「リフォーム業者から金属サイディングを勧められたけど、実際にどんなものなのかわからない」「金属サイディングの他に窯業系サイディングがあって、どちらがいいのかわからない」このような悩みを抱えていませんか?
金属サイディングは非常に軽く、安価な素材のため、既存の外壁の上に新しい外壁材を施工する「重ね張り」というリフォームによく使用されています。外壁のリフォームをするなら一度は勧められる素材です。一方、窯業系サイディングは日本の外壁で最も使用されている外壁材で、既存の外壁や周りの住宅が窯業系サイディングだから、そのままのほうがいいのだろうか?と悩む方も多くいらっしゃいます。
後悔のないリフォームをするためには、サイディングの持つメリットとデメリット両方を知り、メリットがデメリットに勝る方法を選ぶことがポイントです。
そこで、この記事では金属サイディングのメリットとデメリット、窯業系サイディングとの違いまで金属サイディングに関するあらゆる情報をご紹介いたします。
金属サイディングにしようか、窯業系サイディングにしようかお迷いの方は、ぜひこの記事の内容とこんなデザインにしたい、こんな機能がほしいといったご要望を照らしあわせてじっくり検討してみてください!
1.金属サイディングとは
金属サイディングとは、表面に鉄やアルミニウムなどの金属板材を使用し、裏面に断熱材を入れたサイディングのことです。
軽量で耐震性が高く、他のサイディングと比較するとローコストであるという特徴から、リフォームに多く採用されています。さらに、金属の質感を活かしたモダンなデザインに惹かれる方も多いです。
施工価格は一般的な大きさの戸建てで180~250万円です。金属サイディングの主な金属の種類によって価格が大きく変わってきます。
アルミニウム、亜鉛、シリコン(ケイ素)から成るガルバリウム鋼板が、安価でさびにくく、耐候性が高いと、昨今注目を集めています。
サイディング全般についてより詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。
2.金属サイディングのメリット
金属サイディングのメリットについてご説明いたします。
2-1.軽量で重ね張りリフォームに最適
既存の外壁材の上に新しい外壁材を張る「重ね張りリフォーム」は撤去費用などが不要なため、価格を安く抑えることができますが、外壁材を二重に張ることになり、建物が重くなる(建物自体に負担がかかる)というデメリットがあります。しかし、軽量な金属サイディングを採用することでそのデメリットをカバーできるのです。
さらに、金属サイディングそのものが他のサイディングよりも安価であるため、よりお得にリフォームを行なうことができます。
重ね張りリフォームについて詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。
2-2.地震の揺れやひび割れに強い
軽さが特徴の金属サイディングを外壁に使うと、地震の揺れやそれに伴う変形に柔軟に対応できるため、ひび割れが発生しにくいというメリットもあります。耐震性を重視している方におすすめです。
2-3.防水性が高く凍害に強い
一般的に水が建物内部に浸入してしまうと雨漏りの原因に繋がってしまいますが、金属サイディングは表面が金属のため、水をはじき、外壁材が水を吸収することを防いでくれます。
さらに、水を吸収しにくいということは、凍害※も防ぐことができますので寒冷地にお住まいの方におすすめです。
※水を吸収した外壁材が寒さによる凍結と太陽光による融解を繰り返し劣化が進む現象のことを「凍害」と言います。
2-4.優れた断熱性
金属サイディングには断熱材が入っているため、外の気温の影響を受けにくく、一方で中の気温を保ち続けることができます。つまり、夏は涼しく冬はあたたかいため冷暖房の節減など省エネにつなげることができます。
2-5.防音性に優れている
断熱材が充填されていることは、断熱性だけではなく音を吸収してくれるという効果もあります。ですので、外からの騒音や中の生活音の漏れを軽減できます。
2-6.モダンな雰囲気を演出できる
金属ならではの質感とメタルカラーでシャープでモダンな雰囲気を演出できます。
直線を生かしたシンプルなデザインが多く見られます。厚みのある金属サイディングを選ぶと、凹凸がはっきり出るためデザイン性がぐっとあがります。
金属サイディングの代表的なデザインを下記にまとめてみましたのでぜひ参考にされてみてください。
【金属サイディングデザイン一覧】
ライン調
(ストライプ) |
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スパン調 | ||
石積み調 | 画像参考:https://www.asahitostem.co.jp/coordination/detail.php?c=683 |
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木目調 | 画像参考:https://www.asahitostem.co.jp/coordination/detail.php?c=691 |
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レンガ調 |
3.金属サイディングのデメリット
続いては金属サイディングのデメリットをご紹介いたします。
こんなお家にしたいという要望と2章のメリットと照らし合わせながら、メリットを取るかデメリットを考慮するか、検討してみることがポイントです。
3-1.衝撃に弱い、キズがつきやすい
金属サイディングは、物があたって凹んでしまったり、大きな温度変化が起こると変形してしまったりすることがあります。さらに金属特有の欠点として、鋭いもので強くこすると傷がつきやすいという面があります。
