。修理は基本的には交換をオススメします。
屋根や外壁塗装と合わせて行ったり、火災保険を上手く使うことで費用を抑えることができますので、ぜひ検討してみて下さい。