物干し場としての機能や、人によっては第2のリビングルームとして、住まいにとって必要不可欠な存在であるベランダ。ベランダはデザイン性はもちろんのこと、機能性や耐久性、使いやすさも考慮すべき点です。また一言にベランダのリフォームと言っても、その種類は様々なため、どのような種類があるのか、どのくらい費用がかかるか、理解する必要があります。
そこで今回の記事では、ベランダのリフォームを行うにあたって押さえておくべきポイントをご紹介します。
目次
1.ベランダリフォームの必要性
1-1. なぜベランダはリフォームする必要があるの?
ベランダをリフォームする理由は大きく分けて2つあります。
●定期的なメンテナンスが必要なため
ベランダは建物の外に面している箇所です。つまり、雨や紫外線による影響を非常に受けやすい部位であり、その分劣化しやすい箇所である、ともいえます。
鉄の柵などを付けている場合は、さびが発生しやすく、劣化しやすいですし、ウッドデッキなどの場合は、木で作られているため、もちろん腐食などが現れてきます。そうなると、美観を損ねるだけではなく基材が壊れやすくなり、危険な状態になってしまいます。
だからこそ、ベランダは定期的にリフォームや手入れをする必要があるのです。
●機能性や住みやすさを向上させるため
ベランダを増改築することで、洗濯ものを干せる量が多くなったり、外側を曇りガラスにする、手すりを付ける、などちょっとしたリフォームでも機能性は大きく向上するものです。そのちょっとした機能性を向上させることにによって、より住みやすい環境を作っていくためにもベランダのリフォームは必要になります。
以上の2つの理由により、ベランダのリフォームは必要になってきます。
ベランダにおいて、以下のような場合は、リフォームを検討してみてください。
●ベランダ床や、壁に剥がれ・割れが出てきた。(メンテナンスの必要)
●スチール製のベランダに、錆が出てきた。(メンテナンスの必要)
●現在のベランダでは、サイズが小さいため、洗濯ものが全て干せないため広くしたい。(機能性を向上させる)
●洗濯の時に天気に左右されないサンルームが欲しい。(機能性の向上)
機能性の向上に関してはあくまで一例です。ベランダを「もっとこうしたい」「こんな風に使いやすくしたい」と考えて、居心地の良いベランダにしてください。
1-2. ベランダをリフォームするときは「理由」と「目的」を明確に
ベランダリフォームにおいて、最も大切なことは、リフォームを行なう理由と目的を最初に明確にすることです。
例えば、「(理由)床や壁に剥がれが見られ、美観を損ね、雨漏りの危険性があるから、(目的)防水性を高めるために塗膜防水工事をする」といった内容や「(理由)家族が増えたことに伴い洗濯ものの量が増え、現状のベランダでは足りないから、(目的)洗濯ものが多く干せるスペースを確保するためにベランダの増築をする」など、あるかと思います。今、何に困っているのか、どうしたいのかを明確にし、施工業者の方に一度ご相談してみてください。
2.ベランダリフォームの事例と相場について
それでは、具体的にベランダのリフォームとは、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、主なベランダリフォームの種類をご紹介します。
2-1. 【メンテナンス】防水材で防水効果を高める
ベランダの塗装に剥がれやヒビがある場合、防水効果を高めるための補修を行なう必要があります。防水補修を怠ると、雨漏れが起きる危険性があるため、防水補修を行なう必要があります。
この防水の補修工法としてよく挙げられるのは、FRP防水、ウレタン防水塗装の2種類があります。
●FRP工法
FRP工法は、防水用ポリエステル樹脂と防水用ガラスマットで作られた防水層を作ることでベランダの床面に水を浸入させないようにする工法のこと。施工手順としては、繊維強化プラスチックで作られたシートを貼付け、その後、グレー系の塗料を塗布して仕上げる工法となります。他の防水工法と比較すると、硬度が高く、防水性と耐久性に優れているのが特徴です。費用的には、他の工法に比べ少々高くなります。
FRP工法の費用相場:10万円~20万円 |
出典:http://www.mitsui-sanshi.co.jp/product/p4-2.html
●FRP工法はこんな方にオススメ
「ベランダの床や外壁に剥がれが出ているため、防水性を高めたい。しかも、ベランダをよく使用するから、割れに強いもので補修したい」という方にオススメのリフォームです。
●ウレタン防水工法
ウレタン防水塗装工法は、ウレタン樹脂系の防水塗料を塗布する工法です。ウレタン塗料は柔軟性のある塗料のため、ひび割れなどに強く、防水効果を長期間維持します。また、塗料を塗ることで仕上げる工法のため、複雑な形をした場所でも継ぎ目のない施工を行なうことができます。
ウレタン防水の費用相場:7.5万円~20万円 |
出典:http://www.planning-ohana.com/sekou/10307/
●防水材による防水工法はこんな人にオススメ!
