エアコンの効きが悪くて部屋の中にいても寒い、外の音がうるさくて窓が開けられない、防犯対策に不安がある・・・このような窓に関するお悩みを解決するため、リフォームをお考え中の方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
窓のリフォームには様々な種類があります。例えば、部屋の寒さ改善のためにリフォームを行うにも、方法は1つではありません。
そのため、自分のニーズに合ったリフォームを選択し、適切な工事を行うことがコツとなります。
そこで、この記事ではそれぞれの悩み合った窓のリフォーム方法、選び方などをご紹介します。
窓のお悩みがある方や窓のリフォームを検討している方は、是非参考にしてみてください。
目次
1.窓リフォームの効果と種類を知ろう
どのようなリフォームを行うのが適切かを判断するためには、まずどのようなリフォームの種類があるのかを知らなければなりません。
しかし知ったものの、どのように選んだらよいのか迷ってしまうのではないでしょうか。
そこで、リフォームによって得られる効果とリフォームの種類を下記一覧にまとめました。
効果 | リフォームの種類 |
---|---|
断熱 | 複層ガラス交換 サッシ交換 内窓設置 |
防音 | 防音ガラス交換 内窓設置 |
防犯 | 防犯ガラス交換 内窓設置 シャッター、雨戸設置 面格子設置 |
結露 | 複層ガラス交換 内窓設置 |
その他(サイズ変更、増設など) | - |
上記の表のように、1つのリフォームを行うことで、複数の効果を得られるものもあります。
次の章で、それぞれのリフォームについて詳細を見ていきましょう。
2.窓リフォームの種類や費用相場
2-1.ガラス交換
ガラス交換とは、既存のサッシを使ったままガラスのみを差し替える、というものです。
交換する窓の種類により、断熱、防音、防犯、結露防止の効果があります。
ガラス交換のメリット・デメリットは以下のようになります。
メリット | デメリット |
---|---|
・使い勝手を変えずにリフォームができる
・見た目も変えずにリフォームができる ・今あるサッシをそのまま使える ・施工が容易 ・廃材はガラスだけなので環境に優しい |
・建具が重くなって既存のサッシの戸車を痛める可能性がある
・アタッチメントを付ける場合は、その分ガラス面積が小さくなる |
※アタッチメント・・・窓のサッシ枠に取り付け、シングルガラスよりも厚い複層ガラスを納めるもの
◯「断熱」「結露防止」なら複層ガラス
複層ガラスとは、ガラスとガラスの間に空気の層を作ることによって断熱性を高めたものです。
断熱性が高まることで、結露防止にもなります。
また、基本的な複層ガラスの他に、「特殊金属膜」を間に挟んだLow-E複層ガラス(高断熱および遮熱タイプ)があります。
これらの造りや費用(工事費込み)の違いは以下のようになります。
種類 | 説明 | 図 | 効果 | 費用相場 |
---|---|---|---|---|
複層ガラス | 2枚の板ガラスで空気層をつくり 断熱効果を高めたもの。最も一般的なペアガラス。 |
遮熱 ×
断熱 △ UVカット △ |
22,700~29,600円 | |
Low-E複層ガラス (遮熱タイプ) |
室外側に特殊金属膜が入っている。窓から入ってくる熱を大幅に減らす。 | 遮熱 ◎
断熱 ◎ UVカット ◎ |
28,400~52,400円 | |
Low-E複層ガラス (断熱タイプ) |
室内側に特殊金属膜が入っている。窓から逃げる熱量を大幅に減らす。 | 遮熱 △~〇
断熱 ◎ UVカット 〇~◎ |
28,400~52,400円 |
画像出典:http://www.ykkap.co.jp/search/#!window/glass
◯「防音」なら防音ガラス
名の通り防音を目的としたガラスに交換することで防音対策を行うというものです。
しかし、音は窓のガラス部分のみでなく、サッシの隙間からも多く出入りしてます。
よって、内窓設置の方が防音効果は高くなります。ガラス交換にかかるおおよその費用は、5万~10万前後です。
◯「防犯」なら防犯ガラス
窃盗目的での一戸建て住宅侵入の手口の中で最も多い方法が、ガラス破りで7割程度となっています。