たとえば、小さなお子さんがよく家の近くでボール遊びをしている、駐車場がすぐそばにあって車がかすってしまう可能性があるなど、そういった不安がある場合は避けた方が無難でしょう。
3-2.サビが発生しやすい
金属サイディングはメンテナンスがいらないと言われることもありますが、手入れの必要がないものはありません。定期的な洗浄や塗料の塗り替えが必要になり、そのままにしているとサビが発生してしまいます。特に海辺の近くでは塩害※の被害を受けやすくサビが発生する可能性が高いため避けた方がいいでしょう。
※塩分を大量に含む風などによって引き起こされる災害。海岸沿いでよく見られる。
3-3.酸性雨に弱い
金属は酸性雨などの酸に弱いです。放置しておくと腐食がはじまり、最終的には穴があいてしまうため、雨が降った後に水できれいに洗い流す必要があります。最近では酸性雨に強いタイプの金属サイディングも販売されています。
4.金属サイディングと窯業系サイディングで迷ったら
窯業系サイディングが最も多く使用されていますが、その次に多く使われているのが金属サイディングです。
4-1.モダンな金属サイディングとあたたかみのある窯業系サイディング
シンプルで直線的なデザインが映えるのが金属サイディング、タイルやレンガ調など凹凸を豊かに表現できるのは窯業系サイディングです。そのためモダンでかっこいい雰囲気にしたい場合は金属サイディング、温かみのある柔らかい雰囲気にしたい場合は窯業系サイディングがおすすめです。
好みの問題もあるかと思いますが、デザインの豊富さで言うと窯業系サイディングの方が多いです。色や質感の表現が多彩だからです。もちろん、レンガやタイル調など金属サイディングにも様々なデザインがありますが、金属の質感を活かしたシャープなデザインのほうが映えます。窯業系サイディングも金属サイディングも、基本的に厚みのある方がデザイン性が上がります。
金属系サイディング | 窯業系サイディング |
---|---|
画像参照:https://www.asahitostem.co.jp/ coordination/coordination.php |
|
4-2.費用をできる限り、抑えたいなら金属サイディング
金属サイディング(1㎡あたり) | 窯業系サイディング(1㎡あたり) | |
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14ミリ | 15ミリ | – |
2,000~7,000円 | 5,000~8,000円 | 4,500~8,000円 |
金属サイディングは厚みや塗装レベル(機能性)によって価格が変化します。厚みは14ミリと15ミリ以上に分けられ、14ミリの方が安価です。15ミリ以上の金属サイディングの方が耐震性やデザイン性が高くなりますが、安価な窯業系サイディングと同じくらいの価格になることもあります。
4-3.リフォーム方法で決める~重ね張りリフォームを考えているなら金属サイディング
既存の外壁材の上から新しい外壁材をかぶせる(上記画像参考)、重ね張りリフォームなら金属サイディングの方が最適です。
質感やデザインをがらりと変えることができ、張り替えるより費用が安いというメリットから採用する人が増えていますが、外壁材を二重に張ることになるため建物が重たくなってしまうというデメリットがあります。
しかし、窯業系サイディングの4分の1の重さ※である金属サイディングを使用すれば、その分建物への負担を軽減させることができます。
重ね張りリフォームの他に、既存の外壁材を剥がし、下地から新しい外壁にする「張り替えリフォーム」があります。そちらのリフォームではどんな外壁にもできるため、デザイン性や費用などの違いから金属サイディングにするか窯業系サイディングにするか決めるのもいいでしょう。しかし、耐震性を高めたい場合は軽量で建物への負担が少ない金属サイディングがおすすめです。
※窯業系サイディングはセメント(コンクリート)を多く含むため比較的重たい。
4-4.メンテナンス性で決める
どちらも塗装が施されており、さらにシーリングが使用されているため5~10年おきくらいに打ち直しや塗替えなどのメンテナンスが必要になります。
しかし、光触媒※1もしくは親水コート※2で加工されたセルフクリーニング性能を持つサイディングを選んでおくと降雨などで汚れを洗い流してくれるため日頃のメンテナンスを軽減させることができます。
そのような機能性のついたサイディングはどうしても費用が高くなるため、日頃のメンテナンスの手間と費用を考えた場合、価格帯の安い金属サイディングの方が有利ともいえます。
※1 外壁の汚れを太陽光で分解し、付着力を弱くすることで雨水によって汚れが洗い流されるようになります。
※2 水になじみやすいため付着した汚れの内側に雨水を入り込ませることができ、降雨によって汚れが洗い流されるようになります。
5.まとめ
いかがだったでしょうか。
サイディングは他の外壁材と比較してデザインや機能性など種類が豊富にあり、迷う場面も多くなります。
どのようなお家にしたいか、何を重視するか(費用なのかデザインなのか等)をあらかじめ明確にしておくとスムーズです。
最後に金属サイディングの特徴をまとめておきましたのでぜひ復習してみてください。
- 金属サイディングは軽量であるため、耐震性に優れている
- 重ね張りリフォームをするなら金属サイディングが価格面、耐震面からみて最適
- 凍害で困っている人には金属サイディングがおすすめ
- 海岸沿いのお家には塩害によるサビが懸念されるため不向き
- モダンな雰囲気にしたいなら金属サイディング、金属の質感を生かした直線的なデザインが◎
- 日頃メンテナンスを軽減させたい、費用を安く抑えたい場合はセルフクリーニング機能のついた金属サイディングがおすすめ