「ベランダの床や外壁に剥がれや割れが出てきているため、ベランダの防水性を高めたい。かつ安価でリフォームしたい」という方にオススメのリフォームです。
2-2. 【メンテナンス】スチール製ベランダの塗り替えリフォーム
手すりやサッシなどにスチール(鉄)が使用されている場合、サビが発生し、ベランダが崩落してしまう可能性があるため、リフォームが必要となります。リフォームの種類は大きく分けて2つあります。
まずは、塗装リフォーム。錆止め系の塗料を既存のベランダに塗布する塗り替えリフォームです。塗装リフォームの場合、施工自体の費用は安価でできますが、経年とともに再びさびや剥がれが起きることがあり、そのたびにメンテナンスが必要になります。そのため、トータルで見たときの費用がかさんでしまう、というメリットがあります。
スチールの塗り替えリフォームの費用相場:8万円~15万円 |
出典:https://www.ienakama.com/tips/page/?tid=903
●スチールの塗り替えリフォームはこんな人にオススメ!
「錆が出てきたから、きれいなサッシにしたい」「でも安くでリフォームしたい」という方にオススメのリフォームです。
2-3. 【メンテナンス】スチール製ベランダの取り替えリフォーム
2つ目はベランダ自体の取り替えリフォームです。スチール製のベランダの場合、劣化するたびに塗装などのメンテナスが必要になることから、費用がかさんでしまいます。しかし、取り替えリフォームの場合はメンテナンスが楽なアルミ製のものを使用すると、耐久性があるため、長持ちします。そのため、スチールと比較すると錆止め塗料の塗り替えの必要性がなく、長期的にみて、メンテナンスコストを抑えることができます。
スチール製ベランダの取り替えリフォームの費用相場:30万円~50万円 |
出典:http://www.lixil.co.jp/lineup/veranda_balcony/viewstage_s/variation/panel_design/
●スチールの取り替えリフォームはこんな人にオススメ!
「高価でも良いので、長持ちするベランダにしたい」という方にオススメのリフォームです。
2-4. 【機能性の向上】ベランダをサンルームに
サンルームとは屋根や壁などをガラス張りにした部屋です。サンルームの何よりの良さは、天候に左右されずに洗濯物が干せることです。雨や花粉などの影響を受けないため、外出時でもきにせず洗濯ものが干せます。
また中で家庭菜園などもできますし、第2の居間として、太陽光がよく当たる空間を作ることができます。
サンルーム取り付けリフォームの費用相場:40万円~70万円 |
出典:http://www.lixil.co.jp/lineup/gardenspace/sunnyge/
●サンルームの取り付けリフォームはこんな人にオススメ!
「天候を気にせずに洗濯物が干せる空間が欲しい」という方にオススメのリフォームです。
2-5. 【機能性の向上】ベランダを増築する
既存のベランダスペースだけだと、狭く感じるため、もっと大きなベランダにしたい、というお悩みをお持ちの方は多いかと思います。そのような方にオススメなのが、ベランダの増築リフォームです。
ベランダの面積を広くすることで広々とした空間になり、置けるものが増えたり、物干しスペースが増えるなど、快適さが向上します。
ベランダの増築リフォームの費用相場:50万円~100万円 |
●ベランダの増築リフォームはこんな人にオススメ!