破れない、もしくは破るのに時間がかかる窓は、防犯対策に大いに有効です。
ガラス破りに強いガラスは様々なものがあります。費用はおよそ3万~15万円です。
2-2.サッシ交換
サッシ交換とは、今ついているサッシを取り払い、サッシごと窓を交換する、というものです。日本国内で流通しているサッシの多くがアルミサッシですが、アルミは断熱性が低いため、断熱性の高いサッシに取り替えることで部屋の断熱性を高めることができます。またサッシ交換は外壁を一部切り取る必要があり、大掛かりな工事となります。
最近では、既存のサッシを残し、そこに新しいサッシを取り付ける「カバー工法」もでてきています。こちらは外壁工事は不要です。
サッシ交換、カバー工法によるメリット・デメリット、おおよその費用は以下の通りです。
メリット | デメリット | 費用相場 | |
---|---|---|---|
サッシ交換 | ・サッシとガラスの両方を断熱のものに変えられる
・窓の大きさや形を自由に変えられる |
・外壁や内装にも工事が及ぶため大掛かりな工事となる ・価格が高い |
15〜20万円 |
カバー工法 | ・外壁や内装の工事が不要
・(サッシ交換より)施工コストが下がる ・(サッシ交換より)工期が短縮できる |
・窓枠の開口寸法が狭くなる | 10〜15万円 |
2-3.内窓設置
内窓設置とは、今ある窓の室内側にもう1枚サッシ、窓を設ける、というものです。
既存の窓との間に空気層ができることで、断熱性、防音性がアップします。また、内窓にも複層ガラスとLoe-Eガラスとがあります。
防犯性については、外から見て二重に窓があると分かるだけでも、侵入をためらうきっかけとなります。
二重窓だと気づかれなかったとしても、侵入への時間が長くなることで諦めさせる可能性が高くなります。
内窓設置のメリット・デメリット、おおよその費用は以下の通りです。
メリット | デメリット | 費用相場 |
---|---|---|
・工事が簡単
・サッシ自体をリフォームできない ・サッシのデザインを楽しめる |
・開閉に手間がかかる
・サッシに換気框が付いている場合、新たな換気システムが必要 ・カーテンボックスのある窓には取り付け不可 |
4万8千~8万前後 |
2-4.シャッター、雨戸設置
シャッターの閉まっている家への侵入は、シャッターを開けるもしくは破壊する時間がかかるため、犯人に敬遠される可能性は高くなるでしょう。
しかし、シャッターは「閉じていなければ」防犯の意味を全く持たなくなってしまう、という欠点があります。シャッターや雨戸での防犯対策を行う場合、他の防犯対策とあわせて行うのがよいでしょう。
また、シャッターには「電動タイプ」と「手動タイプ」があります。防犯の面から考えると、電動タイプの方が適しています。おおよその価格は、12万円~25万円です。
2-5.面格子設置
キッチンや浴室、トイレ等の小さな窓の防犯対策はつい怠りがちです。思わぬところからの侵入を防ぐため、防犯対策を行いましょう。面格子設置は、一目で防犯対策を行っていると分かるので抑止効果があります。
画像出典:http://www.kakioka.co.jp/menngousi.html
しかし、せっかく面格子を設置しても、強度の弱いものであればバール等で曲げられ、侵入される可能性があります。
そこで、「CPマーク」のついた商品を選ぶのがよいでしょう。「CPマーク(建物防犯部品)」とは、侵入に5分以上かけさせる、頑丈な商品につけられるものです。
2-6.その他(サイズ変更、増設など)
窓の大きさを変更したい、増設したいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。このようなお悩みは、とにかくリフォーム業者の方によく相談し、どのようなリフォームを行うかを決めてください。
このようなリフォームは外壁、内壁の工事も伴いますので、費用はおおよそ20~50万円程と、高額になります。
3.窓リフォームをする場合の注意点
3-1.戸建での窓リフォームの場合
◯窓の大きさに関する注意点