「洗濯ものが干せるスペースが限られてきたから、もっと干せるスペースが欲しい」「現在ベランダがない場所に新しくベランダを取り付けたい」という方にオススメのリフォームです。
2-6. 【機能性の向上】屋根の取り付けリフォーム
通常2階以上の高さにあるベランダは、家の構造によって屋根がないことがあります。そのような場合、屋根の取り付けリフォームを行なう必要があります。
この屋根の選定も注意したいところです。まずは雨を防ぐのに十分な大きさがあるかどうか、という点。雨を防ぐために屋根を取りつけたとしても、サイズが合わず雨を防げなかったら意味がありませんので、しっかりとサイズを測った上で、屋根を選ぶ必要があります。またUVカット機能があるか、という、という点も重要です。UVカット機能がある屋根材は、肌の日焼けを防げるだけでなく部屋のカーテンなどの日焼けも防ぐ効果もあります。
屋根の取り付けリフォームの費用相場:20万円~30万円 |
出典:http://www.lixil.co.jp/lineup/gardenspace/poweralpha/case/
●スチールの取り替えリフォームはこんな人にオススメ!
「高価でも良いので、長持ちするベランダにしたい」という方にオススメのリフォームです。
2-7. その他のベランダリフォーム
これまで比較的大規模なベランダリフォームの種類をご紹介しました。この他にも、様々な種類のベランダリフォームがありますので、ご紹介します。
ウッドデッキでおしゃれな雰囲気に
通常、無機質なイメージのあるベランダですが、床に木板を敷き詰めることで、ウッドデッキになり、おしゃれな雰囲気にすることができます。ウッドデッキリフォームを業者に依頼した場合、細かい部分まで採寸し、複雑なベランダであってもぴったりなサイズで作ってもらえます。
自分でウッドデッキを作る場合、採寸などが合わずぴったりなサイズにならない、などの可能性もあります。そのような方向けに簡単にウッドデッキにする事ができるジョイントパットもあります。
出典:http://www.1128.jp/deck_panel
タイルを敷き詰めて品のある仕上がりに
既存のベランダの床にリフォーム用のタイルを敷き詰めると、品があり、落ち着いた雰囲気のベランダにすることができます。このリフォーム用タイルは手軽に設置が可能で、安くて、簡単に雰囲気を変えることができます。
出典:http://yaplog.jp/sunnyhappy/archive/1300
3.ベランダのリフォームを行う上で注意したいポイント
3-1. 風通しの良さや目隠しになるかを考慮する
風通しが悪いと湿気がたまり、部屋の中にまで風が通らない、というような問題が生じます。そして風通しの良さを確保しつつ、中まで見えないように目隠しする必要もあります。そこでオススメなのが、風通しの良い木製のフェンスです。
近所からの視線も自然に遮られ、快適に過ごせます。
出典:http://shop.plaza.rakuten.co.jp/willgarden/diary/detail/201311080000
また、フェードもオススメ。フェードは、風通しの良さは保ちつつ、目隠しにもなります。そして、デザイン性が高く、おしゃれなベランダを演出する事ができるのも魅力の一つです。
出典:http://item.rakuten.co.jp/g-life/9871581/
3-2. 防犯面や安全面も考慮する
万一、家の中に浸入者がいる場合、ベランダがその浸入者の隠れ場所とならないよう、見通しを良くする必要があります。網目が細かすぎるフェンスの場合、隠れやすくなってしまいますので、網目はあまり細かすぎないフェンスを使用するなど、工夫しましょう。そして安全面も重要な要素。特に小さな子供がいる場合、床の滑りやすさなど、あらかじめ業者の方に聞いておくようにしましょう。
3-3. ウッドデッキの場合は材質に注意
第2章でご紹介した通り、ベランダの床にデッキを敷くリフォームはとてもおしゃれな雰囲気を出すことができるリフォームです。しかし、ただ単に木材を設置すれば良いわけではありません。木は腐食しやすい素材であるため、腐食しづらい材質の素材を選ぶ必要があります。
ウッドデッキに使用される木材には人工木と自然木の2種類あります。そのうち自然木は、文字通り、天然の木から作られたもので木独特の風合いを演出することができますが、素材によっては劣化しやすいものもあります。人工木は樹脂で作られているため、腐食しにくく、劣化しにくいのが特徴で、長い期間にわたって、ウッドデッキとして使用する事ができます。しかし、肌触りが硬く、木の風合いを感じることができない、というデメリットもあります。