窓の大きさについては、建築基準法で居室の採光について、「住宅の居室のうち、居住のために使用されるものは床面積の1/7以上の面積を設けなければならない(ただし、地階等に設ける居室、暗室など用途上やむを得ない居室等は除かれる)」という決まりがあります。
窓の大きさを小さくすることをお考えの方は、どの程度なら小さくしても大丈夫かをリフォーム業者の方によく相談しましょう。
また、窓を大きくする際に気をつけなければならないこともあります。
・断熱、遮熱性が落ち、部屋の温度が外の温度に影響されやすくなる(夏は暑く、冬は寒い部屋になってしまう)
・外から部屋の中が見えやすくなり、プライバシーが確保しにくくなる
窓を大きくすることをお考えの方は、上記2点に十分注意しましょう。
◯窓を増設する際の注意点
家には、窓を増設することができない部分があります。それは、壁に入っている「筋交い」という補強資材がある部分です。「筋交い」とは、柱と柱との間に斜めに入れる資材であり、これを取り除いてしまうと、家の耐久性が大きく損なわれてしまいます。また、家の柱を取り除くことも、耐久性を損なってしまいますので行わないでください。
あくまでも、家の耐久性を保ったまま増設を行いましょう。
3-2.マンションでの窓リフォームの場合
◯共有部分と専有部分の範囲を確認する
マンションには、住居人に所有権のない共有部分と、所有権のある専有部分があります。マンションで窓のリフォームは、専有部分でしか行うことはできません。
マンションの窓の専有部分は、サッシの内側を指します。よって、ガラス交換は可能です。
また、窓の内側(部屋側)も専有部分となります。よって、内窓の設置も可能です。
◯マンションの規約を守りましょう
マンションにはそれぞれ、管理規約があります。例え専有部分のリフォームであっても、後々トラブルにならないよう、一度管理規約を確認しておきましょう。
また、マンションによっては、管理組合への届け出が必要な場合もあります。こちらもあわせて確認しておきましょう。
4.窓リフォーム業者の正しい選び方
せっかく窓のリフォームを行うならば、最大限の効果を得たいですよね。しかしながら、リフォームは、手抜きしやすい工事であると言われています。
そのため、信用できる窓リフォーム業者を正しく選ぶことが大切になります。
一般的に窓リフォーム業者の選び方は、他のリフォームの業者の選び方と同様ですが(下記の記事を参照ください)、窓の工事ならではの業者選びのポイントもあります。
「【保存版】知らないと損!悪徳リフォーム業者の手口と絶対に騙されない為の全知識」
4-1.取り扱っている窓メーカーの種類は豊富か?
窓リフォーム業者には、取り扱う窓メーカーに差があります。取り扱うメーカーの種類が豊富である程、それぞれのお悩みにあった商品を選ぶことが可能です。
なるべく多くの業者から見積りをとり、適したメーカーの商品でリフォームを行うようにしましょう。
4-2.地域の特性をよく知っているか?
窓リフォーム、特に断熱や結露対策などのリフォームを行う場合は、お住いの土地の気候や風土を良く知った業者に依頼することをお勧めします。
なぜなら、その土地に合った最善の工事を提案してもらえるというメリットがあるからです。
「地元密着型」の窓リフォーム業者を選ぶというのも、一つの業者選びの基準にしてみてください。
5.DIYで可能な対策方法
窓ガラスの交換やサッシの交換など、リフォーム業者に依頼すると費用が高くなるため、自分で行いたいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、DIYでお手軽にできる方法をいくつかご紹介します。
5-1.シートを貼り付ける
窓にシートを貼り付けることで、いくつかお悩みを解消することができます。耐用年数は約1年と長くはありませんが、ホームセンター等で購入でき、費用は1,000~5,000円程と安く抑えることが可能です。
以下、具体例を紹介します。
〇断熱、結露防止
・省エネ窓ガラス断熱シートクリア
窓に貼るだけで、紫外線を99%カットします。粘着テープを使わないので、きれいに貼ってきれいにはがすことができます。サイズは2mm×90cm×180cmです。
〇防音
・窓用防音透明シート
透明のシートが優れた遮音効果を発揮します。カッターでカットして使用します。厚みは2mmです。