使用する素材によって、特徴や耐久性も様々ですので、自分が重視するポイントは価格なのか、木の風合いなのか、耐久性なのか、決めてから、業者の方にオススメの木材をお聞きする事をおすすめします。
4.自分でできる!オシャレさを重視する方向けの簡単DIYリフォーム事例
ベランダは生活の一部を補助するための空間として、重要な部位ですだからこそ、見た目がキレイで長持ちするようなリフォームを行なう必要があります。しかし、既存のベランダの中で、キレイにオシャレにリフォームしたい、という方もいらっしゃるかと思います。
そこで、この章ではおしゃれなベランダにしたい方向けに簡単にできるDIYリフォームの事例をご紹介します。
4-1. 和風の落ち着いた雰囲気のベランダに
竹すだれを掛け、小石を全体に配置する事で、簡単に和風のベランダに様変わりします。
【必要素材】
●竹すだれ
●小石
●竹(観葉植物用)
観葉植物として、竹を配置するとより一層、和風のベランダを演出する事ができます。
出典:http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/42/0000756842/60/img43fe9e7dzik1zj.jpeg
また、黒のタイルやウッドデッキを使用してもベランダに和風テイストを出すことができます。
出典先:http://shop.plaza.rakuten.co.jp/willgarden/diary/detail/201207060000
4-2. ヨーロッパ風の落ち着いた雰囲気のベランダに
ウッドデッキや木目調のパネルを敷いたり、骨が細目の椅子、机を置くことでヨーロッパのような自然あふれるベランダになります。
【必要素材】
●ウッドデッキ
●木目調パネル
●テーブル、椅子
出典:http://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/suvaco-production/docs/1194/m6y6jBpWKtXq.jpg
また、格子状の柵を取り付けたのち、その柵に観葉植物をひっかけることで、目隠しにもなります。
出典:http://www.ann.hi-ho.ne.jp/anythingok/_.jpgai4.jpg
このような骨が細目の椅子も、ヨーロッパ風のベランダを演出するのにぴったりです。
出典:http://item.rakuten.co.jp/air-rhizome/fub-93275/
4-3 リゾート気分を味わえるベランダに
ウッドデッキを設置し、ラタンのテーブルや大き目のソファを置くことで、アジアンテイストのベランダにすることができます。日常から離れたようなリゾート気分を味わいたい方にオススメです。
【必要素材】
●ウッドデッキ
●ラタンのテーブル
●ソファ
出典:http://cdn.homedit.com/wp-content/uploads/2014/08/Cumaru-wood-small-balcony-design.jpg
リゾート風のベランダを作るには下のようなラタンのテーブルとチェアが効果的です。
出典:http://www.toukagu.com/hpgen/HPB/entries/151.html
またウッドデッキの代わりに人工芝のマットを敷くことでよりリラックス空間を演出できます。
出典:http://www.kwn.ne.jp/31120/
ご紹介したリフォームに関して必要な材料や素材は、簡単にホームセンターや家具屋にて購入できるものばかりです。取り付けるだけや、設置するだけといった簡単なリフォームで自分好みの空間に変わります。ぜひ実践してみてください。
5.マンションのベランダはリフォームできるの?
「マンションでもリフォームは可能なのか?」気になる方が多いかと思います。マンションの場合、ベランダは占有部分ではないためサッシの交換などリフォームを行なうことはできません。タイルを置いたり、ウッドデッキを設置する、などの簡単なリフォームで現状復帰できる規模のリフォームであれば、可能な場合が多いです。しかし、このようなリフォームであってもマンションの管理規定により禁止しているところもあります。リフォームを検討する前には必ず、管理規定を確認し、リフォームを行なってもよいのか確認するようにしましょう。
まとめ
冒頭でもお伝えした通り、ベランダリフォームにおいて、最も大切なことは、リフォームを行なう理由と目的を最初に明確にすることです。
今、何に困っているのか、どうしたいのかを明確にし、施工業者の方に一度ご相談してみてください。そのリフォームのイメージを具体的にするために、本記事をご参考いただけましたら幸いです。