〇防犯(ガラス飛散防止)
・窓ガラス防犯フィルム
窓からの侵入を防ぎます。窓を叩き割ろうとしてもヒビが入る程度でなかなか割れません。
〇目隠し
・目かくし用シート
窓に貼ることで、外から中が見えなくなります。貼り直しも可能で、きれいにはがすことができます。
5-2.スプレー
窓にスプレーを行うだけで、「断熱、結露防止」効果が得られるものもあります。スプレーは最も簡単な対策方法と言えます。
耐用期間は1ヶ月程度ですので、1ヶ月ごとにスプレーをする必要があります。費用は1,500~2,000円程です。
・寒い暑いその時 窓用省エネスプレー
熱を伝えにくい性質で、優れた断熱効果があります。窓付近の温度が2~4℃変化するため、エアコンの効きもよくなり、省エネ効果もあります。
5-3.内窓を設置する
シートの貼り付けやスプレーよりも手軽に行うことはできませんが、最も効果が期待できる方法が、内窓をDIYする方法です。
業界に頼むのと同様に断熱、結露防止、防音、防犯効果があります。内窓をDIYする方法は、「内窓キットでDIYする」もしくは「自力でDIYする」の2つがあります。
〇内窓キットでDIYする
購入した商品に取り付け説明書がありますので、簡単に取り付けることが可能です。
〇自力でDIYする
<材料>
・窓ガラスの代わりとなるもの
・ガラス戸用上下レール、コの字レール
・両面テープ
・カッター
・メジャー
材料は、ネット通販やホームセンターで購入することができます。窓ガラスの代わりとなるものとして、プラスチックダンボールやポリカーボネート等があります。
材料費はおおよそ2,000円~10,000円です。
<手順>
1、窓枠の長さをはかり、長さに合わせてレールを切る
2、切ったレールに合わせて窓ガラスの代わりとなるものを切る
3、レールを両面テープで設置したい箇所に貼る
4、窓ガラスの代わりとなるものをレールにはめる
6.窓のリフォームに関する補助・助成金について
窓リフォームを行う際は、国または地方公共団体で実施している窓リフォームに関する補助・助成金情報を確認しておきましょう(下記情報は平成28年4月30日現在)。
6-1.住宅省エネリノベーション促進事業費補助金
住宅省エネリノベーション促進事業費補助金は、住宅の省エネ化を図る者に対して、国が補助金を出しているものです。詳細は以下の通りです。
◯受付期間
集合住宅(個人・一次公募):平成28年3月31日(木)~平成28年6月9日(木)
集合住宅(個人・二次公募):平成28年6月中旬~平成28年8月下旬(予定)
集合住宅(全体・一次公募):受付終了
集合住宅(全体・二次公募):平成28年6月中旬~平成28年6月下旬(予定)
◯補助率、補助金額
・補助率は補助対象費用の1/3以内
・補助金額は上限150万円/戸
・その他:省エネリフォーム促進税制との併用可
詳しくは、こちらの記事を御覧ください。
6-2.省エネリフォーム促進税制
省エネリフォーム促進税制とは、窓部分を含む省エネリフォームを行い居住すると、固定資産税の減額、所有税の控除が適用されるというものです。詳細は以下の通りです。
◯対象:持ち家(一戸建て住宅、共同住宅)の窓リフォーム
◯適用となるリフォーム後の居住開始日:平成20年4月1日~平成29年12月31日
◯控除期間:居住を開始した年から5年
詳しくは、下記サイトを参照ください。
http://www.refonet.jp/csm/info/fund/tax_reduction/tax_eco02.html
6-3.地方公共団体における住宅リフォーム支援制度
各地方公共団体で住宅リフォーム支援制度を実施しています。お住まいの地域でどのような支援制度があるか、あわせて確認しましょう。
7.まとめ
適切な窓のリフォームを行っていただくため、それぞれにあった工事内容を決め、信頼できるリフォーム業者にリフォームを行ってもらう方法をお伝えしてまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
窓のリフォームでお悩みの方に少しでも役に立てたなら幸いです。是非、目的にあった最適な窓のリフォームを行い、快適な生活を送ってください。